ビザ申請

技能ビザの更新・変更時の必要書類は? 手続きの種類や必要となるタイミングも解説

by 弁護士 小野智博



「技能」で認定をうけた在留資格の期限がもうすぐ切れてしまう、転職や業務内容の変更で就労する職種が変わってしまう、などの場合には、正しい方法で技能ビザの更新や変更を行っておかなければなりません。
せっかく日本で一生懸命活躍している外国人労働者が万が一にも意図せぬ不法就労にあたってしまわぬよう、技能ビザの更新や変更について必要となる状況・必要書類などを詳しく把握しておきましょう。

▼技能ビザについての総合的な解説はこちらの記事でもおこなっています。
https://pm-lawyer.com/240830/

技能ビザを更新・変更しなければならないのはどのようなタイミング?

技能ビザは一度認可がおりればずっと日本に在留できるといった永続的な効果をもつものではなく、期間の経過や状況の変化に応じて、随時更新をしなければならないものです。
いま現在、技能ビザを取得済みで日本で就労している外国人の方や、そのような状況の外国人を雇い入れている企業の法務ご担当者や人事ご担当者は、技能ビザを更新すべきタイミングについて把握しておきましょう。

取得した在留資格の期限が切れてしまう場合

技能ビザで許可された在留資格には、期限があります。ただし期限が切れるからといって、そのたびに出国・査証取得・入国といったことが必要になると本人の負担が大変大きくなるため、入管法においては在留期間を更新する仕組みが用意されています。この更新の手続きにおいて、引き続き在留することが適当であると判断された場合には、在留資格の更新がおこなわれます。

技能ビザ取得時に許可される在留期間は、5年・3年・1年・3か月の4通りがあります。これらの期間のいずれになるかは、申請者の申請理由や希望在留期間などを踏まえつつも、審査によって決定されています。

更新手続きをおこなうタイミングについては在留期間の満了する日以前となり、6か月以上の在留期間を有している場合には原則、期間が満了する概ね3か月前から申請が可能となっています。

転職や業務内容変更などによって在留資格が該当しなくなった場合

技能ビザで許可された在留資格のうちには、在留期間のほか、どのような業務内容でどの機関(企業など)に就労するか、といった条件も含まれています。

そのため、例えば料理人として技能ビザを取得していたが担当業務内容が料理人ではなくなってしまう場合や、あるいは同じ料理人という職種であっても転職によって就労先が変更になる場合などには、あらためて在留の要件などに関して審査を受ける必要が生じます。
この場合、再び技能ビザの許可がおりても、それは以前の資格内容が継続しているのではなく内容が変更となっているため、技能ビザの更新ではなく「変更」という取扱いとなります。

変更手続きをおこなうタイミングについては、在留資格の変更の事由が生じた時点から申請が可能であり、遅くとも在留期間満了日以前までに終える必要があります。

在留資格内容は変わらず、期間を更新する場合には「在留期間更新許可申請」

技能ビザで認められていた在留期間が満了することによる更新の手続きは、出入国管理及び難民認定法第21条で定められた、「在留期間更新許可申請」で行います。文字通り、「期間の更新」が目的となっていることがポイントです。

「在留期間更新許可申請」手続きの概要

技能ビザで認可されていた業務内容や就労先に変更がない場合で、在留期間を更新する場合の手続きです。

申請先

住居地を管轄する地方出入国在留管理官署(オンライン申請可)

申請者

申請人となる就労外国人本人、あるいは法定代理人、取次者(申請取次の承認を受けた企業など)

かかる手数料

更新が許可される際に4,000円を納付(手数料納付書に収入印紙を貼付)

※参考:出入国在留管理庁『在留期間更新許可申請』
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html

職場や職務内容が変わる場合には「在留資格変更許可申請」

技能ビザで認められていた業務内容や就労先が変更となる場合の手続きは、出入国管理及び難民認定法第20条で定められた、「在留資格変更許可申請」で行います。こちらの手続きは「資格の変更」が目的となっています。

「在留資格変更許可申請」手続きの概要

技能ビザで認可されていた業務内容や就労先に変更が生じた場合に、在留資格を新しい内容へ変更するための手続きです。

申請先

住居地を管轄する地方出入国在留管理官署(オンライン申請可)

申請者

申請人となる就労外国人本人、あるいは法定代理人、取次者(申請取次の承認を受けた企業など)

かかる手数料

変更が許可される際に4,000円を納付(手数料納付書に収入印紙を貼付)

※参考:出入国在留管理庁『在留資格変更許可申請』
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-2.html

「在留期間更新許可申請」と「在留資格変更許可申請」の必要書類一覧

前項までで解説した、技能ビザの「在留期間更新許可申請」および「在留資格変更許可申請」において、申請時に必要となる書類をそれぞれ一覧でご紹介します。
ご紹介する必要書類はいずれの場合でも原則の内容となりますので、個別状況の違いや審査の過程により、別途異なる書類が必要となることもあります。詳しくは、事前に地方出入国在留管理官署や外国人在留総合インフォメーションセンター、あるいは法律手続きの専門家へご相談ください。

