ビザ申請

永住者ビザを申請するには|必要書類やサポートなど、永住許可に強い法律事務所が解説

by 弁護士 小野智博


永住ビザ申請の必須条件

安定した在留歴(在留期間の要件)

永住ビザを申請するためには、一定期間の日本での在留歴が求められます。一般的には、10年以上の在留歴が必要とされており、その間に安定した生活を送っていることが大切です。特に、直近の5年間は就労可能な在留資格を持ち、連続して日本に滞在していることが条件とされます。

犯罪歴および法令遵守(素行の要件)

永住ビザの申請者には、過去に重大な犯罪歴がないことや、日本の法律を遵守していることが求められます。日常生活においても、社会的に良好な行動を維持しているかが審査の対象となります。特に、税金や社会保険料(国民健康保険、国民年金保険料など)の支払いなど、社会的義務を適切に果たしていることが厳格にチェックされます。

経済的な自立性

経済的な自立性とは、申請者が自身とその家族の生活を安定的に支えられるだけの収入や資産を持っていることを指します。これは、日本で長期的に生活するうえで、社会福祉に依存せずに自立した生活を送れる能力があるかどうかを判断するため重要で、入国管理局が特に重視するポイントの一つです。
具体的には、申請者が安定した収入を得ており、その収入が生活費を賄うのに十分であり、継続的に得られるものでなければなりません。通常は申請者がフルタイムで雇用されている場合や、自営業で一定の収入を確保している場合が該当します。また、貯蓄や不動産などの資産を持っていることもプラスの要素とされることがあります。

住居の安定性

住居の安定性とは、申請者が日本国内で長期にわたり安定して住むことができる住居を確保していることです。これは、申請者が日本社会に定着し、継続的に生活を送る基盤を持っているかどうかを判断するための重要な要素です。
賃貸住宅に住んでいる場合、その契約書を提出することで、現在の住居が安定していることを示します。契約期間が長い場合や更新が続いている場合は、住居の安定性が高いと判断されます。持ち家を所有している場合、住宅ローンを支払っていることを証明する書類を提出することで、長期的に住む予定の住居があることを示します。ローンを完済している場合は、さらに安定性が高いと評価されることがあります。

社会貢献および社会的信用

申請者が社会貢献をしていることや社会的信用が高いことは、日本社会にとって価値のある存在であり、長期的に日本で生活するにふさわしい人物であると判断されるため、重要な評価ポイントとなります。
社会貢献とは、申請者が日本社会に対して積極的に貢献している行為や実績を指します。ボランティア活動、寄付活動、自身の専門知識やスキルを生かして、日本社会やその特定の分野において貢献している場合などが含まれます。
社会的信用とは、申請者が日本社会でどの程度信頼されているか、また、その社会的評価がどのようなものであるかを指します。安定した雇用状態にあり、長期間同じ会社で働いている場合、社会的に信用できる人物であると評価されます。特に正社員としての雇用は、この信用性を高める要素となります。雇用主からの推薦状など、社会的に信頼されている人物であることを証明する書類を提出することが可能です。

永住申請の必要書類は在留資格ごとに異なります

永住ビザの申請に必要な書類は、現在の在留資格によって異なります。入国管理局のホームページでは、在留資格ごとに永住資格申請を4つのケースに分けて案内しています。申請者は自分の現在の在留資格に合わせて必要な書類を準備する必要があります。

永住資格申請1 日本人の配偶者等
永住資格申請2 定住者
永住資格申請3 就労系資格
永住資格申請4 高度外国人材

入管HP 永住許可申請
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-4.html

すべての在留資格に共通する必要書類

永住ビザを申請する際に、すべての在留資格に共通して求められる書類があります。これらの書類は、申請者の個人情報や経済的な安定性、滞在履歴などを証明するために必要であり、正確かつ詳細に準備するべきです。
次に、共通して求められる主要な書類を詳しく説明します。

申請書

永住ビザを申請する際には、「永住許可申請書」に必要事項を記入します。この申請書は、法務省のウェブサイトからダウンロードできます。申請書には、申請者の基本的な個人情報や、現在の在留資格、在留期間、住所、職業などの記載欄があります。申請書の記入は正確さが求められ、誤りがあると申請が拒否される可能性があります。特に、在留資格や在留期間などの情報は、パスポートや在留カードに記載されているものと一致していることが必須です。

写真

申請書には、申請者の顔写真を添付します。写真は、6か月以内に撮影されたもので、縦4cm、横3cmのサイズ規定があります。また、無背景で鮮明に撮影されているものでなければなりません。パスポート写真と同様の規格に従い、帽子やサングラスなどは着用せず、顔がはっきりと確認できるようにしてください。

