コンプライアンス

海外進出:現地の販売規制に注意!コンタクトレンズを例として

by 弁護士 小野智博

海外進出する際は現地の販売規則に注意

日本の企業が海外進出する際、気を付けるべきことに、現地の販売規則の問題があります。

現地でトラブルを起こさないためにも、事前に販売規則について調べておく事がとても大切です。

 

日本でのコンタクトレンズの販売規制

例として、コンタクトレンズの販売規制をみてみましょう。

日本のコンタクトレンズは、『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』(以下、薬機法)の規制対象の一つである“医療機器”に該当しています。しかも、副作用または機能の障害が生じた場合に“人の生命および健康に影響を及ぼす程度が最も高いもの”として、『高度管理医療機器』に指定されています。

まず、コンタクトレンズを販売するためには、営業所ごとに“高度管理医療機器等販売業”の許可が必要となります。また、許可を受けるためには、資格要件を満たした“販売管理者”の設置が要件とされています。

このように、カラコンを含むコンタクトレンズは薬機法の規制対象であるため、販売業を行うのに厳格な規制が課されています。

 

アメリカでのコンタクトレンズの販売規制

アメリカにもコンタクトレンズを販売するための規則があり、販売業者はその規則に従って適切に販売しなければなりません。

では、アメリカのコンタクトレンズの販売規則を示した「処方者と販売者のためのガイド」をみていきましょう。

 

<処方者と販売者のためのガイド>

コンタクトレンズを購入者が安全に使用する為に、アメリカの消費者法は、コンタクトレンズの処方者およびに販売業者に義務を課し、連邦取引委員会(以下、FTC)に規則を策定し実施することを要求しています。 FTCは、2004年7月にコンタクトレンズ規則を発行しました。

コンタクトレンズの規則では、コンタクトレンズの検査後に、購入者が求めていなくても処方箋のコピーを購入者に与えることが求められています。

それにより、購入者が他の販売者からコンタクトレンズを購入する場合、その販売者に処方箋のコピーを提示する事で購入できるようになります。

たとえ購入者が他の販売者に処方箋のコピーの提示を拒否した場合でも、その販売者はコンタクトレンズを売る前に処方箋のコピーを必ず確認する事が義務付けられています。

 

<FTCが発行するコンタクトレンズ規則に関する警告文>

『処方者は、処方箋を購入者(患者)に提供しなければならない。

販売者は、レンズを販売する前に有効な処方箋を入手、または確認しなければならない。』

販売者は、有効な処方箋のコピーを入手した後、または処方者と処方箋を照合した後にのみ、コンタクトレンズを購入者に販売することができます。

期限が切れた処方箋を使用してレンズを販売することはできません。また、規則に明記されている特定の条件下でのみレンズを交換することができます。

この警告文は、処方者および販売者に、違反の場合は最大16,000ドルの罰金を含む法的措置をもたらす可能性があることを警告しています。

 

まとめ

日本とアメリカのコンタクトレンズの販売規制の例からもわかるように、販売規制の問題は進出する先の国によって大きく変わり、場合によっては罰則を含む厳しいルールがあります。

後々大きな問題に発展させないためにも、必ず事前に確認しましょう。

当事務所でもご相談を受け付けています。

 

※本記事の記載内容は、執筆日現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

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