尚、下記一覧における「カテゴリー」とは、申請する外国人が就労する機関の規模や用意できる書類などによってカテゴリー1〜4の4つの区分が定義されているものです。カテゴリーの区分について詳しくは、出入国在留管理庁の公式ページでご確認ください。

※参考:出入国在留管理庁『在留資格「技能」調理師としての活動(熟練した技能を要する業務に従事する活動)を行おうとする場合』
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/skilledlabor01.html
※参考:出入国在留管理庁『在留資格「技能」調理師以外の活動(産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動)を行おうとする場合』
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/skilledlabor02.html

在留期間更新許可申請の必要書類

技能ビザの在留期間更新許可申請の際に必要となる原則的な書類は以下のとおりです。

カテゴリー1 カテゴリー2 カテゴリー3 カテゴリー4
【全カテゴリー共通書類】
・在留期間更新許可申請書 1通
・本人写真 1枚(申請書に添付)
・パスポート、在留カード(提示)
【申請人本人以外の人物や団体が申請書類を提出する場合】
・提出する人物や団体の身分を証する文書(申請取次者証明書や戸籍謄本など)
【カテゴリーに該当することを証明する書類】
・四季報の写しあるいは日本の証券取引所に上場済であることを証明する文書の写し
・主務官庁からの設立許可を証明する文書の写し
・「イノベーション促進支援措置」やその他一定の条件に合致しカテゴリー1となる場合は、その条件を満たす企業であることを証明する文書の写し
【カテゴリーに該当することを証明する書類】
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
・在留申請オンラインシステムの利用申出が承認されている機関の場合、その承認を証明する文書の写し
【カテゴリーに該当することを証明する書類】
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
【カテゴリーに該当することを証明する書類】
左記のいずれも提出不可の場合、カテゴリー4となる
【住民税に関する書類】
・住民税の課税、あるいは非課税についての証明書 1通
・納税証明書 1通
【当該カテゴリの機関への転職後、初めての更新許可申請の場合】
・申請人の活動内容等を明示する資料(労働条件を明示する文書、日本法人の役員へ就任の場合は定款の写しや株主総会の議事録の写しなど)
・就労先の事業内容を明示する資料(組織の詳細が記された案内書、登記事項証明書など)
【前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出できない理由を明示する資料】
・源泉徴収に対する免除証明書など

▼在留期間更新許可申請書のダウンロード先
(PDF)https://www.moj.go.jp/isa/content/930004094.pdf
(Excel)https://www.moj.go.jp/isa/content/930004095.xlsx
※ダウンロード先URLが変更になっている場合には、出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください

在留資格変更許可申請の必要書類

技能ビザの在留資格変更許可申請の際に必要となる原則的な書類は以下のとおりです。
尚、下記表のうちカテゴリー3および4で示している「申請人の職歴を証明する文書」については、就労する職業および状況により多岐にわたるため、後述の【別表】の項でまとめて記載しています。

カテゴリー1 カテゴリー2 カテゴリー3 カテゴリー4
【全カテゴリー共通書類】
・在留資格変更許可申請書 1通
・本人写真 1枚(申請書に添付)
・パスポート・在留カード(提示)
・従事する業務内容の証明となる所属機関の文書 1通
・申請に係る技能について、過去に従事した機関や業務内容、期間を明示した履歴書
【申請人本人以外の人物や団体が申請書類を提出する場合】
・提出する人物や団体の身分を証する文書(申請取次者証明書、戸籍謄本など)
【カテゴリーに該当することを証明する書類】
・四季報の写しあるいは日本の証券取引所に上場済であることを証明する文書の写し
・主務官庁からの設立許可を証明する文書の写し
・「イノベーション促進支援措置」やその他一定の条件に合致しカテゴリー1となる場合は、その条件を満たす企業であることを証明する文書の写し
【カテゴリーに該当することを証明する書類】
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
・在留申請オンラインシステムの利用申出が承認されている機関の場合、その承認を証明する文書の写し
【カテゴリーに該当することを証明する書類】
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
【カテゴリーに該当することを証明する書類】
左記のいずれも提出不可の場合、カテゴリー4となる
【申請人の職歴を証明する文書】
※下記別表参照
【活動内容や就労先事業内容を明示する資料】
・申請人の活動内容等を明示する資料(労働条件を明示する文書、日本法人の役員へ就任の場合は定款の写しや株主総会の議事録の写しなど)
・就労先の事業内容を明示する資料(組織の詳細が記された案内書、登記事項証明書など)
・就労先の直近年度の決算文書の写し、新規事業の場合は事業計画書
【前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出できない理由を明示する資料】
・源泉徴収に対する免除証明書など

▼在留資格変更許可申請書のダウンロード先
(PDF)https://www.moj.go.jp/isa/content/930004064.pdf
(Excel)https://www.moj.go.jp/isa/content/930004065.xlsx
※ダウンロード先URLが変更になっている場合には、出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください

【別表】在留資格変更許可申請時の「申請人の職歴を証明する文書」

技能ビザの在留資格変更許可申請時には申請人の職歴を証明する文書の提出が必要となりますが、技能ビザ申請に係る職業(変更後の職業)が「料理人」であるか、それ以外の職業であるかという点や、そのほかの個別状況によって必要書類が異なります。

「料理人」の場合 「料理人以外」で、技能ビザ要件に適合する職業の場合
【職歴を証明する文書(タイ料理人の場合)】
・タイ料理人としての実務経験(5年以上)を証明する文書
※下記、タイ料理人としての技能水準に関する証明書の取得要件のための教育期間での学習期間を含む
・タイ労働省によって公的に発行される、タイ料理人としての技能水準に関する証明書(初級以上)
・申請日の直近1年の間に、タイ本国でタイ料理人としての報酬を得ていたことを証明する文書
【職歴を証明する文書(外国特有の建築技術者、製品製造者、動物の調教師、海底掘削・探査技術者、宝石・貴金属・毛皮の加工技能者の場合)】
・当該技能を要する業務に従事した事実および期間を証明する文書(在職証明書など)
【職歴を証明する文書(タイ料理以外の料理人の場合)】
・当該料理の技能を要する業務に従事した事実(教育機関での専攻含む)および期間を証明する文書(在職証明書、卒業証明書など)
・公的機関による証明書の写し(中華料理人の場合、戸口簿や職業資格証明書)
【職歴を証明する文書(パイロットの場合)】
・所属機関発行の250時間以上の飛行経歴を証明する文書
【職歴を証明する文書(スポーツ指導者の場合)】
・スポーツ指導の実務に従事した事実(教育機関での専攻含む)および期間を証明する文書
・選手としてオリンピック大会や世界選手権大会、国際的な競技会などに出場したことを証明する文書
【職歴を証明する文書(ソムリエの場合)】
・ぶどう酒の鑑定や評価、保持、提供などの技能を要する業務に従事した事実(教育機関での専攻含む)および期間を証明する文書(在職証明書、卒業証明書など)
・ぶどう酒の鑑定などに関する国際的規模での協議会で優秀な成績をおさめたことを証明する文書、もしくは国際ソムリエコンクールで国の代表(1国につき1名)となったことを証明する文書
・協議会の成績やコンクール代表歴を提示できない場合は、国(外国含む)や地方公共団体あるいはこれらに準ずる公私の機関が認定する資格(法務大臣が告示をもって定める資格)を有することを証明する文書

「在留期間更新許可申請」と「在留資格変更許可申請」のガイドライン

本記事でここまで、「在留期間更新許可申請」および「在留資格変更許可申請」についての概要や要件、申請先や必要書類をまとめて解説しましたが、実際に手続きの準備をすすめるにあたっては出入国在留管理庁のサイト、およびガイドラインなどもぜひご確認ください。

以下に、出入国在留管理庁によるガイドライン(PDFファイル)へのリンクを掲載しています。

▼出入国在留管理庁『在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン』
https://www.moj.go.jp/isa/content/930004753.pdf

技能ビザの更新や変更ができなくなるケース

技能ビザの更新や変更にあたっては、たとえ職歴を満たしていて必要書類が正しく揃っていたとしても、出入国在留管理庁による厳密な審査の結果として、残念ながら更新や変更が不可となる場合もあります。
あくまで一例ではありますが、例えば税金を滞納中、もしくは過去に滞納歴がある場合や、発行されていた在留カードを紛失していて再発行手続きもおこなっていなかった場合、そのほか在留資格者が刑事罰に処されている場合などには、技能ビザの更新や変更は現実的に難しくなります。

技能ビザ更新・変更の必要書類は余裕をもって準備しておこう

技能ビザの更新や変更をおこなう際には、それらの手続きが必要となるタイミングや状況についてあらかじめ把握しておき、「在留期間更新許可申請」や「在留資格変更許可申請」といった適切な手続きを正しくおこなう必要があります。
本記事では基本的な知識を網羅してご紹介しましたが、実際の手続きの際には技能ビザの種類や個別の状況ごとに準備しなければならない書類も異なり、理解や準備が煩雑となりがちです。

技能ビザを取得して日本で活躍されている外国人の方が、今後も必要な期間、安心して滞在できるよう、申請する本人だけでなく外国人を雇用している企業のご担当者も変更や更新について理解しておくとよいでしょう。
手続きや準備についてお悩みがありましたら、弁護士や行政書士といった専門家へ相談されることをおすすめします。

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、技能ビザの更新や必要書類の無料相談を受け付けています。当法律事務所では、スタッフ全員が行政書士の資格を持ち、弁護士の指導のもと、ビザ申請・外国人雇用・労務・契約書など、法務の専門知識を持ったプロフェッショナルがそろっています。ご安心してご相談ください。


※本稿の内容は、2024年9月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所

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