ビザ申請

外国人学生のインターンシップ|ビザ申請に強い法律事務所が解説

by 弁護士 小野智博


目次

外国人インターンのビザは給与支給のある・なしと期間で決まる

日本の企業が「海外の大学生をインターン生として呼び寄せたい」と思ったときに、「どのビザ(※)を取得すれば良いのだろう?」と疑問に思うかもしれません。外国人をインターン生として呼び寄せる際のビザ(※)の種類は短期滞在ビザ、文化活動ビザ、特定活動ビザ(インターシップ)の3種類があります。誤ったビザ(※)を取得してしまうと不法滞在となる可能性もありますので、注意が必要です。
注目すべきは「給与を支給するか、しないか」と「インターンの期間」です。

給与支給あり 給与支給なし
特定活動ビザ 90日以内の在留の場合は短期滞在ビザ
90日を超える在留の場合は文化活動ビザ

(※)「ビザ」とは本来は「査証(入国許可証)」のことを指しますが、本記事では一般的に使用されている「在留資格」の意味で使用しています。

給与支給がなく期間が90日を超えない在留の場合は短期滞在ビザ

給与支給がなく、インターン期間(在留期間)が90日を超えない場合は、短期滞在ビザを取得します。ただし、給与を支給しない無給のインターンの場合は、企業説明やグループワークが中心になる等、労働性のない内容でないといけません。職業体験を含む場合は、企業側からの指揮命令のもと、実際に従業員が行うべき業務をさせることはなじみません。例えば、人事部で新入社員の情報をシステムに入力する職業体験を行うとしたら、ダミーの情報を用意して入力してもらう(体験が終わったら削除する)のは仕事に従事しているとは言い難いですが、実際に入社する従業員の情報を渡して、システムに入力してもらうと、本来は従業員が行うべき業務をインターン生に行わせているので、労働性が問われる可能性があります。また、会社に直接利益を生み出す活動をインターン生に行わせるのも労働性が問われる要因になります。

給与支給がなく期間が90日を超える場合は文化活動ビザ

給与支給がなく、インターン期間(在留期間)が90日を超える場合は、文化活動ビザを取得します。文化滞在ビザは、日本文化の学習や茶道、日本舞踊などの技芸を修得するために取得できるビザです。給与支給がない以上、労働性のない内容でないといけないのは短期滞在ビザと同じです。

給与支給がある場合は特定活動ビザ

インターン期間(在留期間)に関わらず、給与支給がある場合は、特定活動ビザ(インターシップ)を取得します。

特定活動(インターンシップ)ビザとは?

特定活動ビザは「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」を許可する在留資格と定義づけられています。一口に特定活動ビザと言っても1号から54号まで様々な種類があります。主なものをいくつか紹介します。

特定活動ビザの種類

①特定活動46号
就労ビザの中でも聞きなじみのある<技術・人文知識・国際業務>ビザの活動内容及び語学力を活用する業務を行うのであれば、併せて現場での単純労働を含めた労働を兼任できるビザです。<技術・人文知識・国際業務>ビザでは単純労働が認められていないので、例えば、飲食店の管理業務(店長)をしながら、ホール(単純労働)やキッチン(単純労働)の仕事ができませんでした。特定活動46号ができたことにより、ホールやキッチン業務も含めた飲食店の店長業務や製造工場のラインに従事しながら生産管理を行うこともできるようになりました。

②特定活動9号(インターンシップ)
本記事では<特定活動(インターシップ)>と記載していますが、数ある特定活動の中の9号にあたります。外国の大学生が、大学の教育課程の一部として報酬を受けて日本の企業で働く際に必要なビザです。例えば、外国の大学のホスピタリティ学科に在籍している大学生が日本のホテル企業でインターンとして働くことがあげられます。

③特定活動12号(サマージョブ)
外国の大学生が、学業の遂行及び将来の就業に資するものとして、外国の大学で授業が行われない期間(3か月を超えない期間内)で報酬を受けて日本の企業で働く際に必要なビザです。特定活動9号(インターシップ)とは、大学の教育課程の一部ではない点、大学の長期休暇期間に限る(最長3か月)点が違います。