パスポート・在留カードのコピー

永住権申請には、申請者のパスポートおよび在留カードのコピーが必要です。これらの書類は、申請者の身分や日本における在留状況や滞在歴を証明するものとして提出されます。パスポートは、個人情報ページ、過去の出入国スタンプが押されているページのコピーが必要です。また、在留カードは表裏両面コピーしましょう。

住民票

住民票は、申請者の現住所を証明するために必要な書類です。市区町村役場で発行され、申請者の氏名、住所、世帯構成などが記載されます。永住権申請では、最新の情報が反映された住民票を提出する必要があります。

住居に関する書類

永住ビザ申請では、申請者の住居が安定していることも重要な審査項目となります。そのため、賃貸契約書や不動産の購入契約書のコピーなど、住居に関する書類を提出する必要があります。これにより、申請者が日本国内に安定した住居を確保していることが証明されます。

履歴書

申請者の経歴や学歴、職歴を詳細に記載した履歴書も必要です。履歴書には、現在の就労状況や過去の職務経験を明記し、申請者がどのようなバックグラウンドを持っているかを説明します。特に、申請者の日本での職歴が、生活基盤を証明する要素として重要視されるため、正確に記載することが求められます。
就業中の場合は、会社に依頼し、在職証明書を併せて提出します。個人事業主の場合は。確定申告をしていないと、無収入となってしまい永住ビザ申請が難しくなります。後からまとめて申告をしても、本来納めなければいけない時期に税金を適正に納付していないため、社会的義務を適切に果たしていないと評価され、永住許可は厳しくなります。

申請理由書

永住権申請の際には、申請理由書の提出が必要です。この書類には、なぜ永住権を申請するのか、今後の日本での生活に対する意図や計画を明記します。申請理由書は審査において非常に重要な役割を果たし、申請者の意図を明確に伝えるために、具体的かつ論理的に書くことが求められます。

納税証明書

経済的な自立性を証明するために、課税(又は非課税)証明書及び納税証明書が必要です。これらは、所得税や住民税の納付状況が記載され、申請者が過去に適切に納税していることを証明する書類です。これにより、申請者の経済的な自立性や法令遵守の姿勢が確認されます。
この証明書は市区町村役場で発行されます。申請者が家族を扶養している場合、その家族も含めて経済的に自立していることが審査されます。
また、住民性が給与から天引きされていなかった場合は、住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料として帳の写し、領収証書等を提出します。

年金記録

永住権の申請には、直近2年分の年金を適正な時期に納付していることを証明する年金記録の提出が求められます。公的年金の納付が永住権取得の必須条件となっているためです。
最寄りの年金事務所で直接年金記録を取得出来るほか、インターネットを利用して「ねんきんネット」で年金加入期間の情報が月数で表示されている「各月の年金記録」をダウンロードまたは印刷する方法もあります。

保険証のコピー

健康保険被保険者証もしくは国民健康保険被保険者証のコピーを提出します。直近2年間において、国民健康保険に加入していた期間がある方は、当該期間分について納付証明書か領収証書(写し)を提出します。
永住申請において、社会保険料(年金)や(健康保険料)に未納がある場合、申請が不許可となる可能性が非常に高くなります。過去に未納があった場合は、追納可能な期間内に速やかに未納分を納付することが必須です。

預貯金通帳のコピー

申請者が十分な生活資金を持ち、日本での生活を安定的に維持できることを証明示すために、預貯金通帳のコピーが必要です。通帳のコピーを提出することで、申請者の資産状況を証明します。十分な資産を持っていることは、審査においてプラスに働きます。

最終学歴の卒業証明書または卒業証書コピー

学歴も永住権申請において考慮されるため、最終学歴の卒業証明書や卒業証書のコピーを提出する必要があります。特に高度な専門職に従事している場合や、高度外国人材としての申請を行う場合には、学歴が重要な要素となります。学校から発行された正式な証明書や、卒業証書のコピーを提出することが求められます。

身元保証書

永住権申請には、日本に在住している人からの身元保証書が必要です。身元保証人は、申請者が日本での生活を安定して営むことができるかを保証する役割を担います。通常、日本に居住している日本人または永住者が適任とされ、信頼性が高い人を選ぶことが重要です。身元保証書は、申請者の信頼性を補強するための書類です。

了解書

了解書は、永住権申請に関する手続き、特定の条件や制限を申請者が理解し、同意することを示す書類です。これは、申請者が申請手続きやその後の生活において、法令を遵守し、日本社会に適応することを誓約するものです。了解書に署名することで、申請者は自らの責任において永住権を申請することを確認します。

