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経営管理ビザは性質上、様々な就労ビザのなかでも申請の難易度が比較的高めといわれており、申請時に必要となる書類も個別状況により様々となります。
本記事では経営管理ビザの必要書類について、カテゴリーごとに確認できる一覧でまとめて解説しています。
出入国在留管理庁公式サイトの該当ページへのリンクなども適宜記載していますので、あわせてご確認ください。
▼経営管理ビザについての総合的な解説はこちらの記事でもおこなっています。
https://pm-lawyer.com/240903-2/
経営管理ビザで定義されている区分(カテゴリー)による必要書類の違い
経営管理ビザ申請時に必要な書類を確認するにあたっては、まず在留資格認定制度で定義されている「カテゴリー」という区分について理解しておく必要があります。
カテゴリー1〜4のいずれに該当するかによって、申請時に必要となる書類が異なるからです。
経営管理ビザの「カテゴリー」とは
経済管理ビザ申請時に取り扱われる「カテゴリー」とは、経営管理ビザの対象となる組織や機関についての、規模や状況による区分定義のことをいいます。
例えば日本の証券取引所に上場済の企業や、保険業を営んでいる相互会社はカテゴリー1、そしてカテゴリー1に該当しない機関のうち、給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(前年分)において給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上となる団体や個人はカテゴリー2、というように、出入国在留管理庁の公式サイトで細かな区分が定義されています。
以下にカテゴリー1〜4の概要をまとめていますので、参考になさってください。
(更に詳しく知りたい方は、リンクから出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください)
・カテゴリー1……日本の証券取引所に上場済の企業、保険業を営んでいる相互会社、国・地方公共団体、独立行政法人、特定の公共法人 など
・カテゴリー2……前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表において、源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人 など
・カテゴリー3……カテゴリー2を除いた、前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できる団体・個人
・カテゴリー4……カテゴリ1~3のいずれにも該当しない団体・個人
※参考:出入国在留管理庁『在留資格「経営・管理」』
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/businessmanager.html
カテゴリーによって異なる必要書類
経営管理ビザを申請する外国人の方が日本国内で起業する場合(個人)や、あるいはもともと務めている組織の日本支部へ管理者として参加するといった場合の就労先となる企業や機関は、前述の4つのカテゴリーのいずれかに該当することとなります。
そしてどのカテゴリーに該当する場合にも、「そのカテゴリーに該当することを証明するための書類」や、それに付随しての関連資料などを提出する必要があります。
▼カテゴリー別に必要となる書類(一例)
※新規申請の場合の例です。更新や資格変更時には必要書類が異なる場合があります
カテゴリー1 | カテゴリー2 | カテゴリー3 | カテゴリー4 |
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【カテゴリーに該当することを証明する書類】 ・四季報の写しあるいは日本の証券取引所に上場済であることを証明する文書の写し ・主務官庁からの設立許可を証明する文書の写し ・「イノベーション促進支援措置」やその他一定の条件に合致しカテゴリー1となる場合は、その条件を満たす企業であることを証明する文書の写し |
【カテゴリーに該当することを証明する書類】 ・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し ・在留申請オンラインシステムの利用申出が承認されている機関の場合、その承認を証明する文書の写し |
【カテゴリーに該当することを証明する書類】 ・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し |
【カテゴリーに該当することを証明する書類】 左記のいずれも提出不可の場合、カテゴリー4となる |
