
日本で起業したい、日本の事業所で管理業務をおこないたいといった外国人の方にとって必要となる在留資格が、経営管理ビザです。このビザは、日本で事業を運営する立場として活動する外国人材に向けて設けられています。
この記事では、経営管理ビザ申請時や検討時に必要となる様々な基礎知識、および留意点をまとめて解説しています。あわせて関連記事へのリンクも掲載していますので、必要に応じてご活用ください。
目次
外国人のための経営管理ビザ|概要・要件から予備知識までまとめて把握!
「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」を対象とすると定義されている「経営管理ビザ」ですが、主に経営者向けのビザであることもあって要件の仔細が多岐にわたっており、全容の理解がしがたいと感じられている方もいらっしゃるかもしれません。
本記事ではそんな方にむけて、経営管理ビザの基本概要から要件、審査基準や留意点などを網羅して解説します。
「経営管理ビザ」は19種ある様々な就労ビザのうちの一種
経営管理ビザは、就労ビザと呼ばれる「外国人が日本で就労するための在留資格」に含まれています。
経営管理ビザの在留資格としての正式な名称は『在留資格「経営・管理」』となりますが、以下でご紹介する他の就労ビザ含め、一般的な呼び名として「〇〇ビザ」とされることが多いため、本記事でも「経営管理ビザ」と記しています。
まずは経営管理ビザを含む就労ビザ全般について、一覧で簡単に概略をご紹介します。
| 【就労ビザ】全19分類 (日本で就労活動をおこなえる在留資格) |
||
|---|---|---|
| 在留資格 | 対象となる就労活動の概略 | 認められる在留期間 |
| 外交 | 外国政府の大使や公使などによる外交活動 | 外交活動を行う間は無期限 |
| 公用 | 外国政府の大使館や領事館の職員などによる公用 | 5年、3年、1年、3か月、30日、15日 |
| 教授 | 教授、准教授や講師など、大学の教員 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 芸術 | 作曲家、彫刻家などによる芸術活動 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 宗教 | 僧侶、司教、宣教師などによる宗教活動 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 報道 | 新聞記者、報道カメラマンや特派員などによる報道活動 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 高度専門職 | 「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」に該当すると認められた活動 | (1号)5年 (2号)無期限 |
| 経営・管理 | 海外の企業の経営者や管理者などによる経営・管理活動 | 5年、3年、1年、6か月、4か月、3か月、 |
| 法律・会計業務 | 弁護士、行政書士、や税理士など、有資格者による当該業務 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 医療 | 医師、薬剤師、看護師など医療従事者による医療および関連業務 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 研究 | 政府関係機関や私企業の研究者による研究活動 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 教育 | 小・中・高等学校や中等教育学校、特別支援学校などでの語学教育など | 5年、3年、1年、3か月 |
| 技術・人文知識・国際業務 | 自然科学分野や人文科学分野の専門技術者による、外国人の考え方や感受性を活かした国際業務 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 企業内転勤 | 外国の親会社や子会社、関連会社などから一定期間派遣される転勤者 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 介護 | 資格を有した介護福祉士による介護 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 興行 | 芸能人、プロスポーツ選手などによる興行目的の活動 | 3年、1年、6か月、3か月、30日 |
| 技能 | 外国料理の料理人、外国特有の建築士などによる、産業上特殊な分野での業務 | 5年、3年、1年、3か月 |