在留資格別の申請書類

永住権申請には、申請者の在留資格に応じた追加書類が必要です。これらの書類は、申請者の現在の在留資格によって異なり、それぞれの在留資格に特有の要件を満たすために提出が求められます。

日本人の配偶者等としての申請

日本人の配偶者等として永住権を申請する場合、婚姻関係や家族の生活に関する書類が必要です。具体的には、婚姻証明書、日本人配偶者の戸籍謄本などが該当します。また、夫婦の生活が安定していることを証明するための共同の住居に関する書類や、家族の経済的な支援を示す書類が必要となる場合もあります。これらの書類は、婚姻が実質的であること、日本での生活基盤が安定していることの裏付けとなります。

定住者としての申請

定住者が永住申請を行うためには、定住者ビザを取得してから引き続き5年以上日本に在留していることが必要です。
定住者としての永住権申請には、定住者としての在留状況を証明するための書類が求められます。例えば、日系人としての証明書や長期的な居住歴を証明するための住民票の履歴や、過去のビザ更新履歴などが含まれます。また、定住の理由や背景を詳述した書類も重要です。

就労系資格としての申請

就労系資格を持つ外国人が永住権を申請する場合、現在の職業や就労状況に関する書類が必要です。これには、雇用契約書や給与明細、雇用主からの雇用証明書や職務内容証明書などが含まれます。また、就労ビザの種類によっては、職業に関連する資格証明書、職務経歴や今後のキャリアプランを示す書類も求められます。これにより、経済的な自立性と日本社会への貢献度が審査されます。

高度外国人材として申請する場合

高度外国人材として永住権を申請する場合、特に高度専門職ポイント制による得点が重要な審査項目となります。この制度は、申請者の学歴、職務経験、年収、年齢、日本語能力など、さまざまな要素がポイントとして計算され、このポイントが一定の基準を超えることが必要です。

高度専門職ポイント制の得点

高度専門職ポイント制では、申請者が日本での高度な専門職に従事するためのスキルや経験を示すことが求められます。例えば、博士号や専門的な資格、高い年収などがポイントとして評価されます。ポイントが70点以上であることが一般的な要件となっており、これを満たすために必要な証明書類を準備する必要があります。

ポイント表と疎明資料

ポイント表は、申請者がどのようにして高度専門職ポイントを得たかを示すための表です。これには、各ポイントの内訳や、それを証明するための疎明資料が添付されます。疎明資料としては、学歴証明書、職務経歴書、収入証明書、語学能力試験のスコアなどが含みまれます。。申請者がどのようにしてポイントを獲得したかを証明するため、細心の注意を払って準備する必要があります。
法務省サイト ポイント計算表 https://www.moj.go.jp/isa/content/930001657.pdf

永住許可申請

永住許可申請の流れ

①管轄の入国管理局へ相談 まず、最寄りの入国管理局に相談し、必要な情報を確認します。
②必要書類を収集 申請に必要な書類を揃えます。
③申請書と理由書の作成 申請書と理由書を作成します。
④入国管理局に申請 書類を揃えたら、入国管理局に申請を行います。
⑤審査期間 審査が行われます。通常、数ヶ月かかります。
⑥結果の通知 審査結果が通知されます。

永住権の取得後

永住ビザには在留期限がないものの、それに係る手続きが一切不要になるわけではありません。在留カードには7年の有効期限が設定されており、その更新手続きを行う必要があります。もし更新を怠ると、永住ビザが失効し、不法滞在と見なされる可能性があります。在留カードの更新手続きは、有効期間が満了する2か月前から可能です。

自分で申請をするリスク

永住権申請は、要件が多岐にわたり、必要書類も多数あります。そのため、申請プロセスは非常に複雑で、個々の状況に応じて異なる対応が求められます。些細なミスや不備でも不許可のリスクが高まり、再申請には時間と労力がかかります。
このようなリスクを避けるためには、専門家に相談することを強くお勧めします。確かに専門家に相談するための料金は発生しますが、不許可となった場合の再申請にかかる時間や費用を考えると、早い段階から専門家のサポートを受けることが賢明であるといえます。

永住ビザ申請の注意点

永住ビザの申請には、特定の注意点を理解しておくことが重要です。以下に、申請に際して特に留意すべきポイントを紹介します。

在留期間が最長のものであること

永住ビザの申請を行う際、現在の在留資格が最長の在留期間であることが重要です。通常、5年間の在留期間が付与されるビザが最も長く、永住ビザ申請の際には、この最長期間が求められることが一般的です。短い在留期間で申請を行うと、審査の過程で不利になる可能性があるため、最長の在留期間が確保できているかを事前に確認しましょう。

