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【弁護士解説】外国人を雇用するには責任者が必要?雇用労務責任者や助成金申請までをわかりやすく解説

by 弁護士 小野智博

外国人雇用には責任者が必要? 雇用労務責任者や助成金申請までを わかりやすく解説

「雇用労務責任者って何?」

「雇用労務責任者は絶対に選任しないといけないの?」

「外国人労働者雇用労務責任者になるにはどうしたら良いの?」

「外国人労働者雇用労務責任者を選任すると助成金がもらえるって本当?」

この記事では、雇用労務責任者制度や、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)について分かりやすく解説します。

外国人雇用の現状

T社長
T社長

当社では、事業の多様化や今後の成長を見据え、外国人雇用を検討しています。ただ、そもそも日本で外国人雇用はどの程度進んでいるのでしょうか。実態を把握しておきたいです。

今後の事業展開を考える中で、外国人雇用を検討されるのはとても前向きな取り組みですね。実際、日本でも外国人労働者数は年々増加しており、外国人材の活躍はかなり身近なものになっています。

 

一方で、外国人材に定着してもらうためには、労働条件の整備だけでなく、文化や言語の違いから生じる不安、職場での孤立、生活面・メンタル面の負担にも配慮することが重要です。そのため、社内で相談しやすい体制を整え、安心して働き続けられる環境づくりを進める必要があります。まずは現状と全体像を整理していきましょう。

小野弁護士
小野弁護士

 

我が国における外国人雇用は年々増加しています。

厚生労働省のデータによると、外国人労働者数は2020年が約172万人、2021年が約173万人、2022年が約182万人、2023年が約205万人、そして2024年10月末時点では230万2,587人となり、過去最多を更新しました。外国人を雇用する事業所数も34万2,087所まで増加しており、外国人材の活用は、今や一部の企業だけのものではなく、多くの企業にとって身近な選択肢となっています。

一方で、外国人雇用を取り巻く制度は、単に「採用しやすくなっている」という状況ではありません。たとえば、特定技能「外食業分野」では、受入れ上限に達する見込みとなったことを受け、2026年4月13日以降、在留資格認定証明書の交付停止措置がとられています。

また、「技術・人文知識・国際業務」についても、2026年4月15日以降、カテゴリー3または4に該当する企業では、所属機関の代表者に関する申告書の提出が必要となり、さらに言語能力を用いて対人業務等に従事する場合には、N2相当の言語能力を証する資料が求められるなど、確認すべき事項が増えています。

このように、外国人雇用のニーズは高まり続けている一方で、在留資格の確認、従事できる業務範囲の整理、申請書類の整備、受入れ後の労務管理や支援体制づくりは、以前にも増して重要になっています。

雇用労務責任者とは

T社長
T社長

外国人雇用も簡単ではないのですね。一度入社したらできれば長く働いてもらいたいです。外国人労働者にとって働きやすい職場を目指すことも大切ですね。ところで、外国人雇用の責任者というのを聞いたことがあるのですが、何を行う人なのでしょうか。

雇用労務責任者のことですね。雇用労務責任者とは、外国人労働者の雇用管理や職場での相談対応について、社内で中心となる担当者のことです。

 

外国人労働者を常時10人以上雇用する場合には、厚生労働省の指針上、選任することが求められています。

 

外国人材に長く活躍してもらうためには、在留資格の管理だけでなく、労働条件の説明や、文化・言語の違いに配慮したサポート体制も重要です。

 

それでは、雇用労務責任者について、整理して解説します。

小野弁護士
小野弁護士

 

雇用労務責任者は、外国人労働者の雇用管理に関する責任者です。

厚生労働省の指針では、外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、人事課長等を雇用労務責任者として選任することとされています。

