
目次
はじめに:なぜ米国の雇用・労務は「知らずに違法」になりやすいのか
米国へ進出する日本企業にとって、雇用・労務は「後回しにしがちな論点」でありながら、実務上のトラブルに直結しやすい領域です。特に注意すべきなのは、悪意がなくても、気づかないうちに法令違反状態に陥るケースが珍しくない点です。実際、現地で採用を開始した後になって、残業代請求や差別・報復の申立て、当局からの調査などが発生し、対応に追われる企業も少なくありません。
日本企業が陥りやすい典型的な誤解の一つが、「連邦法だけ守れば足りる」という考え方です。米国にはFLSA(公正労働基準法)やTitle VII(差別禁止法)など、全国共通の連邦法が存在しますが、それはあくまで最低ラインに過ぎません。実際には州法や市・郡の条例が上乗せ規制を行っており、最低賃金、休暇制度、残業規制、ハラスメント対応などのルールが地域ごとに大きく異なります。つまり「連邦法を前提に制度を整えたつもりでも、州法ではアウト」という事態が起こり得ます。
もう一つの誤解は、「現地任せで問題ない」という発想です。米国子会社の人事担当者や現地マネージャーが一定の実務を回してくれることは多いものの、契約書の整備や就業規則(Employee Handbook)の設計、法改正への追随などが属人的になりやすく、結果として企業全体としての統制が効かなくなります。現地での運用が積み重なるほど、本社が把握しないままリスクが増大し、問題が表面化したときには「契約内容と実態が違う」「説明できる証拠がない」といった状態になりがちです。
米国雇用法の怖さは、こうした“善意の運用”がそのまま違法評価につながり得る点にあります。例えば、肩書きがマネージャーでも実態が一般社員に近ければ残業代が必要となることや、業務委託(Independent Contractor)として扱っていても、実態次第では雇用と判断されることがあります。「知らなかった」「意図していない」では免責されにくいのが米国実務の現実です。
この記事では、アメリカにおける州法強化や判例動向を踏まえ、日本企業が米国で“知らずに違法”にならないためのグローバル契約ガバナンスの考え方と、契約・運用・統制を一体で整備する実務対応について解説します。
米国雇用法制の全体像:連邦法+州法+ローカル条例という三重構造
米国の雇用・労務リスクを理解するうえで最初に押さえるべきポイントは、法体系が「連邦法・州法・ローカル条例」という三重構造になっていることです。日本のように全国一律の労働法を前提に制度設計をすると、現地では想定外のルールが適用され、「知らないうちに違法」になりやすい土壌が生まれます。
連邦法
連邦法は米国全体に共通して適用される最低ラインとして機能します。代表例として、FLSA(Fair Labor Standards Act)は最低賃金や残業代の支払いルールなど、賃金・労働時間の基本枠組みを定めています。また、Title VII(Civil Rights Act of 1964)は人種、性別、宗教、国籍などを理由とする差別を禁止し、採用・配置・昇進・解雇などの場面で企業に幅広い義務を課しています。日本企業にとっては、まずこの連邦法を遵守することが出発点となりますが、問題は「連邦法を守れば十分」というわけではない点です。
州法
州法は連邦法を上回る水準で規制を強化できる権限を持ち、実務上の影響は極めて大きくなります。たとえばカリフォルニア州は、労働者保護に積極的な州として知られ、賃金・休暇・ハラスメント対応などで厳格なルールが採用されやすい傾向があります。ニューヨーク州も同様に、賃金支払いの透明性や労働者保護の観点から、企業側に求められる対応が細かく定められることがあります。同じ米国内でも、進出先の州が変われば、雇用契約書の条項設計や人事運用の「正解」が変わり得るため、本社が全国一律のテンプレートで管理しようとすると、州法との齟齬が生じやすくなります。
市・郡レベルのローカル条例
米国では、最低賃金や病気休暇などについて、市や郡が独自のルールを定めていることがあり、同じ州内でも勤務地によって適用ルールが異なるケースがあります。たとえば「州法の最低賃金はクリアしているのに、市の条例では不足していた」「病気休暇の付与日数がローカル基準を満たしていなかった」といった問題が起こり得ます。これは、給与計算や勤怠管理といった日常的なオペレーションに直結するため、違反が積み上がると、未払い賃金の精算やペナルティ対応など、企業の負担が一気に増大します。
このように、米国の雇用法制は「どの法令が適用されるか」を把握するだけでも難易度が高く、しかも法改正や運用変更が比較的頻繁に起こります。ここで重要なのは、法令そのものの複雑さ以上に、「日本本社が把握できない構造」自体がガバナンスリスクになっている点です。現地任せの運用が続くと、本社は実態を十分に把握できないまま、雇用契約・就業規則・給与体系が地域ごとに分断され、統制が効かない状態になりがちです。結果として、問題が表面化したときには、どのルールを前提に誰が判断したのか説明できず、紛争対応や当局対応で後手に回ることになります。
