企業法務全般

約120年ぶりの民法大改正! 民法はどう変わる? 後編

by 弁護士 小野智博

全2回にわたり、民法改正についてお伝えしています。前回は、社会の基本法といえる『民法』について、抜本的な見直しがされてきていること、及び、その背景等を紹介しました。

後編となる今回は、2020年4月1日から施行される、民法(債権法)改正の具体的な内容についてお話します。

 

多岐にわたる改正項目

今回の民法(債権法)の改正は、約120年前の民法の制定時からの社会の変化や技術の進歩に合わせて、法律の内容をアップデートしようとするものです。そのため、改正項目は非常に多岐にわたっています。

改正項目をおおまかに列挙すると以下のとおりです。

1.消滅時効、弁済、相殺などの債権の消滅に関わる規定の見直し
2.法定利率の見直し
3.債権譲渡、債務引受、債権者代位権、詐害行為取消権などの債権の回収に関わる規定の見直し
4.意思表示、契約の成立に関わる規定の見直し
5.保証、連帯債務などの契約形態に関わる規定の見直し
6.定型約款に関する規定の新設(消費者保護)
7.契約解除、債務不履行、担保責任などの契約トラブルに関わる規定の見直し
8.その他消費貸借、賃貸借、請負などの各契約類型に関する見直し

上記の中には、裁判所の判例の内容など、実務上定着した内容を明確化したにとどまるものもありますが、随所に根本的な見直しや新たな規定が追加されています。
ただ、これらの改正は法理論の整理という側面も強いので、法律家ではない一般の方からするとイメージしづらい項目も多いかと思います。
そこで、一般の方にも影響が大きく、且つ抜本的な変化という視点で考え、上記の項目のうち、『法定利率』の変更について紹介します。

 

法定利率は3%に変更、その後3年ごとの変動制

現在の民法の法定利率は、5%とされています。それが、改正により以下のように変わります。

・2020年4月1日の改正法施行時の法定利率は年3%とする
・商取引などで適用されている6%の商事法定利率は廃止(新民法の法定利率に統一)
・法定利率は3年ごとに見直す(ゆるやかな変動制)

まず、現在の我が国の低金利の実態に合わせ、5%から3%に利率が下がります。
商法上、商事取引等の特別な利率が定められていましたが、それも低金利の実態に合わせる形で廃止となりました。

利息が下がることで、例えば、交通事故の損害賠償請求の際、被害者に後遺障害が残った場合には逸失利益が請求できるのですが、その計算の中で損害から控除する利息(中間利息)も下がるため、被害者が請求できる損害賠償の金額が上がることになるので、大きな影響があると言われています。

そして、法定利率は3年ごとに、一定の基準に基づき、見直し・変更されることになりました。もっとも、その変更基準を大雑把に言うと、比較対照期間の金利に1%以上の変動があった場合にのみ、変動幅は1%刻みで変更する、という内容のため、実際には利率の変動はそれほど多く起こらないのではないかと言われています。
なお、ひとつの債権に適用される利率は、事後的に変動することはありません。契約上特段の合意がない限り、利息が発生した当初の法定利率が適用されます。
この点は、銀行の変動金利のように、個々の債権についての利率が、逐次見直し・変更されるわけではありませんので、誤解しないよう注意が必要です。


利率や契約、賃貸借など、民法は私たちの仕事や生活に密着した法律
です。
施行されるのはまだ先ですが、改正点を知っておくことは大切なので、この機会にぜひ押さえておきましょう。

 

※本記事の記載内容は、執筆日現在の法令・情報等に基づいています。

 

 

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