| 特定技能 | 日本国内の人材不足が深刻化している特定の分野についての活動 | (1号) 1年を超えない範囲で法務大臣が個々に指定する期間 (2号) 3年、1年、6か月 |
| 技能実習 | 開発途上国向けの技能実習計画に基づいた技能実習生としての活動 | (1号) 3年を超えない範囲で法務大臣が個々に指定する期間 (2号、3号) 3年、2年、1年又は6月 |
上記それぞれの対象となる活動をおこなう外国人に対して、日本での在留、および当該活動に係る就労の資格を与える制度を「就労ビザ」と称します。
以降では、これらのうちのひとつである「経営管理ビザ」について解説を進めていきます。
経営管理ビザは経営者や管理者、起業家のための外国人就労ビザ
経営管理ビザでは、日本で貿易やその他の事業の経営を開始したい外国人の方、あるいは既に日本でおこなわれている事業や海外法人の日本拠点などで経営や管理の業務に従事したい外国人の方などが、日本に在留して就労する権利を得るための仕組みです。日本での会社設立を前提とするケースも多く、制度の正確な理解が重要となります。
経営管理ビザは、かつて「経営投資ビザ」と呼ばれていましたが、2015年4月の入管法改正により要件が見直され、現在の「経営管理ビザ(在留資格:経営・管理)」へと移行しました。この改正では、在留期間の選択肢が増え、必要書類が整理されるなど、外国人にとって利用しやすい制度へと緩和が進みました。
しかし、2025年10月16日施行の省令改正では、制度の濫用防止や名目上の会社設立による不正取得を防ぐため、基準が大幅に厳格化されています。
この改正により、
・資本金は3000万円以上が必須
・日本国内で常勤従業員1名以上の雇用が必須
・申請者または常勤従業員に日本語能力試験N2相当の水準が必要
・原則3年以上の経営・管理経験、または関連分野の修士号以上が求められる
・事業計画は専門家による評価書の提出が必要
といった形で、事業の実体性・継続性をより厳密に確認する仕組みへと変わりました。
経営管理ビザは、永住者や日本人の配偶者のように就労制限がない在留資格を持っていない外国人でも、日本で事業を行うために取得できる就労ビザです。日本で起業したい方、日本法人の役員として会社経営に携わりたい方、海外企業の担当者として日本支店を運営したい方など、幅広いケースで利用されています。実務上は、専門家による申請手続の支援を受けることで、より円滑な対応が可能となります。
許可される在留期間は5年 / 3年 / 1年 / 6か月 / 4か月 / 3か月 の6パターン
経営管理ビザが発行される場合、その在留資格で日本に在留できる期間は「5年」「3年」「1年」「6か月」「4か月」「3か月」の6通りとなっています。
いずれも申請者が申請時に希望したり予定として申請した期間をもとに、出入国在留管理局によって審査のうえで決定されます。
なお、4カ月の経営管理ビザは、会社設立や事業開始の準備を進めるために設けられた特別な在留期間で、会社設立前の段階でも申請が可能です。この期間中に事務所の確保や会社設立手続、事業開始の体制づくりを行い、その後の更新で1年などの通常期間へ移行します。
許可された在留期間が満了する前に、「在留期間更新許可申請」を行なえば、再び出入国在留管理局の審査を受けることができ、認められれば在留期間を更新できます。
・経営管理ビザの「更新」に必要なことは? 要件、必要書類、おさえておくべきポイントを解説
経営管理ビザの基本要件
外国人の方が新規に経営管理ビザを申請し、この在留資格をもって日本への入国を希望するという場合には「在留資格認定証明書交付申請」を行います。一方、すでに日本に在留している方が経営管理ビザへ変更したい場合は、「在留資格変更許可申請」を行うことになります。
申請においては下記のカテゴリーごとに細かな要件や必要書類が異なります。
| カテゴリー1 | カテゴリー2 | カテゴリー3 | カテゴリー4 |
|---|---|---|---|
| ・日本の証券取引所に上場している企業 ・保険業を営んでいる相互会社 ・国や地方の公共団体 ・独立行政法人 ・その他、特定の公共法人 など |
・前年分「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」における、源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体あるいは個人 など | ・カテゴリー2を除く「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を提出可能な団体・個人 | ・カテゴリー1~3のいずれにも該当しない団体や個人 |