海外出張が多い場合は要注意

海外出張や旅行が頻繁な場合、日本国内での滞在日数が減少し、永住ビザ申請に影響を及ぼす可能性があります。特に、年間の滞在日数が極端に少ない場合や、継続的な長期滞在が途切れると、審査の際に不利になることがあります。出張などで日本を離れる機会が多い方は、滞在日数を把握し、申請時に問題がないかを確認しておく必要があります。

交通違反がある場合の影響

永住ビザの申請には、過去の素行が審査されるため、交通違反や罰金の有無が考慮されます。軽微な違反であっても、複数回にわたる違反や重大な違反がある場合には、審査に影響を及ぼす可能性があります。交通ルールを遵守し、違反歴がないことが理想的ですが、違反がある場合にはその経緯や対応を適切に説明する準備をしておくと良いでしょう。

母国から取り寄せる書類

母国から取り寄せる書類としては、出生証明書や結婚証明書、学歴証明書などがあります。これらの書類は、母国の公的機関から発行されるものです。申請には日本語訳を添付することが必須です。書類の取り寄せには時間がかかることが多いため、早めに準備を進めることが大切です。

在留期限に余裕をもって申請する

永住ビザの審査には時間がかかる場合があり、在留期限が迫っていると、不安を感じながらの申請手続きとなってしまいます。永住ビザ申請は、在留期限の切れる直前に行うのではなく、余裕を持って準備し、申請することが大切です。可能であれば、在留期限の6か月前から1年前に申請を開始し、万全の準備をして臨むことをおすすめします。

永住ビザと帰化の違い

外国人が日本で長期的に生活するための手段として「帰化」と「永住ビザ」の取得が挙げられます。これらは似た目的を持ちながらも、その内容や手続きに大きな違いがあります。

永住権とは

永住権は、外国人が日本で無期限に滞在し、働くことを許可される在留資格です。永住権を持つことで、日本国内での活動が制限なく行えるようになります。特定の職業に限定されることなく、自由に職業を選び働けるため、生活の安定が図れ、家族の帯同や転居なども柔軟に対応できる点が、永住権の大きな魅力です。
ただし、永住権を取得しても日本国籍を得るわけではないため、選挙権や被選挙権は与えられません。また、日本を離れて長期間滞在する場合には、再入国許可を取得する必要があるという制約もあります。

帰化とは

帰化とは、外国人が日本国籍を取得し、日本の国民になることを指します。帰化することで、申請者は日本の市民権を持ち、日本の法的な権利と義務を負うことになります。メリットとしては、選挙権や被選挙権を得ることができる点や、日本国籍を取得することで在留資格や更新の必要がなくなり、より安定した生活を送れることが挙げられます。また、社会的信用が高まることで、住宅ローンの審査や就職活動などにおいて有利になる可能性もあります。
しかし一方で、日本は二重国籍を認めていないため、帰化する際には元の国籍を放棄しなければならないというデメリットがあります。これにより、母国との法的なつながりが断たれることになります。

帰化と永住ビザの選択

帰化と永住ビザの選択は、申請者の将来の計画に大きく依存します。日本社会に完全に溶け込むことを目指す場合は日本国籍を取得する帰化が適しているでしょう。一方で、母国とのつながりを維持しつつ、日本という地で、安心して生活を築き未来への地盤を固めたいという場合には、永住権を選ぶのが賢明です。どちらを選択するにせよ、手続きの複雑さや長期的な影響を考慮し、専門家の助言を受けながら進めることをお勧めいたします。

まとめ

上記の通り、本記事では、永住ビザ申請における必須条件、必要書類、注意点について解説しました。永住ビザは、日本において地に足をつけて生活するための重要な在留資格です。申請にあたっては、在留資格や就労状況、経済的な安定性など、さまざまな要件を満たす必要があります。また、必要書類の収集や申請時の注意点を理解し、適切に対処することで、申請プロセスをスムーズに進めることができます。

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、永住ビザに関する無料相談を受け付けております。スタッフ全員が行政書士の資格を持ち、弁護士の指導のもと、ビザ申請・外国人雇用・労務・契約書など、的確なアドバイスを提供しています。申請書類の準備や要件判断においても、豊富な経験を持つプロフェッショナルがサポートいたしますので、ご安心してご相談ください。

※本稿の内容は、2024年9月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所

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