役割としては、外国人労働者の雇用や労働条件に関する事項を管理し、職場で困ったことがあったときの相談窓口となることが想定されています。

たとえば、労働条件の説明、職場でのコミュニケーション支援、生活面やメンタル面での不安への配慮などが考えられます。

外国人雇用では、「採用できたら終わり」ではありません。

文化や言語の違いから、本人が悩みを抱えていても周囲に相談できず、結果として早期離職につながることもあります。

そのため、雇用労務責任者には、外国人労働者が安心して働き続けられるよう、会社と本人をつなぐ窓口としての役割が期待されています。

つまり、雇用労務責任者は、単なる管理担当者ではなく、外国人材の定着を支える社内のキーパーソンといえます。

外国人労働者のメンタルケア

外国人労働者に長く活躍してもらうためには、業務上の指導や労働条件の整備だけでなく、メンタル面への配慮も重要です。

母国を離れて働く外国人労働者は、言語や文化、生活習慣の違いに戸惑うことがあります。

また、仕事上の悩みがあっても「うまく伝えられない」「迷惑をかけたくない」と感じ、周囲に相談できないまま不安や孤独を抱えてしまうケースもあります。

そのため、会社としては、

・定期的な面談の機会を設ける
・業務上の困りごとだけでなく、職場での人間関係や生活面の不安も話しやすい環境を整える

ことが大切です。

相談窓口を明確にし、必要に応じて母国語で相談できる体制や、やさしい日本語で説明する工夫も有効です。

また、外国人労働者本人だけでなく、受け入れる職場側にも文化や価値観の違いを理解してもらうことが重要です。

小さなすれ違いを放置せず、早めに声をかけられる職場づくりが、メンタル不調や早期離職の防止につながります。

外国人労働者が安心して働き続けられるよう、会社全体で支える姿勢が求められます。

雇用労務責任者になるには

T社長
T社長

外国人労働者を常時10人以上雇用する場合は雇用労務責任者を選任しないといけないのですね。雇用労務責任者は外国人雇用に関する知識がないと務まらない気がします。何も資格を持っていなくてもなれるのでしょうか。

はい。雇用労務責任者になるために、特別な資格が必要とされているわけではありません。社内の人事担当者や管理職など、外国人労働者の雇用管理に関わる方を選任することが考えられます。

 

ただし、資格が不要だからといって、十分な知識がないまま対応してよいというわけではありません。

 

担当者となる方は、外国人労働者雇用労務責任者講習などを受講し、外国人雇用に関する基本的な知識を身につけておくと安心です。外国人労働者雇用労務責任者講習について解説します。

小野弁護士
小野弁護士

 

外国人労働者雇用労務責任者講習は、外国人労働者の雇用管理を担当する方が、外国人雇用に関する基本的な知識を学ぶための無料の講習です。

厚生労働省の委託事業として実施されており、外国人労働者が能力を十分に発揮し、安心して働き続けられる就労環境を整備するために必要な内容を学ぶことができます。

具体的には、外国人雇用に関するルールや制度、在留資格の基本知識や、言語・文化の違いへの配慮、職場定着のための支援などが扱われます。

受講対象者は、雇用労務責任者として選任されている方や、今後選任される予定の方、外国人労働者を雇用している、または雇用を予定している事業主・人事労務担当者などです。

雇用労務責任者は、特別な資格がなくても選任できますが、実際には在留資格、労務管理、職場での相談対応など、幅広い知識が求められます。

そのため、担当者を決めたら、外国人労働者雇用労務責任者講習を受講し、外国人雇用の基礎知識を確認しておくと安心です。

外国人労働者雇用労務責任者講習を受けると助成金で有利になる?

T社長
T社長

外国人労働者雇用労務責任者講習では外国人雇用の基礎知識を学べるのですね。ところで、知り合いの社長から『外国人労働者雇用労務責任者講習を受けたら助成金を受給できた』と聞きました。外国人雇用労務責任者講習を受けると助成金がもらえるのですか?

