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アメリカに渡航するためのビザの一つに観光ビザ(B-2ビザ)があります。どのような場合に観光ビザ(B-2ビザ)を取得する必要があるのでしょうか。
この記事では、アメリカ観光ビザ(B-2ビザ)が必要なケース及びその概要や申請手順について、法律事務所が分かりやすく解説します。
目次
観光でアメリカに滞在する場合にビザは必要?―ビザ免除プログラム
ビザとは、渡航先の国・地域が、外国籍の渡航者の申請に基づき発行する入国許可証のようなものです。日本国籍の方が観光のためにアメリカに渡航する場合、一定の条件を満たせば、ビザ免除プログラム(VWP: Visa Waiver Program)の適用を受けることができ、ビザなしで90日以下の滞在が可能です。
ESTA(電子渡航認証システム)
ESTA(Electronic System for Travel Authorization)は、ビザ免除プログラム(VWP)を利用してアメリカへ渡航する方の適格性を判断する電子渡航認証システムです。渡航目的が観光でアメリカ滞在が90日以内であれば、ESTAを申請し、承認を得ることで、渡米することができます。
ESTAの申請は渡米の72時間以上前までに申請することが推奨されており、有効期間は2年間です。ただし、2年以内にパスポートの期限が切れる場合は、パスポートの有効期限日をもって無効となります。
なお、ESTAの申請費用は、2025年9月30日から、従来の21ドルから40ドルに引き上げられました。
GUAM-CNMI ETA(グアム-北マリアナ諸島連邦電子渡航認証)
日本国籍の方は、グアム及びサイパン等の北マリアナ諸島に観光目的で滞在する場合、グアム-北マリアナ諸島連邦ビザ免除プログラムの対象となり、45日以内の滞在であれば、事前に、グアム-北マリアナ諸島連邦電子渡航認証(GUAM-CNMI ETA:Guam and the Commonwealth of the Northern Mariana Islands Electronic Travel Authorization)を申請し、認証を得ることで、渡航することができます。
GUAM-CNMI ETAは、渡米の7日前までに申請することが推奨されており、有効期限はESTA同様2年間で、申請費用は無料です。
・海外出張でアメリカに渡航するには?ビザ申請や ESTA 利用の条件を徹底解説
ビザ免除プログラムを利用できない場合とは?
アメリカに観光目的で滞在する場合、利便性の観点から、多くの日本国籍の方にとってビザ免除プログラムを利用することが第一の選択肢となるでしょう。一方、ビザ免除プログラムを利用できない場合は、観光ビザ(B-2)を取得する必要があります。
ビザ免除プログラムを利用できない場合とは、具体的にどのような場合が該当するのでしょうか。
滞在日数が90日を超える場合
ESTAで滞在可能な日数は90日以内です。アメリカでの滞在が90日を超える場合は、観光ビザ(B-2)の取得が必要です。
特定の国への渡航歴がある場合
以下の国への渡航歴がある方は、ビザ免除プログラム(VWP)を利用できません。
- 2011年3月1日以降:イラン、イラク、北朝鮮、スーダン、シリア、リビア、ソマリア、イエメン(公務による渡航の場合は例外あり)
- 2021年1月12日以降:キューバ
特定の国との二重国籍者
日本を含むビザ免除プログラム参加国の国籍と、キューバ、イラン、イラク、北朝鮮、スーダン、またはシリアのいずれかの国籍を有する二重国籍者の方は、ビザ免除プログラム(VWP)を利用できません。
観光または短期商用以外の目的でアメリカに渡航する場合
ESTAは、アメリカでの滞在目的が観光・短期商用の場合に利用できるシステムです。そのため、就労目的など、観光や短期商用以外の目的でアメリカに滞在する場合は、ESTAではなく、目的にあった適切なビザを取得する必要があります。
過去にアメリカでの入国拒否歴がある場合
過去にESTAを申請して入国を拒否されたことがある場合、再度ESTAを利用することは難しくなります。ESTAによる入国が拒否される代表的な例としては、オーバーステイ(滞在期間超過)、犯罪歴がある場合等が該当します。
観光ビザ(B-2)の概要と申請資格
観光ビザ(B-2)の申請を検討するにあたり、まずは観光ビザ(B-2)がどのようなビザであるかを見ていきましょう。
観光ビザ(B-2)の概要
観光ビザ(B-2)は、主に観光、友人や家族を訪問する際に申請するビザであり、社会的奉仕活動、手術や治療など休養を目的とする場合にも適用されます。これらの目的で渡米する際、ビザ免除プログラムを利用できない場合は、観光ビザ(B-2)の取得が必要です。
滞在期間は、一度の渡米につき最長6カ月で、アメリカへの入国審査の際に決定されます。
観光ビザ(B-2)の申請資格
