ビザ申請

外国人が転職するときの就労ビザの手続は?ビザ申請のサポートに強い法律事務所が解説

by 弁護士 小野智博


外国人が転職した際のビザ手続きについて

外国人が転職した際には、技術・人文知識・国際業務ビザ(※)の場合はすぐに行う手続きはありません。次の在留期間更新許可申請のときに転職先の会社のパンフレットや直近の決算書を提出することで対応します。すぐに行う手続きがないとはいえ、あとから職務も含め審査されることになります。転職後の職務も現時点で保有している在留資格の範囲内の職務であることが大原則ですので、転職の際は気を付けましょう。また、会社側も任せる職務が在留資格の範囲内であるか確認するようにしましょう。採用試験のタイミングで在留カードを提示していただくのは人権上の配慮から望ましくないという考えもあります。面接では口頭での確認に留め、採用決定後に在留カードを確認する方が安心です。また、本来の在留資格では認められていない活動であっても資格外活動許可を得て行っている場合もあります。在留カードを確認する際は裏面まで確認するようにしましょう。

(※)「ビザ」とは本来は「査証(入国許可証)」のことを指しますが、本記事では一般的に使用されている「在留資格」の意味で使用しています。

転職なしの場合の在留期間更新許可申請について

手続きできる期間について

転職なしの場合の在留期間更新許可申請は、在留期間が満了する日の約3ヶ月前から行うことができます。ただし、3ヶ月以内の在留期間の場合は、その在留期間のおおむね2分の1以上経過したときから申請が可能です。

必要書類について

法人・個人(個人事業主)のカテゴリーごとに異なります。
◆カテゴリー一覧

カテゴリー1
(いずれかに該当する企業)
1.日本の証券取引所に上場している会社
2.保険業を営む相互会社
3.日本又は外国の国・地方公共団体
4.独立行政法人
5.特殊法人・認可法人
6.日本の国・地方公共団体認可の公益法人
7.法人税法別表第1に掲げる公共法人
8.高度専門職省令第1条第項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業
9.一定の条件を満たす企業等
カテゴリー2
(いずれかに該当する企業)
1.前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
2.カテゴリー3に該当することを立証する資料を提出した上で、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関
カテゴリー3 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)
カテゴリー4 上記いずれにも該当しない団体・個人
共通して必要な書類
在留期間更新許可申請書
証明写真1枚
パスポート及び在留カード(提示のみ)
申請人が派遣社員の場合は、申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書(雇用契約書)等)1通
カテゴリー1の場合
カテゴリー1に該当することを証明する書類
・四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
・高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業であることを証明する文書(補助金交付決定通知書の写しなど)
・上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(認定証等の写しなど)
カテゴリー2の場合
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)
※カテゴリー3に該当することを立証する資料を提出した上で、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関の場合
カテゴリー3の場合
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
住民税の課税(非課税)証明書 1通
納税証明書 1通
カテゴリー4の場合
住民税の課税(非課税)証明書 1通
納税証明書 1通

参考:在留資格「特定活動」(インターンシップ・サマージョブ・国際文化交流)(出入国在留管理庁-法務省)
在留資格「技術・人文知識・国際業務」 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

審査期間について

転職なしの場合の在留期間更新許可申請の審査期間はおおよそ2週間から1ヶ月程度です。比較的短いですが、なるべく余裕を持って申請するようにしましょう。

費用について

許可がおりて、新しい在留カードを受ける際に4,000円の手数料がかかります。申請日から2週間から1ヶ月程すると申請書を提出した方宛に通知書が届きます。その通知書とパスポート、在留カード、申請受付表(申請時に発行されます)、4,000円の収入印紙を貼付した手数料納付書を持って出入国在留管理局で新しい在留カードを受け取ります。

転職ありの場合の在留期間更新許可申請について

手続きできる期間について

転職ありの場合の在留期間更新許可申請も、在留期間が満了する日の約3ヶ月前から行うことができます。ただし、3ヶ月以内の在留期間の場合は、その在留期間のおおむね2分の1以上経過したときから申請が可能です。

必要書類について

転職なしの場合の必要書類に加え、以下の書類が必要です。

カテゴリー1及びカテゴリー2
原則として追加書類なし
カテゴリー3・カテゴリー4の場合(共通)
申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料
(1)労働契約を締結する場合
労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書 1通
(2)日本法人である会社の役員に就任する場合
役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し 1通
(3)外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合
地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書
登記事項証明書
事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
(1)勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通
(2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通
直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通
カテゴリー4のみ
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
(1)源泉徴収の免除を受ける機関の場合
外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通
(2)上記(1)を除く機関の場合
給与支払事務所等の開設届出書の写し 1通
次のいずれかの資料
(ア) 直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し) 1通
(イ) 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料 1通

