企業法務全般

海外進出:契約内容は自由に決められる!それ、本当?

by 弁護士 小野智博

日本の企業が海外進出する際、気を付けるべきことに、契約内容の有効性についての問題があります。

契約は“自由に決められ、経済活動を円滑にできる”というのが大原則です。
しかし、どんな内容の契約でも本当に有効になるのでしょうか?

海外進出の際にトラブルが起こる事を防ぐためにも、どこまで契約を自由に結ぶことができるのか、契約が有効でないと判断されるのはどんなケースなのかを、事前に調べていくことがとても大切です。

それでは、日本とアメリカの契約内容の有効性についてみていきましょう。

 

 

日本における契約内容の有効性について

日本には『どんな内容・形式で、誰と契約をするのかを自由に決めてよい』という民法の原則があり、これを「契約自由の原則」と言います。

お互いが求める内容を自由に決められる契約自由の原則により、

・分割払い

・リース契約

・業務委託契約

・秘密保持契約  など

上記のような社会情勢に適合した契約をすることができるのです。

契約自由の原則は、経済活動を行う際には極めて重要な原則といえます。

それでは、どんな内容の契約でも本当に許されるのか、みていくことにしましょう。

 

<契約自由の修正>

契約自由の原則では、当事者は自由な意思により合意した契約を守らなければならないのが基本となりますが、たとえば、誰かに殺人を依頼する契約をした場合、そのような契約を法律が強制させるべきではないのは明らかですよね。

そのため日本の民法では、『公の秩序または善良の風俗』(以下、公序良俗)に反する契約を無効とする規定が設けられています(民法90条)。

この規定により、殺人を依頼するような契約をしても、日本の裁判官は『公序良俗に反する契約は無効にする』という法律を用いて、契約を強制させるべきではないと判決を下します。

では、具体的に公序良俗に反するとされた例をみていきましょう。

 

<日本で“公序良俗に反する”とされた例>

・代物弁済により、債務額の約5倍程度の価値のある不動産の所有権を債権者が取得すること
・売春することを約束すること
・賭博の負け金を返すことを目的として、金銭を貸し付けること
・やむを得ない事由があっても、組合が脱退を許さないこと

など

“公序良俗に反ない”とされた例

・不倫相手に財産の3分の1を相続させること
・全財産を相続人以外に相続させること
・精肉業者をするために必要な許可がないのに、精肉を売ること

など

 

何が公序良俗に反するのかは、その契約時点の社会状況により判断されることになるので、時代の経過とともに公序良俗に反するか否かの判断は変化していきます。

ですので、現在どのような内容が“公序良俗に反する”のかを、事前に確認しておくことがとても大切です。

「労働基準法」や「独占禁止法」など、民放以外の契約自由を修正する法律についても調べておくとよいでしょう。

 

それでは、続いてアメリカにも契約自由を修正する法律は存在するのか、みていきましょう。

 

 

アメリカにおける契約内容の有効性について

契約は法的拘束力があるため、他の人や事業と一度契約を締結すると、あなたと他の当事者はどちらも契約条項を履行することになります。

しかし場合によっては、アメリカでも契約を強制させるべきではないと法律が判断する可能性があるのです。

では、アメリカで一般的に契約が無効とされる状況をいくつか見ていきましょう。

 

<不適格性>

契約が「有効にされることが許されない」と即判断されるほどに不公正であった場合に、不適格性といわれます。

契約の公平性を確保するために、裁判所は次の点を考慮します。

裁判所が契約を不合理と判断した場合には、契約を完全に無効にすること以外にも、契約の重要な部分を実施し、妥当でない条項を書き換えることを選択することもできます。

 

<公共の利益>

公共の利益に基づいて当事者の一人を保護するだけでなく、契約の内容が社会全体に悪影響を及ぼしかねない場合には、契約は無効と判断されることがあります。

~公共の利益を考慮して無効とされた契約の例~

・違法なマリファナ販売のための契約を強制すること

・「公的感受性」に違反する契約(例えば何らかの性的にモラルに反することを伴う契約)。

・雇用主が従業員に労働者の組合への加入を禁じる契約に、署名するように強制した場合

例えば‥

 

 

まとめ

日本では「公序良俗に反するかどうか」で、契約自由が修正されることがありますが、アメリカでも、例えば上記のような理由で契約自由の修正を行うことがあります。

契約内容の有効性についての問題は進出する先の国によって変わりますので、後々大きな問題に発展させないためにも、進出先の国の契約内容はどうなっているのか、契約の有効性はあるのかどうかを、必ず事前に確認しましょう。当事務所でもご相談を受け付けています。

 

※本記事の記載内容は、執筆日現在の法令・情報等に基づいています。

 

 

 

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