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アメリカビザとは?種類とそれぞれの特徴について法律事務所が解説

by 弁護士 小野智博

アメリカビザとは? 種類とそれぞれの特徴を解説

ビザ免除プログラム(VWP)

ビザとは、渡航先の国・地域が、外国籍の渡航者の申請に基づき発行する入国許可証のようなものです。日本国籍の方がアメリカに渡航する場合、一定の条件を満たせば、ビザ免除プログラム(VWP: Visa Waiver Program)の適用を受けることができ、アメリカの電子渡航認証システム(ESTA:Electronic System for Travel Authorization)で渡航認証を受けることで、ビザなしで90日以下の滞在が可能です。

ESTAでの入国が拒否された場合、その場での異議申し立ては難しく、通常は即時帰国となり、以後アメリカに渡航する際はビザの取得が必要となります。なお、ESTAの申請費用は、2025年9月30日から、従来の21ドルから40ドルに引き上げられました。

▶参考情報:ビザ免除プログラムについては下記の記事でも解説していますので、ご参照ください。
海外出張でアメリカに渡航するには?ビザ申請や ESTA 利用の条件を徹底解説

一方、ビザ免除プログラムに該当しない場合は、目的や滞在期間を明確にした上で、適切なビザの取得が必要です。アメリカの種類(ビザタイプ)はアルファベットで分類されており、多岐にわたります。本記事では、アメリカビザの主な種類とその概要を紹介します。

主なアメリカビザの種類一覧

下記の表は、主なアメリカビザの一覧です。この表からも、アメリカビザには様々な種類があることがお分かりいただけると思います。

アメリカへの渡航目的 ビザの種類
外交官及び政府職員 A-1
短期商用 B-1
観光、治療、訪問者 B-2
アメリカ通過 C
乗組員(米国内の船舶・航空機に乗務している方) D
貿易駐在員 E-1
投資駐在員 E-2
学生 (語学学校を含む中高生、大学生) F-1
指定国際機関の職員 G
高度な専門知識を必要とする分野での専門職 H-1B
派遣労働者(季節的農業) H-2A
派遣労働者(非農業部門) H-2B
雇用を主目的としないプログラムでの研修 H-3
情報報道関係者(報道関係者、ジャーナリスト) I
交流訪問者 J-1
婚約者 K-1
特定の配偶者 K-3
企業内転勤者 L-1
学生(専門学校生) M-1
卓越能力者(芸術、科学、スポーツ、ビジネス) O
スポーツ選手、芸術家、芸能人 P
宗教活動家 R
人身売買被害者 T-1
犯罪行為被害者 U-1
配偶者 IR-1/CR-1

ここからは、目的別に主なアメリカビザの概要を紹介します。

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ビジネス目的のビザ

商用ビザ(B-1)

商用ビザ(B-1)は、商用目的でアメリカに短期間滞在する方向けのビザです。取引先との会合、科学、教育、ビジネス等の分野の会議への参加、契約交渉等のための出張等が該当します。

貿易駐在員ビザ(E-1)

貿易駐在員ビザ・投資駐在員ビザ(Eビザ)は、アメリカとの間で国際貿易を行う日本企業の管理職や専門職の方が、貿易や投資を目的としてアメリカに渡航する際に適用されるビザです。貿易には、物品の輸出入だけでなく、金融、通信、物流、サービスの取引なども含まれます。
貿易駐在員(E-1)ビザを取得するには、日本とアメリカの間で継続的かつ相当な規模の取引が行われていることを証明する必要があります。

投資駐在員ビザ(E-2)

投資駐在員ビザ(E-2)は、事業を運営または管理する投資家やその従業員を対象とするビザです。申請にあたっては、投資した事業が利益を生み出し、継続的に運営される見込みがあること(投機的な投資は非該当)を証明する必要があります。

なお、初めてEビザを申請する企業は、東京のアメリカ大使館または大阪の総領事館にて企業登録をする必要があります。アメリカの受入企業がEビザ企業としての資格を有することを立証するためです。

企業内転勤者(L-1)

多国籍企業の従業員が、アメリカ国内の親会社、子会社、支社、系列会社へ一時的に転勤する場合に適用されるのが企業内転勤者ビザ(L-1)です。企業内転勤者ビザ(L-1)の申請資格を満たすには、管理職または役員であること、あるいは専門知識を活かし、アメリカの会社で管理職または役員のレベルの役職に就く必要がありますが、必ずしも渡米前と同じ役職である必要はありません。また、申請者は転勤を命じる多国籍企業において、申請前の3年間のうち少なくとも1年間は、アメリカ国外で継続的に雇用されていることが条件です。

▶参考情報:貿易駐在員(E-1)・投資駐在員(E-2) ・企業内転勤者(L-1)については下記の記事でも解説していますので、ご参照ください。
アメリカ駐在員のためのビザ取得ガイド|申請ステップとチェックポイントを解説