| 【カテゴリーに該当することを証明する書類】 ・日本の証券取引所に上場済であることを証明する文書の写し ・四季報の写し ・主務官庁からの設立許可を証明する文書の写し など |
【カテゴリーに該当することを証明する書類】 ・前年分「職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の写し など |
【カテゴリーに該当することを証明する書類】 ・前年分「職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の写し |
【カテゴリーに該当することを証明する書類】 左記のいずれも提出不可の場合、カテゴリー4となる |
さらに、カテゴリー3・カテゴリー4に該当する場合には追加書類の提出が必要です。
特に該当者の多いカテゴリー3では、事業の実体や継続性を確認するための書類が求められます。以下で主な書類をご紹介します。
▼申請人の活動内容を明らかにするための資料
・役員報酬を定めている定款の写し、もしくは役員報酬の決議がおこなわれた株主総会の議事録など(日本法人の役員に就任する場合)
・担当業務や地位、期間や受け取る報酬額を明示する所属団体の文書など(外国法人の日本支店への転勤となる場合や、会社以外の団体で役員に就任する場合)
・労働者に交付される、労働基準法第15条第1項、同法施行規則第5条に基づき労働条件を明示した文書(日本で管理者として雇用される場合)
▼税理士、公認会計士、中小企業診断士による評価を受けた事業計画書の写し
▼事業内容を明らかにする資料
・当該法人の登記事項証明書の写し(法人登記が終わっていない場合は、定款など)
※事業を法人において行う場合。日本で法人を設立する場合でも、外国法人の支店を日本に設置する場合でも同様です
・勤務先機関の沿革や組織、資本金や事業内容などが詳細まで記載されている案内書
▼直近の年度の決算文書の写し
▼事業を営むために必要な許認可の取得等をしていることを証する資料
・申請に当たっての説明書(参考様式)
・許認可の取得等をしていることを証する許可書等の写し
▼事務所用施設が存在していることを明らかにする資料
・不動産登記簿謄本
・賃貸借契約書
など
▼事業規模を明らかにする資料
・常勤の職員が一人以上であることを明らかにする賃金支払文書及び住民票など
・貸借対照表
▼日本語能力を明らかにする資料
・申請に当たっての説明書(参考様式)
・日本語能力を有する者の住民票
・経営者又は常勤の職員が日本語能力を有することを証する次のいずれかの資料
ア 試験の合格証、成績証明書
イ 日本語能力を有する者の身分及び経歴を証する資料(卒業証明書等)
・日本語能力を有する者が常勤の職員である場合は、賃金支払文書
▼経歴を明らかにする次のいずれかの資料
・学歴による証明の場合
経営管理に関する分野又は経営しようとする事業に関連する分野において博士の学位、修士の学位又は専門職学位を有していることを証する文書(学位証明書)
・職歴による証明の場合
ア 履歴書
イ 在職証明書等
・経営管理ビザの必要書類と手続きの流れをまとめて解説
経営管理ビザの主な審査基準
経営管理ビザ申請時には、新規申請の際にも更新の際にも出入国在留管理局によって個別状況なども踏まえた厳正な審査が行われますが、基本的な審査基準としては以下に挙げるような項目があります。日本におけるビジネスの継続性や安定性を判断する観点から整理されています。
経営管理ビザを新規申請する場合
日本国内に事業所を確保していることに加え、常勤職員を最低1名雇用していることが必須となります。また、事業の実体性を担保するため、資本金3000万円以上の確保が求められます。これらを前提として、事業の実現可能性や収益性を示す事業計画書の内容が非常に重要となり、計画の具体性や実行性が審査の中心となります。
経営管理ビザを持っている方が更新を行う場合
これまでの経営活動が適切に行われてきたかどうかが審査されます。具体的には、事業の実績を示す資料(売上・取引状況・事業活動報告など)や、可能であれば決算書の提出が望まれます。また、納税状況や社会保険の加入・納付状況も重要な確認項目です。これらが適切に履行されていることが、事業の健全性と継続性を示す根拠となります。
資産形成の証明が必要となる
2025年10月16日から施行された省令改正で、経営管理ビザは これまでの緩和路線から一転して大幅な厳格化が行われました。これは、制度の濫用や「名目上の会社設立」による不正取得を防ぎ、実質的な事業運営・雇用創出 を図るための改正です。この改正により、資本金要件が従来の500万円から3,000万円以上へと引き上げられました。