だからこそ米国進出では、連邦法・州法・ローカル条例の差分を前提に、契約と運用を統一的に管理する仕組み、すなわちグローバル契約ガバナンスの設計が不可欠になります。雇用リスクを“現地の問題”として切り離すのではなく、本社主導で見える化し、継続的に更新できる体制を整えることが、米国で安定的に事業を継続するための基盤となるのです。
最新動向:州法強化・判例から見る実務リスク
米国の雇用・労務リスクは、単に法律が複雑というだけでなく、州法の強化や判例の積み重ねによって「企業に求められる水準」が年々引き上げられている点に特徴があります。日本企業が米国で直面しやすいのは、現地の慣行に合わせて運用していたつもりでも、後から「法的には不適切」と判断され、未払い賃金や損害賠償、行政調査、集団訴訟に発展するケースです。ここでは近年特に問題となりやすいポイントを、実務で起こり得る具体例とともに整理します。
独立請負人(Independent Contractor)の認定厳格化
スタートアップや米国子会社の立ち上げ期には、固定費を抑えるために外部人材を業務委託として活用することが多いですが、実態として勤務時間や業務手順を企業側が細かく指示していたり、他社案件を制限していたりすると、名目が委託でも「雇用」と判断される可能性があります。例えば、営業担当者を1099契約で採用しつつ(日本でいうところの「業務委託契約」に近いものですが、アメリカの税務署(IRS)に提出する書類の名称が「Form 1099」であることから、こう呼ばれています)、出社を義務付け、社内システムを使わせ、上司が日々の業務を管理していた場合、後から従業員性が認定され、未払い残業代や社会保険関連の精算を求められるリスクがあります。契約書の形式ではなく、働き方の実態が重視される点は、日本企業にとって見落としやすい落とし穴です。
残業代と Exempt / Non-Exempt 区分の誤り
米国では「管理職」「専門職」など一定の要件を満たす場合に残業代が不要となる Exempt(適用除外)制度がありますが、肩書きがマネージャーであっても、実態がルーチン業務中心で裁量が乏しければ Non-Exempt と判断されることがあります。例えば、店舗責任者として採用した社員が、実際にはスタッフと同様に接客やレジ業務に多くの時間を割いており、採用・評価・シフト決定の権限が限定的だった場合、残業代未払いとして請求される可能性があります。さらに、勤怠管理が曖昧なまま「みなし残業」的に運用していると、記録不備そのものが企業側の不利な事情として扱われることもあります。
ハラスメント研修義務・報告義務の拡張
州によっては、一定規模以上の企業に対し、管理職向け・一般従業員向けの研修実施を義務付けたり、苦情申立ての窓口整備や報告フローを求めたりする動きが強まっています。例えば、現地法人の立ち上げ直後で「まだ人数が少ないから研修は後回し」と判断してしまうと、ハラスメント事案が発生した際に、企業側の予防措置が不十分として責任追及を受ける可能性があります。日本的な感覚で「社内で穏便に注意して終わり」と対応すると、むしろ記録が残らず、後から紛争化した際に企業が説明できない状態に陥ります。
報復に関する判例傾向
米国では、差別やハラスメントの申立て、残業代の請求、内部通報などを行った従業員に対し、不利益な取り扱いをすることは厳しく禁じられています。ここで問題になるのは、企業側に報復の意図がなくても、評価を下げる、配置転換する、契約更新を見送るといった行為が「申立てへの報復」と見なされ得る点です。例えば、従業員が残業代の未払いを指摘した直後に、勤務態度を理由として解雇した場合、企業側が正当な理由を主張しても、タイミングの近さから報復を疑われ、訴訟リスクが高まります。特に、現地マネージャーが感情的に対応したり、記録のないまま人事判断を下したりすると、企業としての防御が難しくなります。
このように、米国の雇用・労務領域では、州法強化や判例の積み重ねにより、企業が求められる対応水準が高まっています。「現地の慣行に合わせたつもり」「悪意はなかった」「知らなかった」という説明は、紛争や調査の場面ではほとんど通用しません。だからこそ、日本企業は個別の問題対応に追われるのではなく、契約設計・運用ルール・教育・記録管理までを含めた統制を整備し、ガバナンスとしてリスクを管理する発想が不可欠になっています。
日本企業が実際に陥りやすい労務トラブル
米国での雇用・労務トラブルは、法律を知らないこと自体よりも、「契約」「運用」「統制(ガバナンス)」のズレが積み重なった結果として表面化するケースが多く見られます。特に日本企業は、国内で通用してきた雇用管理の感覚をそのまま米国に持ち込んでしまい、善意で整備したつもりの制度が、逆にリスクを拡大させてしまうことがあります。ここでは、実務上よく見られる典型パターンを整理します。
日本式の雇用契約書を英訳してそのまま使用してしまうリスク
日本の雇用契約書は比較的簡潔で、就業条件の概要を記載し、詳細は就業規則に委ねる運用が一般的です。しかし米国では、Offer Letter や Employment Agreement において、雇用形態、報酬、職務範囲、守秘義務、競業避止、解雇や退職時の取扱いなどをより明確に定義することが多く、州法や判例を踏まえた文言設計が重要になります。単なる翻訳契約書では、必要な条項が不足したり、逆に米国では不適切な表現が含まれていたりして、紛争時に企業側の防御が難しくなることがあります。
