契約交渉

形式に決まりはない!? 契約書に署名・押印する理由とは?

by 弁護士 小野智博

契約書の存在意義とは?

まず、契約を成立させるには、原則お互いの合意(意思の合致)があれば十分です。
そのため、本来、契約書は必須ではありません。
実際、民法で名称や内容が定められている贈与や売買、賃貸借などの『典型契約』の多くが合意だけで成立します。

ただし、契約に問題が生じ、裁判に発展した際には、“どういった内容でお互いが合意したのか”ということが重要になってきます。
そのため、契約書は“契約の成立のため”に必要なのではなく、“合意内容を(有無も含めて)探るための証拠”として必要なのです。

契約書がなければ、当事者の話から合意内容を探るしかありません。
しかし、当事者は自身の都合の良い内容を主張することが多く、契約書がない状態でどのような合意をしたかを判断することは難しいでしょう。

 

署名・押印には法的効果がある!

民事訴訟法では、『私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する』と定められています(民事訴訟法 第228条4項)。

推定”とは、法律上、ある事柄について正当であると仮定することです。
つまり、契約書に“当事者の意思に基づく”署名または押印がある場合には、契約書に記載された内容すべてに合意したと認定されます。

なお、推定のためには、“意思に基づく”署名または押印が必要です。
そのため、本人の意思に基づくものであると立証できなければ、契約書の内容で合意したとは推定されません。

また、判決によると、仮に「最初に読んだ契約書には書かれていなかった!」と主張しても、署名・押印後の契約書改ざんなど、推定を妨げる事情を立証できなければ、自己の意思で署名または押印されている限り、契約書の内容で合意したと推定される可能性が高いのです(最高裁 昭和39年5月12日判決)。

契約書に署名・押印することは、民事訴訟法228条4項の規定から契約書記載の内容で合意したと裁判所に認めてもらうには非常に有効です。
証拠としての価値を低下させてしまわないよう、契約を結ぶ際には、必ず署名または押印をするようにしましょう。

 

※本記事の記載内容は、執筆日現在の法令・情報等に基づいています。

 

 

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