観光ビザ(B-2)を申請する場合、以下のことを示す必要があります。
■渡米目的が、観光、娯楽、治療など一時的な訪問であること
■一定の、限られた期間のみアメリカに滞在する計画であること
■アメリカでの滞在期間中にかかる費用をまかなう資金を有する証明ができること
■アメリカ国外に居住していること、及び、アメリカ国外に社会的・経済的な強いつながりがあり、訪問の終了時には確実に帰国すること
観光ビザ(B-2)を取得するためには、ESTAで許可される90日の滞在期間では足りない理由を、明確に示さなければなりません。また、目的が完了したら必ず帰国することやアメリカで働く意思がないこと等をしっかり証明することが必要です。
観光ビザ(B-2)申請の流れと手順
観光ビザ(B-2)申請の流れ
アメリカの観光ビザ(B-2)申請の大まかな流れは以下のとおりです。
| STEP1:自身の状況、渡航目的及び滞在期間を確認する→STEP2: 申請書の作成→STEP3: 申請料金の支払い及び面接予約→STEP4: 必要書類の準備→STEP5: 面接に出席→STEP6: ビザの受領 |
観光ビザ(B-2)申請の手順
■STEP1: 自身の状況、渡航目的及び滞在期間を確認する
まずはご自身の渡航目的や滞在期間から、観光ビザ(B-2)の申請が必要かどうか確認しましょう。
例えば、滞在期間が90日以内の観光や治療が目的で、ビザ免除プログラムを利用できる場合は、観光ビザ(B-2)を取得する必要はありません。90日以上の滞在や特定の国への渡航歴がある場合等は、ビザ免除プログラムの適用外となるため、観光ビザ(B-2)の取得を検討しましょう。
なお、ビザの申請者は渡米予定日の少なくとも3か月前には申請を行うことが推奨されています。ビザ申請が必要な方は渡航日までの日数に十分な余裕を持ってビザを申請するのがよいでしょう。
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■STEP2: 申請書の作成
非移民ビザオンライン申請書を作成します。
作成を開始する前に、お手元にパスポートとパスポートサイズの写真のデジタルファイルを準備しましょう。作成には90分ほどかかりますので、時間に余裕を持って作成するのがよいでしょう。20分間入力を停止すると、セッションが終了するため注意が必要です。また、入力した情報を保存して、後から入力画面に戻って完了させることもできるため、入力した情報はこまめに保存しながら進めてください。
「Select a location where you will be applying for this visa」で日本の場合はJAPANを選択します。Locationを選んだら、Start an applicationをクリックして次に進み、画面右上に表示されるApplication IDを忘れずにメモしましょう。入力を途中で中断し、再開するときにこのApplication IDが必要となります。
申請には、以下の個人情報の入力が必須です。
・姓名
・性別
・生年月日
・出生地
・国籍
・ビザの種類(渡航目的に応じたビザを選択)
・直近5回の渡米歴
直近5回すべての渡米情報(到着日および滞在期間)を入力します。アメリカ本土およびハワイ、グアム、サイパンなどの米国諸島への渡航歴や、アメリカ領内の通過または乗り継ぎなどに関する情報もすべて入力する必要があります。
母国語で姓名を記入するよう要求される箇所を除いて、全ての質問には英語で回答する必要があります。到着予定日や滞在期間の詳細が決まっていない場合は目安の記入で構いません。渡航歴情報では、アメリカに旅行や長期滞在をしたことがある方はパスポートの記録と照らし合わせて正確に入力します。
作成が完了した申請書には、英数字のバーコードの確認ページが作成されます。確認ページは、大使館(領事館)での面接の際に必要となりますので、確認ページを印刷したら、Webブラウザの「戻る」ボタンをクリックして、ご自身宛に申請書のバックアップコピーをメールで送信するとよいでしょう。
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■STEP3: 申請料金の支払い及び面接予約
観光ビザ(B-2)申請料金(185 USD)の支払いと面接予約を行います。お手元に、パスポートとデビット/クレジットカードを準備しましょう。
初めてアメリカビザを申請する方は、アメリカ大使館のウェブサイトからユーザー登録し、プロファイルを作成します。アメリカビザを申請したことがある方は、既存のユーザー ID とパスワードを使用してログインし、プロファイルを変更できます。
申請料金の支払いが完了し、プロファイル上でレシート番号が反映されたら、面接の予約に進みましょう。
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■STEP4: 必要書類の準備