この際、3000万円以上の資本金についてはその出どころ、どのように形成してきた資産なのかという点を客観的に証明する必要があります。
収入を資産に変えて保持していた、親族や金融機関から借入したなど様々なケースが考えられますが、いずれの場合でもその事実を客観的に証明しなければなりませんので、下記のような資料や書類を適宜用意しておく必要があります。
・所得証明書
年収から、控除額などの必要経費を差し引いた金額の証明をおこなう書類です。居住地の行政から発行してもらいます。
・海外への送金時の通知はがき
海外への送金が行われた際に、着金側の金融機関などから発行される通知はがきです。
・金銭消費貸借契約書
金銭を消費貸借の対象とする場合に交わされる契約書です。消費貸借の金額や、利息、返済日、返済方法などが一般的に記されます。
・税関における「携行品・別送品申告書」
日本へ入国する際に税関へ提出した、日本に持ち込む携帯品や別送品についての書類です。
・本国の預金通帳
資本金の出入りが記録された、本国の預金通帳です。
経営管理ビザ申請時におさえておくべきポイント
経営管理ビザを申請する際には、ここまで解説した点に加え、以下のような点にも留意しておきましょう。過去の許可・不許可の事例を踏まえた準備が重要となります。
・日本で経営する業種について
経営管理ビザにおいて、業種の制限などは特にありません。ただし当然のことながら適法なものではいけません。また事業計画に継続性がみられるものである必要があります。
・投資元について
外国からの投資であっても、日本からの投資であっても問題はありません。
・非営利事業も対象
経営管理ビザを必要とする事業には、営利目的のみならず、非営利事業も含まれます。
・在留資格申請時の登記申請
当該事業が個人事業の場合には登記は不要です。
法人の場合、株式会社・合同会社などの設立において登記が必要となります。
・ひとつの事業で入国できる人数
ひとつの事業につき、経営管理ビザを取得して入国および在留できる外国人の人数に制限はありませんが、都度、人数の妥当性は求められることとなります。2025年10月以降の基準では、資本金3000万円につき原則1名が妥当とされる運用が想定されており、事業規模に比べて管理者が過剰と判断される場合には許可が下りないことがあります。なお、申請者が将来的に家族帯同を予定している場合には、別途、家族滞在ビザの申請が必要となります。
「飲食店経営」の場合の経営管理ビザはさらに注意すべきポイントあり
日本で営む事業が飲食店の経営に該当する場合には、経営管理ビザの審査時にテナントや従業員に関する詳細も求められます。
テナントの賃貸借契約書、飲食店営業許可証(保健所で申請し取得)のほか、店舗で提供するメニュー表などもコピーをとり提出します。
また、経営管理ビザの原則として申請者はあくまで経営・管理者としての在留となるため、例えば店舗で調理や接客を行うなど現場での直接的な業務(いわゆる「現業」)を行うことは認められません。従って、申請者は直接的な業務に関与しないことを前提とした、必要人数の従業員の雇用が必要です。
経営管理ビザは、定住者など他の在留資格とは審査の視点が異なるため、制度理解が不可欠です。申請にあたっては、実務に精通した専門家によるサポートを活用することで、より確実な対応が可能となります。
・【許可基準厳格化】経営管理ビザの許可率は低い? 申請の難易度が高いといわれる理由や過去の許可事例・不許可事例を紹介
経営管理ビザ申請までに準備しておく事項
経営管理ビザを申請するにあたっては、以下の項目についても事前に準備を進めておく必要があります。ここから、それぞれのポイントを詳しく解説していきます。
法人の設立
日本法人として株式会社・合同会社などを新たに設立するためには、まず会社の基本事項を定めた「定款」を作成しなければなりません。
印鑑作成を注文するためにまず商号から決定し、本店の所在地も決めます。所在地については発起人の自宅でもよいこととなっていますが、経営管理ビザ申請時には居住地と明確に分けられた営業所が必要となりますのでその点も踏まえておきます。
本店を、会社を設立後に賃貸するテナントの所在地と同じ行政区間にしておければ、移転後の定款変更が不要となります。
定款ではその他、事業目的や発起人の氏名住所、発行可能株式総数、出資される財産の価額といった事項の盛り込みが必要です。
設立会社の本店所在地を管轄する公証人役場で定款が認証され(合同会社の場合は定款の認証は不要)、会社の印鑑作成も済んでいれば、続いて資本金の払い込みを行います。