ー | ー | 【申請人の活動内容を明らかにするための資料(いずれか)】 ・[日本法人の役員に就任する場合] 役員報酬を定めている定款の写し、もしくは役員報酬の決議がおこなわれた株主総会の議事録など ・[外国法人の日本支店への転勤となる場合や、会社以外の団体で役員に就任する場合] 担当業務や地位、期間や受け取る報酬額を明示する、所属団体の文書 ・[日本で管理者として雇用される場合] 労働者に交付される、労働条件を明示した文書(労働基準法第15条第1項、同法施行規則第5条に基づく) |
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ー | ー | 【日本で管理者として雇用される場合、経営もしくは管理について3年以上の経験を有することを証明する文書(大学院において経営や管理に係る科目を専攻した期間も含む)】 ・履歴書 ・関連する職務への従事期間を証明する文書 |
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ー | ー | 【事業内容を明らかにする資料(いずれか)】 ・[事業を法人において行う場合] 当該法人の登記事項証明書の写し(法人登記が終わっていない場合は、定款など) ※日本で法人を設立する場合でも、外国法人の支店を日本に設置する場合でも同様 ・勤務先機関の沿革や組織、資本金や事業内容などが詳細まで記載されている案内書 ・その他、上記に準ずる文書 |
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ー | ー | 【事業規模を明らかにする資料(いずれか)】 ・常勤の職員が二人以上となっていることを明らかにするための、賃金支払に関する文書、および住民票など ・登記事項証明書 ・事業の規模を明らかにできるその他の資料 |
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ー | ー | 【事務所用施設が存在していることを明らかにする資料】 ・不動産登記簿謄本 ・賃貸借契約書 ・その他の資料 |
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ー | ー | 事業計画書の写し、および直近の年度の決算文書の写し | |
ー | ー | ー | 【前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出できない理由を明示する資料】 ・源泉徴収に対する免除証明書など |
経営管理ビザで全カテゴリー共通となる必要書類
新規に経営管理ビザの取得を申請する場合に必要となる、前述の4つのカテゴリーのいずれであっても共通となる書類を、概要とあわせて解説します。
尚、下記で挙げる書類は原則であり、審査の過程や個別状況により他の書類の提出も求められる場合があることにご留意ください。
在留資格認定証明書交付申請書
海外にいる外国人の方が、新規に経営管理ビザを取得し、日本への入国を希望する場合には「在留資格認定証明書交付申請書」での申請が必要となります。
当該申請書は、下記の出入国在留管理庁公式サイトからダウンロード可能です。
▼在留資格認定証明書交付申請書のダウンロード先
(PDF)https://www.moj.go.jp/isa/content/930004033.pdf
(Excel)https://www.moj.go.jp/isa/content/930004034.xlsx
※ダウンロード先URLが変更になっている場合には、出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください
在留資格取得許可申請書
すでに日本に滞在されている方が、新規に経営管理ビザの取得を希望する場合には「在留資格取得許可申請書」での申請が必要となります。
当該申請書は、下記の出入国在留管理庁公式サイトからダウンロード可能です。
▼在留資格取得許可申請書のダウンロード先
(PDF)https://www.moj.go.jp/isa/content/930004120.pdf
(Excel)https://www.moj.go.jp/isa/content/930004121.xlsx
※ダウンロード先URLが変更になっている場合には、出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください
申請人本人の写真
縦4cm、横3cmのサイズで、申請人本人が無帽で正面を向いた写真が1枚必要です(提出日から6か月以内に撮影されたもの)。
写真は前述の申請書に添付するかたちで提出します。
返信用封筒
宛先を明記済みの定形封筒1通に、必要な額の簡易書留用郵便切手を貼付しておきます。
飲食店や食品製造などで必要となる「営業許可申請」の必要書類もチェック!