④特定活動5号及び5の2号(ワーキングホリデー)
日本とワーキングホリデーに関する協定国の国籍者が、日本文化や日本の生活様式を学ぶために長期休暇(最長1年以内)を過ごす際に必要なビザです。長期休暇(最長1年以内)を過ごすために必要な旅行資金を補うために必要な範囲内の報酬を受ける活動ができます。日本らしさを感じられる観光業や流行りの飲食店などでの就業が好まれる傾向にあります。

特定活動ビザ(インターシップ)の在留期間は?

特定活動ビザ(インターシップ)の在留期間は最長1年間です。インターン期間を延長したい場合であっても、在留期間の更新はできません。一度帰国してから再度特定活動ビザ(インターンシップ)の申請をする必要があります。

特定活動ビザ(インターンシップ)の取得要件とは?

外国の大学に在籍していること

学位が授与される教育課程である必要がありますが、通信教育は対象外です。また、
入国時に18歳以上でないといけません。

インターシップとしての就業内容が外国の大学の単位として認められること

就業内容が大学での学習と同義なので、外国の大学で専攻している科目に関連する業務であることが求められます。また、一定の知識や技術を身に着けることや日本の企業での就業経験が学問履修として単位認定がされるので、単純労働はなじまないとされています。

外国の大学と日本の受入れ企業との契約に基づき報酬(給与)が支払われること

外国の大学と日本の企業が協定書を締結していることが必要です。また、協定書を締結している日本の企業の業務に従事しなければならないため、派遣社員として派遣先で働くことは認められていません。

1年を超えない期間で、かつ、通算して大学の修業年限の2分の1を超えない期間であること

4年制大学であれば、最大2年は対象になりますが、在留期間は最長1年間で更新はできません。2年インターン生として働きたい場合は、1回帰国してから再度特定活動ビザ(インターン)の申請を行う必要があります。

特定活動ビザ(インターンシップ)申請に必要な書類とは?

・在留資格認定証明書交付申請書
・顔写真 1枚
・返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、必要な額の郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの) 1通
・申請人の在学証明書 1通
・申請人が在籍する外国の大学と日本の受入れ機関との間で交わしたインターンシップに係る契約書の写し 1通
・申請人が在籍する外国の大学からのインターンシップ実施に係る承認書、推薦状
・単位取得等教育課程の一部として実施されることを証明する資料(インターンシップ実施計画)
(大学と本邦の公私の機関との間の契約に併せて記載されていても差し支えない)
・申請人の日本での活動内容、期間、報酬等の待遇を記載した資料 1通
・申請人のインターンシップでの過去の在留歴を明らかにする資料
(過去にインターンシップで日本に在留したことがない場合は、その旨を文書にして提出する)
・申請人の在籍する大学の修業年限を明らかにする資料
・その他、ガイドラインに規定する項目に係る説明書
参考:在留資格「特定活動」(インターンシップ・サマージョブ・国際文化交流)(出入国在留管理庁-法務省)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities03.html

特定活動ビザで外国人学生インターシップを受け入れる際の注意点

特定活動ビザ(インターシップ)で外国人学生インターシップを受け入れる際にはいくつかの注意点があります。

労働法規も適用される

特定活動ビザ(インターシップ)を取得すれば、外国人学生給は給与を得ながら日本の企業でインターン生として働くことができますが、給与が払われる以上は紛れもない労働者です。そのため、労働基準法等の労働法規も適用されます。他の従業員と同じように有給休暇の付与や残業が発生した際は残業代を支払いが必要になります。

