“匿名加工情報”とは?
個人情報を『特定の個人を識別できない状態』および『個人情報を復元できない状態』に加工したものを“匿名加工情報”といいます。
匿名加工情報を作成する際には、以下の加工基準をクリアする必要があります(改正個人情報保護法 第2条第9項、第36条第1項、個人情報の保護に関する法律施行規則 第19条 一部抜粋)。
◆特定の個人を識別できる氏名や住所、生年月日等の記述の全部または一部を削除
◆DNAや指紋、顔写真、パスポート番号、マイナンバーなどの個人識別符号をすべて削除
◆氏名や住所などと連結する会員IDなどの符号を削除
◆珍しい血液型や病歴など、特異な情報を削除
◆自宅や職場などが特定できるような位置情報は削除(レコードやセルの削除など)
これらの情報をすべて削除すると、匿名加工情報となり、個人情報に該当しなくなるため、本人の同意がなくても第三者に情報を提供することができます。
匿名加工情報の扱いにも厳しい規定がある
2017年5月に施行された改正個人情報保護法にて、匿名加工情報を作成する事業者や、情報を受け取って活用する事業者に対し、それぞれ新たな義務が課されました。
【匿名加工情報を作成・提供する場合】
個人情報取扱事業者が匿名加工情報を作成する際には、改正個人情報保護法 第36条第1項に従って個人情報を適正に加工しなければなりません。
加えて、“削除した情報や、加工方法の漏えいを防ぐための安全管理”、“匿名加工情報に含まれる情報の項目の公表”、“匿名加工情報から個人を特定するために他の情報と照合する行為の禁止”などが義務付けられています。
また、匿名加工情報を第三者に提供する際には、提供する情報の項目や提供の方法を公表するとともに、提供先にその情報が匿名加工情報であることを明示する必要があります。
【匿名加工情報を利用する場合】
匿名加工情報取扱事業者は、受け取った匿名加工情報から個人を識別するための“加工方法に関する情報の取得”や“他の情報と照合する”などの行為が禁止されています。
さらに、匿名加工情報の取り扱いに関する苦情の処理をはじめ、適正な取り扱いを確保するための措置を講じ、その措置の内容を公表するよう努めなければなりません。
個人情報に関するルールは、情報社会の発展により、頻繁に見直しが行われています。
“知らなかった”では済まされないため、弁護士をはじめとする専門家への定期的な確認・相談を心がけましょう。
※本記事の記載内容は、執筆日現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。
執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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(代表弁護士 小野智博 東京弁護士会所属)
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