観光ビザ(B-2)の申請に必要な書類は下記でご紹介します。
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■STEP5: 面接に出席
ビザを取得するためには、本人が直接、アメリカ大使館(領事館)での面接に出席する必要があります。
面接に出席する際は、大使館(領事館)への持ち込みが認められていないものは持参しないよう、注意が必要です。持ち込みが認められていない物を持参した場合、入館することができません。
<持ち込み可>
✔︎ 携帯電話1台
✔︎ 手持ち可能なバッグ1点(25cmx25cm以下)
✔︎ ビザ申請関連書類が入った透明なクリアフォルダー
✔︎ 傘、ただし荷物検査前にセキュリティゲートの外の傘たてに置くこと
✔︎ ベビー用品(ミルク・おむつ・お湯など)
✔︎ ベビーカー(待合室の外に保管場所あり)
<持ち込み不可>
✔︎ ノートパソコン、iPad、USBメモリ、電子手帳、スマートウォッチ、ポケベル、カメラ、オーディオ/ビデオカセット、コンパクトディスク、MP3、フロッピーディスク、ポータブル音楽プレーヤーなどの電子機器
✔︎ 許可されたサイズ(25cmx25cm以下)を超える大きなかばん(バックパック、リュックサック、ブリーフケース、旅行かばん、スーツケース等)
✔︎ 食品全般
✔︎ 煙草、葉巻、マッチ、ライター
✔︎ はさみやナイフ、爪やすりなどの先の尖った物
✔︎ 全ての武器、凶器、火薬、爆発物
※上記リストに限らず、警備員の指示により持込みが禁止される物があります。
なお、写真やビデオの撮影は禁止されていますので、注意しましょう。
また、待ち時間が長くなる可能性があるため、面接当日は時間に余裕を持ったスケジュールを立てましょう。自分の番が来たら指紋を取った後、面接に進みます。
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■STEP6: ビザの受領
ビザ申請が許可されると、通常、面接後15日程度で、面接予約の際に選択した受け取り方法(指定窓口または郵送での受け取り)でパスポートとビザを受け取ることができます。
- Ayobas Service Centerで受け取る場合(東京及び大阪)
料金:無料(ビザ申請料金に含まれる)
保管期限:15営業日
場所:東京(新宿区)、大阪(大阪市西区)
パスポートがAyobas Service Centerに到着したら、@ayobaspremium.jp のドメインアドレスから申請者宛にメールが届きます。受け取りの際は、顔写真付き身分証明書が必要です。保管期限を過ぎた場合、パスポートは大使館(領事館)に返却されます。 - 通常配達で受け取る場合(那覇)
料金:無料(ただし、再配達が必要な場合はプレミアム配達料金(3,410円)を支払わなければならない場合がある)
那覇で観光ビザ(B-2)の申請をされる方は、本サービスを選択してください。パスポートは、宅急便で申請者のプロファイルに登録されている住所へ送付されます。 - プレミアム配達で受け取る場合
料金:3,410円(面接予約時に支払いが必要)
パスポートは、宅急便で申請者のプロファイルに登録されている住所へ送付されます。パスポートの発送準備が完了した時点で、プロファイルに登録されたメールアドレス宛に宅配便の追跡番号が通知されます。追跡番号を受け取ったら郵便局のウェブサイトから配達状況の追跡が可能です。
観光ビザ(B-2)申請の必要書類
観光ビザ(B-2)の申請及び面接時に必要な書類は以下のとおりです。
| 必要書類 |
| 必ず準備する書類 |
| ① 申請書確認ページ
② アメリカでの滞在予定期間に加えて6か月以上の残存有効期間があるパスポート ③ 過去10年間に発行された古いパスポート ④ 証明写真1枚(5cm x 5cm)、6か月以内に撮影した背景が白のカラー写真。アプリ等で加工した写真、眼鏡を着用した写真は不可。申請書確認ページ左上に留めてください。 ⑤ 面接予約確認書 ⑥ ※日本国籍以外の申請者で日本居住者の方のみ |
| 補足書類 |
| 状況に応じて、下記の書類を提出することが推奨されています。
英語以外の書類には英訳が必要です。 ① 予定している旅行に関する旅程表 ② 休暇許可やアメリカへの旅行に際して仕事上の目的がある方:その目的を詳述した雇用主の書簡 ③ 逮捕または有罪判決を受けたことがある方:刑期満了済みや恩赦されたとしても、それに関する犯罪や裁判の記録 ④ 親族訪問のためにビザを申請する方:親族の滞在資格証明(グリーンカード、帰化証明書、有効なビザなど)のコピー ⑤ これまでにアメリカに入国したことがある方:入国資格またはビザ資格を証明する書類 ⑥ 治療を目的として渡航する方: |
アメリカ観光ビザに関するよくあるご質問・Q&A
観光ビザ(B-2)とビザ免除プログラム(ESTAによる承認)との違いは何ですか?