高度な専門知識を必要とする分野での専門職(H-1B)

特殊技能職ビザ(H-1B)は、アメリカの企業で専門職に就く場合に適用されるビザです。職務が求める特定分野での学士号またはそれ以上の資格が求められます。雇用主は、雇用契約の内容や条件等に関する労働条件申請書を労働省に提出する必要があります。

特殊技能職ビザ(H-1B)は、年間の請願の発給枠(65,000件、米国で修士号以上の学位を取得した方には別枠で20,000件)が決められており、手続きのタイミングには注意が必要です。

また、2025年9月には、大統領令「特定の非移民労働者の入国制限(Restriction on Entry of Certain Nonimmigrant Workers)」が発効し、一部の例外を除き、H-1Bビザの新規申請に対し、10万米ドルの手数料を支払わない場合には、アメリカへの入国が制限されます。本大統領令の有効期間は1年間となる予定ですが、今後、特殊技能職ビザ(H-1B)の申請を検討する場合は、動向を注視する必要があるでしょう。

勉強または交流目的のビザ

勉強目的のビザ(F-1またはM-1)を申請する場合、アメリカの学校もしくはプログラムへの受け入れ許可を得ている必要があります。学生を受け入れる教育機関は、学生ビザの申請時に提出する必要書類を申請者に交付します。

勉強目的のビザ(F-1またはM-1)は、I-20(学生を受け入れる教育機関が発行する入学許可証)に記載されている履修開始日の365日前から発給が可能で、I-20に記載されているプログラム開始日の30日前からアメリカに入国することができます。

学生ビザ(F-1)

最も一般的な学生ビザであり、アメリカ国内の認定大学、私立高等学校、認可された英語プログラムなどで教育を受けることを希望する場合、及び週18時間以上の授業を受ける場合も F-1 ビザが必要です。

学生ビザ(F-1)での就労は原則不可ですが、大学内で働く場合、一定の条件の下、就労が可能となる場合があります。また、学士号以上を取得した学生に対しては、卒業後に専攻分野と関連のある職種に限り、オプショナルプラクティカルトレーニング(OPT : Optional Practical Training)で1年間の就労が認められています。

専門学生ビザ(M-1)

アメリカの機関で非学術的または職業的な教育・研修を受ける場合に適用されるのがM-1ビザです。学位を目的としない技術習得のための専門学校生または職業訓練生等がこれに該当します。

交流訪問者ビザ(J-1)

交流訪問者ビザ(J-1)は、教育、芸術、科学の分野における人材、知識、技術の交流を促進することを目的としています。交流訪問者ビザ(J-1)の申請者は、認可されたプログラム主催者から交流訪問者として受け入れ許可を得ている必要があります。交流訪問者を受け入れる教育機関もしくはプログラム主催者が、交流訪問者ビザ(J-1)の申請時に提出する必要書類を、申請者に交付します。

対象者には、学生、企業・施設・機関等で実地研修を受ける研修生、教員、大学レベルの機関で教育もしくは研究を行う教授・研究者、医療及び関連分野の研修員等が含まれます。

観光目的のビザ(B-2)

観光ビザ(B-2)

観光ビザ(B-2)は、主に観光、友人や親族を訪問する際に申請するビザであり、社会的奉仕活動、手術や治療など休養を目的とする場合にも適用されます。これらの目的で滞在期間が90日以内であれば、利便性の観点から、多くの日本国籍の方にとってビザ免除プログラムを利用することが第一の選択肢となるでしょう。ビザ免除プログラムを利用できない場合や、滞在日数が90日を超える場合は、観光ビザ(B-2)の取得が必要です。

外交・公用目的のビザ

外交・公用ビザ(A-1)

外交・公用ビザ(A-1)は、自国政府の公務遂行のために渡米する政府職員に対して発行されるビザです。政府職員が観光目的で渡米する場合は該当しません。また、地方公務員には、外交・公用ビザ(A-1)は適用されません。

国際機関ビザ (G)

国際機関ビザ (G)の申請資格を満たすためには、国際機関の職員が公務でアメリカに入国する必要があります。国際機関に関連した公務や会議出席で訪問する場合等が該当します。

婚約・結婚に基づく移民目的のビザ

アメリカ国籍の方との結婚によりアメリカに移住するためには、日本で婚約者ビザ(K-1)、または配偶者ビザ(K-3あるいはIR-1/CR-1)を取得し、渡米後、永住権を取得することになります。

婚約者ビザ(K-1)

婚約者ビザ(K-1)は、アメリカ国籍者と婚約し、アメリカで結婚後、引き続き永住を希望する方に適用されるビザです。婚約者ビザ(K-1)の取得には、実際に直接お互いに会ったことがあること、アメリカ入国後90日以内に結婚すること等が必要です。

配偶者ビザ(K-3)