知り合いの社長さんは『人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)』を受給されたのですね。この助成金では最低でも2つの取り組みを行う必要がありますが、外国人労働者雇用労務責任者講習を受けると少しだけ有利な扱いがあるんです。

 

『人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)』について解説します。

小野弁護士
小野弁護士

 

人材確保等支援助成金は、労働者の職場定着や人材確保を目的として、雇用管理の改善に取り組む事業主を支援する助成金です。

その中のひとつに、「外国人労働者就労環境整備助成コース」があります。

このコースは、外国人労働者が安心して働き続けられるよう、外国人労働者特有の事情に配慮した就労環境を整備する事業主を支援するものです。

取り組み内容

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は絶対に行う取り組み2つと任意で行う取り組み3つがあります。

<絶対に行う取り組み2つ>
➀雇用労務責任者の選任
・雇用労務責任者を事業所ごとに選任して、事業所内で周知すること
・雇用労務責任者が就労環境整備計画期間において外国人労働者と1回以上の面談を行うこと
・外国人労働者が労働法規違反を受けた場合に相談できる関係行政機関(労働基準監督署等)の案内を周知すること

②就業規則等の多言語化
・就業規則、労働協約、労働条件通知書、雇用契約書のいずれかを多言語化すること
※特定技能の在留資格で在留中で既に母国語に訳された労働条件通知書や雇用契約書を持っている場合は、労働条件通知書と雇用契約書は選択できません。

<任意で行う取り組み3つ>
➀苦情・相談体制の整備
・就業規則又は労働協約を変更することにより、苦情・相談体制を新たに定め、周知すること
※技能実習の監理団体である又は監理団体になる予定がある事業所、特定技能外国人を雇用している又は雇用しようとしている事業所は選択できません。

②一時帰国のための休暇制度の整備
・就業規則又は労働協約を変更することにより、雇用する外国人労働者が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇制度を新たに定めること。(年次有給休暇とは別)
・1年間に1回以上の連続した5日以上の有給休暇が取得できるものであること

③社内マニュアル・標識類等の多言語化
・労使協定や業務マニュアルなど仕事をする上で継続的に外国人労働者に関係する文書を多言語化し周知すること

支給金額

支給額は、1制度導入につき20万円、上限80万円です。

たとえば、雇用労務責任者の選任と就業規則等の多言語化に加えて、苦情・相談体制の整備と社内マニュアルの多言語化を行うと、80万円の支給となり得ます。

助成金受給までの流れ

助成金受給までの流れは以下の通りです。

➀就労環境整備計画書を作成し、ハローワーク又は労働局へ届け出る

②労働局からの認定通知書が届く

③認定された通りに取り組みを行う

④取り組みが完了した日から6か月間の外国人労働者の離職率を計算する
(外国人労働者離職率が15%以下であれば支給申請できます。なお、離職率算定期間の初日における外国人労働者数が2人以上10人以下の場合は、算定期間の外国人労働者離職者数が1人以下であることが要件です。)

⑤6か月間の算定期間が終わってから2か月以内に支給申請する

⑥支給申請から約2~3か月後に受給

原則として、全ての取り組みが完了してから6か月間は外国人労働者の離職率算定の期間になります。

取り組みが完了してから最低でも6か月間は支給申請できない決まりになっています。

しかし、雇用労務責任者が外国人雇用労務責任者講習を受講していると、この6か月間の離職率算定期間をカットすることができます。

つまり、雇用労務責任者が外国人雇用労務責任者講習を受講していると、取り組みが終わったらすぐに支給申請できる仕組みになっているのです。(取り組み完了日の前日から起算して6か月前までに外国人労働者を解雇等していない場合に限る)

外国人採用・雇用の手続きについてのお悩み・課題は解決できます

T社長
T社長

今日はありがとうございました。外国人雇用の責任者について理解できました。人材確保等支援助成金についても前向きに検討したいです。一方で、やはり外国人労働者が定着しやすい環境作りについて不安なところもあります。先生の事務所でサポートをお願いすることは可能でしょうか。

T社長、本日はご相談ありがとうございました。もちろん可能です。当事務所では在留資格の確認・申請対応から、雇用契約や社内体制の整備、社会保険手続きまで、一体的にサポートしています。企業ごとの状況に応じて実務を整理し、負担を抑えながら適切に運用できる体制づくりをご支援します。

小野弁護士
小野弁護士

 

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※本稿の内容は、2026年5月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所

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