観光ビザ(B-2)で可能なアメリカでの活動内容は、ビザ免除プログラム(ESTAによる承認)で可能なアメリカでの活動内容と同じです。
ただし、ビザ免除プログラム(ESTAによる承認)の滞在可能期間は最長で90日であるため、90日以上アメリカに滞在する予定がある場合は、観光ビザ(B-2)を申請する必要があります。また、特定の国(イラン、イラク、北朝鮮など)への渡航歴がある場合は、ビザ免除プログラムは適用されません。
さらに、ビザ免除プログラム(ESTAによる承認)はオンラインで完結し、通常は72時間以内で取得できるのに対し、観光ビザ(B-2)を取得するには、必要書類を揃え、アメリカ大使館(領事館)での面接を受ける必要があり、渡航予定日の6~8週間前の申請が推奨されています。
観光ビザ(B-2)の有効期間内に複数回アメリカに渡航することができますか。
ビザの有効期間内に渡航できる回数の制限はありません。ただし、渡米を繰り返し、アメリカに長期間滞在する場合、移民目的であると判断されてしまう可能性があります。移民目的ではなく、滞在終了後は必ずアメリカ国外の居住地に戻る意思があることを証明することが重要です。
以前取得した観光ビザ(B-2)がもうすぐ失効します。再度申請する際も面接に出席する必要がありますか。
一定の条件を満たし、郵送申請の資格がある場合は、申請者はアメリカ大使館(領事館)で面接を受けずにビザを申請することができます。
観光ビザ(B-2)を更新する場合、以下の要件を満たす申請者は面接免除の対象となる可能性があります。
- 観光ビザ(B-2)が現在有効であるか、または過去12ヶ月以内に失効しており、かつ前回のビザ発給時に申請者が18歳以上
- 居住地での申請
- 前回のビザ発給時に10本すべての指紋が採取されている
- 前回のビザが紛失、盗難、または取り消されていない
- 前回のビザに「Clearance Received」または「Waiver Granted」の記載がない
- 申請者が過去にビザを却下されたことがない 等
まとめ(アメリカ観光ビザの申請を法律事務所に依頼するメリット)
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、アメリカ観光ビザ(B-2)についての無料相談を受け付けています。
アメリカ観光ビザ(B-2)の取得を検討する際は、目的や滞在期間を確認し、ESTA(電子渡航認証システム)ではなく観光ビザ(B-2)を選択する必要性を検討しなければなりません。また、観光ビザ(B-2)取得のためには、申請書類や面接など入念な準備が必要です。
当法律事務所では、スタッフ全員が行政書士の資格を持ち、弁護士の指導のもと、ビザ申請・外国人雇用・労務・契約書など、法務の専門知識を持ったプロフェッショナルがそろっています。「観光ビザ(B-2)を取得するべきなのかわからない」「必要書類や面接準備に不安があるので相談にのってほしい」等、お客様のご要望に迅速にお応えいたします。安心してご相談ください。
※本稿の内容は、2025年12月現在の情報に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。
執筆者:弁護士小野智博
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