配偶者ビザ(K-3あるいはIR-1/CR-1)は、アメリカ国籍者の外国人配偶者のためのビザです。配偶者ビザ(K-3)の申請者は、アメリカ国籍者と合法的に結婚していること、申請時にアメリカ以外の国の居住者であること等を証明する必要があります。
配偶者ビザ(K-3)は、アメリカに入国して永住権申請の承認を待つことができ、外国人配偶者と離れて生活する時間を短縮することを目的としています。

配偶者ビザ(IR-1/CR-1)

アメリカ国籍者と結婚し、アメリカへの移住を考える際、最も一般的な方法の一つが配偶者ビザ(IR-1/CR-1)の取得です。結婚歴が2年未満だと条件付きのCR-1ビザが発給され、結婚から2年以上経過している場合は、条件付きではないIR-1ビザが付与されるケースが通常です。

アメリカビザの種類に関するよくあるご質問・Q&A

ビザ免除プログラム(ESTAによる承認)で渡米し、アメリカにいる間に就労ビザを申請することができますか。

就労の目的で渡米するのであれば、渡米目的に合った就労ビザを取得する必要があります。ビザなしで渡米し、現地で滞在資格を変更することはできません。

商用と就労の違いについて教えてください。

商用ビザ(B-1)は、商談や会議への参加、契約の締結、展示会への出席など、アメリカ企業との関係を築くための一時的なビジネス活動を目的とするものです。商用ビザ(B-1)は就労ビザではないため、就労行為(収入や収益を伴う労働行為)は認められていません。

一方、就労ビザ(H、L、O、Pビザ等)は、米国の企業に雇用され、給与を受け取る業務を行う場合に適用されます。

ご自身のビジネス活動が「商用」に該当するのか、「就労」に該当するのかを正確に理解し、適切なビザを申請することが重要です。

商用ビザ(B-1)とビザ免除プログラム(ESTAによる承認)との違いは何ですか?

商用ビザ(B-1)で可能なアメリカでの活動内容は、ビザ免除プログラム(ESTAによる承認)で可能なアメリカでの活動内容と同じです。

但し、ビザ免除プログラム(ESTAによる承認)の滞在可能期間は最長で90日であるため、90日以上アメリカに滞在する予定がある場合は、商用ビザ(B-1)を申請する必要があります。また、特定の国への渡航歴特(イラン、イラク、北朝鮮など)がある場合は、ビザ免除プログラムは適用されません。

さらに、ビザ免除プログラム(ESTAによる承認)はオンラインで完結し、通常は72時間以内で取得できるのに対し、商用ビザ(B-1)を取得するには、必要書類を揃え、アメリカ大使館(領事館)での面接を受ける必要があり、渡航予定日の6~8週間前の申請が推奨されています。

アメリカでインターンシップをしたいです。ワーキングホリデービザはありますか。

アメリカ移民法にはワーキングホリデーに関する規定はありません。アメリカでインターンシップを通じた実践的なトレーニングを希望する場合、交流訪問者(J-1)ビザまたは研修(H-3)ビザのいずれかが必要になります。なお、このような活動は、アメリカを源泉とする報酬を受けない場合でも、観光ビザ(B-2)またはビザ免除プログラムによるビザなしで行うことはできません。

アメリカで働きたいです。どの種類のビザが必要ですか。

現在の会社からアメリカの子会社に転勤する場合は企業内転勤者(L-1)ビザ、自営業の個人の方は貿易駐在員ビザ(E-1)、アメリカの企業を管理・運営する投資家の方は投資駐在員ビザ(E-2)、アメリカの大学の学士号以上の学歴及び高度なスキルをお持ちの方は特殊技能職ビザ(H-1B)の取得を検討することになるでしょう。教育機関、非営利組織、文化交流プログラム等がスポンサーとなり、事前に取り決められた雇用、研修、研究を行う場合、あるいは病院でインターンやレジデントとして働く場合は、交流訪問者(J-1)ビザが該当します。

まとめ(アメリカビザの申請を法律事務所に依頼するメリット)

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、アメリカビザについての無料相談を受け付けています。

アメリカビザには多くの種類があり、目的や滞在期間により適用されるビザの種類が異なります。また、例えば、ビジネス目的で渡航する場合でも、派遣先での業務内容、企業間の関係、または貿易や投資活動の有無により、適切なビザを選択することが必要です。

当法律事務所では、スタッフ全員が行政書士の資格を持ち、弁護士の指導のもと、ビザ申請・外国人雇用・労務・契約書など、法務の専門知識を持ったプロフェッショナルがそろっています。「アメリカに滞在したいが、どのビザを申請するべきか教えてほしい」「アメリカビザ申請にあたり、自分の状況・条件に問題がないか確認したい」等、お客様のご要望に迅速にお応えいたします。安心してご相談ください。

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※本稿の内容は、2025年10月現在の情報に基づいています。

本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

執筆者:弁護士小野智博
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