コンプライアンス

海外進出・海外展開:米国カリフォルニア州で2022年1月以降、すべての家庭と企業に有機性廃棄物のリサイクルが義務付けへ(州法SB 1383)

by 弁護士 小野智博

はじめに

米国カリフォルニア州は現在、気候変動の影響を大きく受けており、記録的な暑さや頻発する山火事、干ばつ、そして海水面の上昇などが大きな問題となっています。その主な原因として挙げられているものが、温室効果ガスであり、廃棄物の埋め立てのような人間の活動によって、温室効果ガスが放出され、気候変動が引き起こされていると考えられています。この気候変動の危機に対応するために、カリフォルニア州では州全体の取り組みとして、有機性廃棄物のリサイクルと余剰食品の回収を実施しています。

2016年9月、ジェリー・ブラウン州知事(当時)は、短寿命大気汚染物質(Short-Lived Climate Pollutants:SLCP)の排出を削減するため、州全体の取り組みとして、カリフォルニア州のメタン排出削減目標を設定しました(SB 1383 Lara, Chapter 395, Statutes of 2016)。具体的な目標値は次のとおりです。

この目標値の達成に向けてリーダーシップを取っているのが、カリフォルニア州資源リサイクルおよび回収局(CalRecycle)です。CalRecycleは、カリフォルニア環境保護庁内の一部門であり、カリフォルニア州が管理するすべての有機性廃棄物の処理およびリサイクルプログラムを取り扱っています。

CalRecycleは、SB 1383に概説されている州全体の有機性廃棄物転換目標を達成するための抜本的な規制を策定してきました。そして、2020年11月にガイドラインが最終決定される運びとなったのです。カリフォルニア州内の各地方自治体は、2022年1月1日までにガイドラインに記載の要件を遵守する必要があります(https://www.calrecycle.ca.gov/organics/slcp)。

本稿では、有機性廃棄物処理およびリサイクルプログラムについて解説するとともに、カリフォルニア州で事業を行う法人が取るべき対策について紹介します。

海外進出を考えている日本企業の中には、カリフォルニア州を拠点の候補とする法人も多いことでしょう。カリフォルニア州には他にも環境関連の法令が多く存在しています。該当する企業は、本稿の内容を参考に、法に準拠したビジネス遂行の足がかりとしていただけますと幸いです。

SB 1383の施行ガイドライン

2022年以降、カリフォルニア州内のすべての地方自治体は、管轄区域内のすべての居住者と企業に対し、有機性廃棄物収集サービスを提供するとともに、以下のようなリサイクル施設から収集された有機性廃棄物をリサイクルする必要があります(https://www.calrecycle.ca.gov/Organics/SLCP/collection)。

なお、「有機性廃棄物」の具体例としては、食品、建材、庭木などから出た廃材、有機繊維やカーペット、木材、紙製品、肥料、バイオソリッド、発酵残渣、および汚泥などが含まれます。

本ガイドラインでは、対象施設を以下の3種別にわけ、それぞれが達成すべき義務を記載しています。

次項では、企業の達成すべき義務について詳しく説明していきます。

企業の義務

SB 1383の施行ガイドラインに基づき、企業には以下の義務が課されています。

Recycle Smartプログラム

SB 1383のガイドラインが2022年1月1日に発効すると、各管轄区域は条例またはその他の強制力のある制度を採用し、企業に対し、以下のような要求を行っていく必要があります。

このような背景もあり、複数の管轄区域からなる合同機関として、中央コントラコスタ固形廃棄物局(RecycleSmart)が立ち上げられました。このRecycleSmartでは、固形廃棄物の削減および州法で義務付けられたリサイクルの目標を達成するためのプログラムの計画と実施などを担当しています。具体的なサービスとしては、住宅および商業固形廃棄物(有機性廃棄物および埋め立てゴミ)の収集、移送、廃棄、処理を行っています。また、リサイクル可能物の収集についてはRepublic Servicesと、リサイクル可能物の加工と販売については、 Mt. Diablo Resource Recoverとフランチャイズ契約を結んでいます。

企業側は、RecycleSmartの提供するサービスを利用することで、法に準拠した有機性廃棄物の処理が可能となるでしょう。海外進出を考えている企業がこれらのサービスを利用する場合には、必要な手続きに漏れがないか十分に確認することが大切です。

コンプライアンス違反に対する罰則

SB 1383では、各管轄区域に、規則違反に対する罰則を課すための条例またはその他の強制力のある制度を採用することを要求しています。そのため、罰則の金額は各管轄区域によって異なる場合がありますが、罰則金の基準としては、以下の範囲となるよう示唆されています。

さらに、各管轄区域は、規則に違反する企業に対し、企業のビジネス許可、登録、ライセンス、その他の許可の取消し、一時停止、または拒否を行う場合があります。

罰則規定に関する施行スケジュールは以下のとおりです。

海外進出・海外展開への影響

日本でも環境への責任ある企業としての行動が求められることが多くなってきました。しかし、政府や自治体主体で具体的なガイドラインが定められていることはまだ少ないでしょう。その一方で、米国カリフォルニア州では、州独自の環境対策が進んでおり、罰則規定を伴うものも多くあります。罰則規定は、金銭的なものからビジネス免許を剥奪されるようなものまで様々です。そのため、カリフォルニア州に進出して事業を行う際には、州独自の規制に準拠しているか十分留意しましょう。

また、カリフォルニア州以外においても、アメリカでは州によって様々な法的規定があることに注意が必要です。海外進出する際には、各州の法規制に高い知見と経験を有した弁護士に相談することをおすすめします。

ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、弁護士によるご相談やリーガルチェックのご依頼をお受けしておりますので、いつでもお問合せください。

契約審査サービス

※本稿の内容は、2021年8月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所

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