資本金の払い込みは、発起人の個人口座に払い込むかたちで行います。外国人の場合、日本に住所を持つ方であれば銀行の個人口座を開設することも容易ですが、海外在住の状況では困難な場合も多くなるでしょう。例えば発起人には日本在住者になってもらいその方の口座を利用する、あるいは4か月の経営管理ビザの在留資格を取得後、日本に住所を置いてから個人口座を開設するといった方法が考えられます。
資本金の払い込みが終わったら、 設立会社の本店所在地を管轄する法務局で、設立登記を行います。登記完了までには概ね1週間ほどを要します。
登記が完了すれば、登記事項証明書や印鑑証明書の発行を受け、続いて税務署・役所で必要となる各種届出をおこなっていきます。例えば税務署における法人設立届や青色申告承認申請、市役所や都道府県事務所での法人設立届、年金事務所での年金関係届出などです。
最後に、今後の事業のために必要に応じて銀行で法人口座も開設しておきます。銀行では、口座開設希望者が法人を設立したからといって、必ずしもすぐに開設してくれるというわけではありません。銀行側としては例えば特殊詐欺などの犯罪を予防しなければならないという側面もあるため、新設法人の口座開設については厳格に審査したうえで決定されます。
営業許可の取得(飲食業・古物商・民泊など)
日本国内で、法律により「営業許可」や「登録」が必要とされる事業を行う場合には、所管官庁へ所定の手続きを行う必要があります。
飲食店営業許可を取得するには、申請書・設備の配置図・登記事項証明書、水質検査成績書(必要な場合)などを準備し、早めに申請します。
申請後は保健所による施設検査が行われ、不適事項があると許可が保留となり、改善後に再検査となるため、営業開始が遅れる可能性があります。
設備面に不安がある場合は、申請前に図面や資料を持参して保健所へ事前相談しておくと安心です。
古物商許可を取得するには、申請書、略歴書、住民票、身分証明書、誓約書、営業所の使用権限を示す書類(賃貸借契約書など)を準備し、管轄の警察署(生活安全課 防犯係)へ申請します。
申請後は書類審査が行われ、不備や要件不足がある場合は補正や追加資料の提出が必要となり、許可までの期間が延びる可能性があります。
営業所の要件(施錠設備、管理体制など)に不安がある場合は、申請前に図面や資料を持参して警察署へ事前相談しておくとスムーズです。
民泊を行う場合は、住宅宿泊事業届出書、建物の間取り図、消防法令適合通知書(必要な場合)、近隣説明に関する資料などを準備し、住宅宿泊事業法に基づいて都道府県(または政令市)へ届出を行います。届出後は、書類審査や必要に応じた現地確認が行われ、要件不足や不備があると補正が必要となり、営業開始が遅れる可能性があります。
特に消防設備や用途地域の要件に不安がある場合は、申請前に図面を持参して消防署や自治体へ事前相談しておくと安心です。
常勤職員の雇用
2025年10月の制度改正により、経営管理ビザの申請には「常勤職員を1名以上雇用していること」が必須要件として明確に規定されました。これは、事業が実際に国内で運営されていることを示すための重要な指標であり、審査において最も重視されるポイントの一つです。
ここで求められる「常勤職員」とは、日本人、永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、定住者など、就労に制限のない身分系在留資格を持つ人材を指します。技術・人文知識・国際業務などの就労ビザで働く外国人は、この常勤職員には該当しません。
そのため、外国人スタッフを複数名雇用していても、それだけでは要件を満たしたことにはならず、必ず身分系の在留資格を持つ常勤スタッフを確保する必要があります。
また、常勤職員としての実態を示すためには、雇用契約書、給与支払いの実績、社会保険加入状況など、継続的な雇用関係を裏付ける資料が求められます。
経営管理ビザの審査は改正後さらに厳格化しているため、事業計画段階から採用時期・給与水準・勤務条件などを具体的に設計し、確実に要件を満たせる体制を整えておくことが重要です。
経営管理ビザ以外の選択肢
本記事で解説している「経営管理ビザ」は、外国人の経営者が日本で起業したり、海外企業の管理担当者が日本で従事する際の選択肢となっていますが、特定の状況によっては他の在留資格を取得するという選択肢もあります。
ここではご参考までに、いくつかの状況の例をご紹介します。
・「企業内転勤ビザ」
経営管理ビザとはまた異なる就労ビザである「企業内転勤ビザ」は、海外の企業で従事している従業員が、人事異動で日本の事業所に転勤する際に必要となる在留資格です。認められる活動内容としては技術・人文知識・国際に関する業務(「技術・人文知識・国際業務ビザ」とほぼ同様)となります。
企業内転勤ビザと経営管理ビザの違いとしては、大きく3点あります。