審査期間について

転職ありの場合の在留期間更新許可申請の審査期間はおおよそ1ヶ月から3ヶ月です。転職ありの場合は本人の状況だけでなく、転職後の会社の経営状況や、転職後の会社での職務内容等も審査の対象に含まれるため転職がない場合よりも時間がかかります。必ず余裕を持って申請するようにしましょう。

費用について

転職なしの場合と同じく、許可がおりて、新しい在留カードを受ける際に4,000円の手数料がかかります。申請日から2週間から1ヶ月程すると申請書を提出した方宛に通知書が届きます。その通知書とパスポート、在留カード、申請受付表(申請時に発行されます)、4,000円の収入印紙を貼付した手数料納付書を持って出入国在留管理局で新しい在留カードを受け取ります。

高度専門職1号・2号ビザの場合は転職前に手続きが必要

高度専門職1号ビザは、就労資格の制限や永住許可要件の緩和があり、一定の要件のもと家族の招へいもできるので近年注目されています。しかし、その分在留資格の管理は慎重に行われますので注意が必要です。

高度専門職1号ビザとは

高度専門職1号ビザとは、レベルの高い専門的な能力を持つ外国人を対象にした就労ビザです。一律5年の在留期間が付与されます。優秀な外国人に来てもらうことで、日本の学術研究や経済の発展につなげることを目的としています。高度専門職ポイント(「高度専門職ポイント計算表」による)の合計が70点以上になると高度専門職ビザを取得することができます。

高度専門職2号ビザとは

高度専門職ビザ1号で3年以上の在留実績のある外国人は、高度専門職ビザ2号へ変更し得ます。高度専門職2号ビザになると、在留期間が無期限となり、1号の活動内容に加えて、ほぼ全ての就労ビザで認められる活動が行えるようになります。

高度専門職ビザの場合は在留資格変更許可申請が必要になる

高度専門職ビザはポイント制で在留資格を満たすか否か判断しますが、ポイントの中には所属する企業に関することや年収も含まれています。転職して所属する企業が変われば、ポイント数も変わることから、高度専門職ビザの場合は、転職時に高度専門職ビザから高度専門職ビザへの在留資格変更許可申請が必要になります。

在留期間更新許可申請の審査でチェックされるポイント

入管法には「在留期間更新許可申請があった場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる」と定められています。職務が在留資格に適合しているかだけでなく、在留態度も審査対象に含まれます。

在留資格通りの活動をしていること

在留期間更新は、在留資格はそのままに期間だけ更新することを指します。そのため、これまでの期間、在留資格通りの活動を行っていたかは確実に審査されるポイントです。

法律違反をしていないか

日本に在留する以上「日本のルールを守ること」は当たり前のことです。交通違反があった場合も違反の程度や回数によっては審査に影響があります。

きちんと納税をしているか

ただ納税をしているだけでなく、しかるべきタイミングで納税していることも求められます。過去に滞納していると、最終的に納税したとしても審査に影響があります。

所属する会社の財政状況(転職時)

外国人がしっかりと能力を発揮するためには、雇用が安定的に維持できると見込まれなければなりません。そのため、所属する会社の財政状況も審査の対象になります。売上高や他社との取引状況、従業員数など複合的に判断されます。

業務内容の適合性(業務内容が変わった場合)

業務内容が在留資格に適合することだけでなく、事業内容と外国人労働者が従事する業務との関連性も審査のポイントになります。在留期間更新許可申請を行う外国人の能力が所属する会社に必要であるかが審査されます。

もしも不許可になったらどうなるの?

在留期間更新許可申請が不許可になっても、在留期間内であれば再申請することができます。ただし、不許可になった理由が解消されない限りは許可される可能性はありませんので、不許可になった理由を確認し、資料を揃えて万全を期して再申請することが必要です。しかし、在留態度が良くなかったなど理由によってはすぐの再申請が難しいこともあります。その場合は一度帰国してから新たに在留資格認定証明書(資格証明書)交付申請を行う方法があります。

まとめ (外国人学生のインターシップビザの申請を弁護士・行政書士に依頼するメリット)

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、就労ビザや転職時のビザ対応、ビザ更新についての無料相談を受け付けています。いつでもご相談ください。
ビザ更新は一度不許可になってしまうと、その後許可をしてもらうハードルがとても高くなってしまいます。一度で許可をしてもらうには、審査のツボを押さえることが必要です。また、転職時の対応も在留資格によって異なります。もし適切な対応をしないと不法就労に問われてしまう可能性もありますので注意が必要です。外国人が適正に滞在し就労するためには専門的な知識が欠かせません。
当法律事務所では、スタッフ全員が行政書士の資格を持ち、弁護士の指導のもと、ビザ申請・外国人雇用・労務・契約書など、法務の専門知識を持ったプロフェッショナルがそろっています。ご安心してご相談ください。

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