今回の経営管理ビザ申請が飲食店などの「営業許可業種」にあたる事業の運営を目的としたものであった場合には、ビザ申請に先だってテナントを契約し、調理場の工事を終えたうえで、保健所による「飲食店営業許可」を取得しておく必要があります。
営業許可申請にあたって必要となる基本的な書類は以下のとおりです。該当する方は経営管理ビザの手続きのほうとあわせて、チェックしておきましょう。
営業許可申請で一般的に必要となる書類
・営業許可申請書
・営業設備の大要・配置図
・登記事項証明書(法人の場合)
・水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合)
・食品衛生責任者の資格を証明する文書(食品衛生責任者手帳など)
営業許可申請の一般的な流れ
まずは申請に先だって、当該施設の工事に着工するまえの段階で図面や資料を持参の上、保健所の食品衛生担当へ事前相談をおこなっておきます。事前相談は多くの場合無料とされていますが、まずは念のため電話で問い合わせしてみてもよいでしょう。この事前相談では、工事内容が施設基準に合致しているかなどの点を確認してもらえます。
またこの段階で、食品衛生責任者の配置や水質検査(貯水槽使用水や井戸水を営業で使用する場合)についての準備がまだの場合は、あわせて準備をすすめておきます。
事前相談を終えて問題がなければ、実際に営業許可申請をおこないます。
保健所では、施設完成予定日の10日くらい前に申請をしておくことが推奨されています。前述の必要書類を揃えたうえで、早めに提出しておきましょう。
申請が受付された後、一定の段階を経て施設の確認検査の日程などを保健所の担当者と相談しながら決定します。確認検査では、施設が申請どおりの状態になっているか、施設基準に合致しているかなどについてのチェックが入ります。万が一不適事項が見つかった場合には、改善後、後日あらためて確認検査がおこなわれることとなります。
施設基準に合致していることが保健所の担当者により確認されたら、「営業許可書交付予定日のお知らせ」がまず交付されます。
当該予定日を迎えたら、保健所へ認印を持参すれば営業許可書の交付を受けられることとなります。
営業許可書の交付を受け、経営管理ビザの認可もおりていれば、晴れて営業開始となります。規定サイズの食品衛生責任者の名札を店内で提示しつつ営業をおこない、食品衛生法の基準どおりの維持管理をおこないます。もし施設の内装や設備などに変更が生じた場合には、随時保健所へ届出をおこないましょう。
※参考:厚生労働省『一般的な営業許可手続きの流れ』(PDFファイル)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000349934.pdf
経営管理ビザ申請までの手続きの流れ
ここまでで解説したことを踏まえたうえで、経営管理ビザを申請するまえの準備段階として、どのような流れが想定されるかを以下に示します。
以下の流れは一般的な例となりますので、状況ごとの必要に応じてぜひ弁護士や行政書士といった専門家にも相談しながら進めてください。
継続可能な事業計画の作成、事業全体の概要のとりまとめ
経営管理ビザ申請時の審査においては、何より事業の安定性や持続性に注目される可能性が高くあります。したがって、事業計画自体を入念に立てたうえで、その事業計画の全体概要がわかる書面を作成しておきます。
事務所を日本国内で確保
経営管理ビザ取得にあたっては、居住地と分けられたかたちで事務所が存在している必要があります。
会社設立の手続き
会社設立については社印の作成から定款の作成・認証、登記申請、税務署への開設届出などそれ自体に大変多くの手順が必要となるものです。
経営管理ビザ申請とあわせて、余裕をもって各手続きを進めておきましょう。
許認可の取得(営業許可申請が必要な業種の場合)
「営業許可業種」にあたる業種を営む予定の場合には、経営管理ビザ申請に先だって、営業許可を取得しておく必要があります。
経営管理ビザ申請
以上の準備が終わったら、本記事でご紹介したような必要書類の準備を進め、経営管理ビザを申請します。
経営管理ビザ申請時の必要書類は申請要件ごとに細かく分かれる
経営管理ビザの必要書類を確認する際には、まず前提として申請対象の組織や機関の規模・状況などによって区分される「カテゴリー」について理解し、カテゴリー1〜4のうちどのカテゴリーに該当するのかを把握しておくことが大切です。
経営管理ビザの申請にあたっては基本的な共通書類のほか、カテゴリーごとに細かく定められた要件や注意点を踏まえながら、様々な文書・資料を準備しておく必要があります。
様々な就労ビザのなかでも、申請難易度が高いと言われがちな経営管理ビザですが、もし手続きの準備段階や実際の申請にあたってお悩みのことがあれば、弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所にご相談ください。個別状況にあわせた丁寧なサポートをおこなっております。
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、経営管理ビザについての無料相談を受け付けています。
「この場合は経営管理ビザの要件にに該当するのか」「どのような追加書類を準備するのが適当か」など、経営管理ビザの申請では、的確な要件判断や実務上の豊富な経験に基づく必要書類の準備が重要であり、審査結果に大きく影響します。
当法律事務所では、スタッフ全員が行政書士の資格を持ち、弁護士の指導のもと、ビザ申請・外国人雇用・労務・契約書など、法務の専門知識を持ったプロフェッショナルがそろっています。ご安心してご相談ください。
※本稿の内容は、2024年9月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。
執筆者:弁護士小野智博
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(代表弁護士 小野智博 東京弁護士会所属)
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