企業法務全般

海外進出・海外展開:カリフォルニア州におけるグリーンビジネスに対する免税措置|2021年から2031年へ10年の延長予定

by 弁護士 小野智博

はじめに

カリフォルニア州では2019年1月より、ギャビン・ニューサム新知事による新体制となり、新しい法案が次々に提出されています。2019 – 2020年のカリフォルニア州議会では、2019年2月22日に議会前半に向けた法案提出期限を迎えました。カリフォルニア州は環境政策の先駆者であるということもあり、グリーンビジネスやクリーンエネルギー、リサイクル関連の法案が目立ちます。これらの法案の中には、環境に配慮した企業にとってプラスになるものもあり、カリフォルニア州で事業展開する上では押さえておくべき事柄です。

ここでは、グリーンビジネスを展開する企業への減税措置を提供する機関であるCalifornia Alternative Energy and Advanced Transportation Financing Authority (CAETFA)に関連した法案AB 176について紹介します。この減税措置は、自動的に適用されるというものではなく、企業側からの申請が必要です。内容をしっかり確認し、該当企業となる場合には必要な手順を踏むようにしましょう。

 

CAETFAとは?

カリフォルニア代替エネルギー先進交通融資局(California Alternative Energy and Advanced Transportation Financing Authority :CAEATFA)は、カリフォルニア州の産業向けに革新的で効果的な資金調達ソリューションを提供する官民パートナーと協力した組織です。再生可能エネルギー源の開発と普及を促進することで、温室効果ガス排出量の削減、大気汚染の軽減、エネルギー節約、経済発展と雇用を支援、促進することを目的としています。そして、前述の目的に沿った効率的で先進的な輸送や製造技術に対して優遇措置を提供しているのです。
これらの優遇措置は申請ベースで行われ、対処企業は決められた手順でCAETFAに対して申立てを行う必要があります。ここではCAEATFAの具体的な取り組みについて紹介します。

 

①CHEEFパイロットプログラム

州政府機関と投資家所有の公益事業との間の官民パートナーシップの一環として、パイロットプログラムを展開しています。このプログラムは、環境に配慮されているプロジェクトを州が保証することで、提携企業からの信用補完や資金調達を受けられるというものです。現在、ローン、リース、設備融資契約、サービス契約など、さまざまな金融商品がサポートされています。この取り組みでは融資を受ける側だけではなく、資金を提供する側としてもリスク軽減のメリットがあると考えられます。州内で低コスト資金調達の利用可能性を高める ことで、エネルギー効率に関するカリフォルニア州の目標値達成の一助となっています。

 

②売上税および使用税控除プログラム

代替エネルギーおよび先進輸送を促進する製造業者に売上税・使用税(消費税)の免除を行うことによって、経済的インセンティブを提供します。税の控除対象となる企業は、大きな雇用創出によって、州の経済を活性化すると考えられ、優遇措置が取られているのです。

 

③グリーンプロジェクトのための非課税債の発行

カリフォルニア州の掲げるエネルギー目標を達成に向けて、グリーンプロジェクトへ資金調達を行うために非課税債を発行しています。これまで26のグリーンプロジェクト、2億1200万ドル以上の債券ファイナンス発行の実績があります。太陽、水力、地熱、バイオマスおよびそれらを組み合わせたものなど多岐にわたります。

 

AB 176法案の概要

法案提出者
サブリナ・サバンティーズ議員

法案提出の概歴
2019年1月9日  初稿提出
2019年2月25日 改訂版へと修正
2019年2月26日 天然資源委員会に付託

CAETFA では2021年1月1日まで、カリフォルニア州のエネルギー対策に貢献するプロジェクトに対して、売上税・使用税(消費税)を免除することで財政支援を提供することが承認されていました。なお、免税額は1億ドルを上限としています。
AB 176法案では、免税措置の期間を2031年1月1日まで延長することを提案しています。

 

海外進出・海外展開への影響

CAETFA では、環境への配慮などカリフォルニアのエネルギー目標の達成に貢献する企業に対して優遇措置を図っています。今回の法案提出ではこちらの優遇措置の延長が提案されており、承認されれば2031年まで利用可能となります。エネルギー分野であれば太陽、水力、地熱、バイオマスなど幅広く適用されますし、雇用や運送の部分で対象となる場合もあります。例えば、電気自動車(EV)メーカーのテスラはこの制度を利用して減税措置受けています。環境配慮型の企業にとっては、事業展開において追い風となる制度といえるでしょう。
日本からアメリカに海外進出・海外展開した企業では、現地の企業に対する優遇措置に関する情報を十分有していない場合もあります。公的な優遇措置の中には、申請が必要なものも多いため、利用できる優遇措置や控除について十分な情報収集をしておくことが大切です。

 

※本記事の記載内容は、執筆日現在の法令・情報等に基づいています。

 

 

弁護士法人
ファースト&タンデムスプリント法律事務所

代表弁護士 小野智博(東京弁護士会所属)

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