週28時間を超えるインターシップを行う場合は個別に許可が必要になる

労働基準法上では、1日8時間、週40時間が法定労働時間です。しかし、特定活動ビザ(インターシップ)を取得して働く外国人学生は、資格外活動許可を取得しても週28時間までしか働けません。また、この週28時間は、日曜から土曜など特定の曜日起算ではなく、どの曜日から起算しても週28日以内でないといけません。もし、週28時間以上働く必要がある場合は、別途個別の資格外活動許可を取得します。きちんと対応しないと、不法就労に問われる危険性もありますので特に注意が必要です。

【×悪い例】
1週目、2週目ともに日曜日起算の場合は、週28時間以内に収まっているが、他の曜日を起算点にすると週28時間を超えてしまう。

合計
5時間 5時間 5時間 5時間 8時間 28時間
合計
8時間 8時間 5時間 5時間 26時間

1週目の合計は28時間、2週目の合計は26時間になり、28時間を超えないので問題なし

しかし、月曜日を起算日にすると、31時間になり、28時間を超えてしまう。
同様に火曜日・水曜日・土曜日起算だと34時間、木曜日・金曜日起算だと39時間になり、28時間を超えてしまう。

5時間 5時間 5時間 5時間 8時間
8時間 8時間 5時間 5時間

【○良い例】
どの曜日から起算しても週28時間以内に収まる

5時間 5時間 5時間 5時間 5時間
8時間 8時間 5時間 6時間

日曜日を起算日にすると25時間(2週目は24時間)、月曜日・火曜日・水曜日・
木曜日・金曜日を起算日にすると28時間、土曜日を起算日にすると23時間になり、
週28時間を超えないので問題なし。

労災保険と社会保険の対象になる

特定活動ビザ(インターン)を取得して働く外国人インターン生は学生であることが前提なので、雇用保険の対象にはなりませんが、労災保険の対象にはなります。雇用保険の対象にならない外国人を雇い入れたときは、外国人雇用状況届出書を忘れずにハローワークに届け出ましょう。また、正社員の4分の3以上の時間を働く場合は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の対象にもなります。(令和4年から始まっている社会保険適用拡大は、学生は対象外です。)
社会保険制度は全ての国にあるわけではありません。社会保険制度に馴染みのない方からすると、不当に給与から天引きされていると感じるかもしれませんので、初めて給与支給する際にはきちんと案内されることをおすすめします。

インターシップ実施計画書において技能実習生との違いを明確にする

技能実習生を受け入れている企業は以下の点について技能実習生とインターン生の違いを明確にしないといけません。
・目標について
・指導体制について
・評価について
技能実習ビザは、外国人が実務を通して技能を身に着けて自国に持ち帰り、学んだ技能や技術、知識を海外で活かしてもらうための制度です。大学の教育課程の一部として専攻科目に関連する知識や技術を身に着けるためのインターシップビザとは目的が違うので、受け入れにあたっても区別しなければなりません。

夜勤やシフト制で働く場合は必要性を明確にすること

インターン生が夜勤やシフト制で働く場合はその必要性と指導体制について明確にしないといけません。

まとめ (外国人学生のインターシップビザの申請を弁護士・行政書士に依頼するメリット)

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、外国人学生のインターシップビザについての無料相談サービスを行っております。
インターシップのためのビザは3種類あり、申請にあたっても複数の書類を用意しなければなりません。迅速にビザを取得するには、どのビザを取得すれば良いかという正しい判断と漏れなく書類を集めることが重要で、専門的な知識が必要です。また、手続きの流れや審査基準を正しく理解し、審査にあたってのポイントをおさえることも大切です。
近年は少子高齢化の影響もあり、外国人雇用に期待が寄せられてきています。インターシップにきた外国人がまた日本に来て働いてくれることもあるかもしれません。
当法律事務所では、インターシップビザ以外にも、就労ビザの代表格である技術・人文知識・国際業務ビザや高度専門職ビザの無料相談サービスも行っております。スタッフ全員が行政書士の資格を持ち、弁護士の指導のもと、ビザ申請・外国人雇用・労務・契約書など、法務の専門知識を持ったプロフェッショナルがそろっています。ご安心してご相談ください。

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