まず1点は、企業内転勤ビザの場合、「日本の事業所へ転勤する以前に外国の事業所で1年以上業務に携わっていた」ということが求められるという点です。
2点めは、認められる活動の内容です。経営管理ビザの場合には経営者あるいは管理者のみに限られますが、企業内転勤ビザでは「技術・人文知識・国際業務」の活動内容のみに限られます。
3点めは、日本における事業所の種類についての要点です。経営管理ビザでは、日本で事業ができるふさわしい場所があるのかということが、建物の構造や住居との区別含め大きく重視されますが、企業内転勤ビザでは、日本に所在する事業所の実態さえ立証できれば、それで問題ないということになるケースが多くあります。
経営管理ビザと企業内転勤ビザのどちらに状況や活動内容が当てはまるか、取得しやすさの面でどちらが適当かなどを含め、選択肢を増やすために企業内転勤ビザについても概要をチェックしておくとよいでしょう。
会社設立から経営管理ビザ取得までの実務フロー
2025年10月改正以降、経営管理ビザの審査基準は大きく見直され、従来のように「会社を設立したらそのままビザ申請へ進む」という流れが、そのまま適用できないケースが増えてきています。
特に、資本金3,000万円規模の事業体制や、経営・管理に関する3年以上の経歴要件は、国内外を問わず多くの申請希望者にとって負担が大きく、準備に一定の時間を要する傾向があります。
また、常勤職員1名の確保については、特に海外在住の方にとっては、距離や情報収集の難しさもあり、より高いハードルとなりやすい点が実務上の特徴です。
こうした背景から、改正後は、まず 現時点で準備可能な資本金額で会社を設立し、代表者は海外に拠点を置いて、短期滞在を活用しながら日本で開業準備を進めるという段階的な進め方が現実的な選択肢となっています。
この準備期間に、常勤職員の採用や、業務を任せられる運営体制の構築、さらには 追加資本金の調達や 事業実績の積み上げを行うことで、最終的に経営管理ビザの要件を満たしていくことが可能になります。
つまり、改正後の経営管理ビザ取得は、
「会社設立 → 即申請」ではなく、
「会社設立 → 事業基盤の整備 → 要件充足 → 申請」
という、より段階的で現実に即したプロセスへと移行していると言えます。
経営管理ビザは様々な就労ビザのなかでも申請難易度が高め
本記事では、外国人の経営者や管理者が日本で起業したり、組織内で管理者として従事したりといった際に申請できる在留資格「経営管理ビザ」について基本的な情報を網羅して解説しました。
経営管理ビザは、申請者の目的や申請理由、事業規模、事業の見通しなどによって必要となる要件や申請の難易度が大きく異なります。
全19分類となる様々な就労ビザの中でも、一般的に経営管理ビザは申請の難易度が高めであるといわれています。
経営管理ビザの申請が状況に合致するものの、要件の理解にハードルを感じたり、手続き書類のどれをどのように準備すべきか判断に迷ったりする場合には、ぜひお気軽に法律事務所へご相談・お問合せください。
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、経営管理ビザについての無料相談を受け付けています。
「この場合は要件に該当するのか」「どのような追加書類を準備するのが適当か」など、経営管理ビザの申請では、的確な要件判断や実務上の豊富な経験に基づく必要書類の準備が重要であり、審査結果に大きく影響します。
当法律事務所では、スタッフ全員が行政書士の資格を持ち、弁護士の指導のもと、ビザ申請・外国人雇用・労務・契約書など、法務の専門知識を持ったプロフェッショナルがそろっています。ご安心してご相談ください。
さらに、2025年10月改正後に求められる
「会社設立 → 事業基盤の整備 → 要件充足 → 経営管理ビザ申請」
という段階的なプロセスについても、当事務所では一貫してサポートしています。
資本金の積み上げ、常勤職員の確保、事業計画の実現性の補強、運営体制の構築など、改正後に特に重要となる“事業基盤の整備”の部分から伴走し、最終的な要件充足まで丁寧に支援いたします。
経営管理ビザ取得に向けて、どの段階からでもご相談いただけます。
あなたの事業が日本で確かな一歩を踏み出せるよう、専門家として全力でサポートいたします。
※本稿の内容は、2026年4月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。
執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所
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