就業規則・Employee Handbook未整備による運用トラブル
現地採用を始めたばかりの段階では「人数が少ないから後回し」と判断されがちですが、ハンドブックは単なる社内ルール集ではなく、企業が差別・ハラスメント防止、苦情処理、勤怠管理、休暇制度などを適切に運用していることを示す重要な根拠になります。整備されていない状態で問題が発生すると、従業員側から「会社に明確なルールがなかった」「不公平な運用だった」と主張されやすく、結果として紛争の長期化につながります。さらに、州や市の条例に応じてルールを調整する必要があるため、ハンドブックがないことは、法令遵守の抜け漏れにも直結します。
本社承認フロー不在で「現地マネージャー任せ」になる危険性
たとえば、採用条件の提示、職位・給与の変更、Performance Improvement Plan(改善計画)の実施、解雇判断といった重要な局面で、本社が関与しないまま現地判断が先行すると、企業としての一貫性が崩れます。現地マネージャーが経験豊富であれば問題が顕在化しない場合もありますが、判断が属人的になり、記録が残らず、後から本社が経緯を説明できないケースも少なくありません。特に解雇や配置転換は、差別・報復(Retaliation)を疑われやすい領域であり、承認フローや証拠管理がないまま進めることは大きなリスクになります。
契約内容と実態(働き方)の乖離が招く紛争リスク
例えば、契約書上は「裁量のある管理職」として扱っているのに、実態としてはシフト勤務で指示された業務をこなしているだけであれば、後から非管理職として残業代を請求される可能性があります。また、業務委託契約として外部人材を活用していても、実態として出社義務や勤務時間管理をしていれば、従業員性が認定されるリスクがあります。米国では、書面よりも実態が重視される場面が多く、「契約書に書いてあるから大丈夫」という発想は通用しません。
このように、日本企業が陥りやすい労務トラブルは、個別のミスというよりも、契約(書面)と運用(日々の管理)と統制(意思決定・記録・承認)のズレが積み重なった結果として発生します。つまり、労務リスクは現地人事だけの問題ではなく、企業全体のガバナンス課題です。米国進出においては、契約書を整備するだけでなく、それを実務運用に落とし込み、さらに本社が状況を把握して統制できる仕組みを作ることが、紛争を未然に防ぐための鍵となります。
米国進出時に整えるべき雇用契約
米国進出にあたって雇用契約を整備する際、日本企業がまず意識すべきなのは、「書類を作れば終わり」ではなく、契約と社内規程を継続的に運用・更新し、統制する仕組みまで含めて設計する必要があるという点です。米国では、州法・ローカル条例・判例の影響により、同じ雇用形態でも求められる要件が変わりやすく、契約書や規程が現状とズレたまま放置されると、結果として「知らずに違法」になりやすい環境が生まれます。
まず、雇用契約書として中心となるのが Offer Letter(採用通知書)または Employment Agreement(雇用契約書)です。米国では、採用時に提示する条件が後の紛争に直結するため、職務内容、雇用形態(At-will か否か)、報酬体系、ボーナスやインセンティブ、試用期間の扱い、勤務時間・勤務地、守秘義務、知的財産、競業避止・勧誘禁止、紛争解決条項(仲裁合意等)など、必要な論点を適切に整理することが不可欠です。特に日本企業の場合、日本式の契約書を英訳して流用してしまい、「雇用終了の扱いが曖昧」「残業や職種区分に関する記載が不足している」といった状態になりがちです。米国では契約内容がそのまま企業の説明責任につながるため、テンプレートの流用ではなく、現地の制度と運用実態に合わせた設計が求められます。
次に、Employee Handbook(従業員ハンドブック)の位置づけも重要です。ハンドブックは就業規則に近い役割を持ち、勤怠、休暇、福利厚生、ハラスメント防止、苦情処理、内部通報、懲戒、情報管理など、日々の運用ルールを明文化するものです。特に米国では、差別・ハラスメント対応において「会社が予防措置を講じていたか」「適切な相談窓口や調査プロセスがあったか」が問われる場面が多く、ハンドブックの整備は予防法務として大きな意味を持ちます。一方で、ハンドブックの内容が雇用契約と矛盾していたり、実際の運用と一致していなかったりすると、企業側の主張が弱くなることもあります。雇用契約とハンドブックは別々に作るのではなく、整合性を前提にセットで管理する必要があります。
さらに、州別差分管理の必要性も見落とせません。米国では、同じ企業でも州や市が異なれば、最低賃金、病気休暇、休憩・食事休憩、給与明細の記載要件などが変わることがあります。全国共通のひな型を一つ作って全拠点で使う運用は、管理が簡単に見える一方で、州法・条例違反を招きやすい構造です。実務的には、共通部分をベースにしつつ、州別の付属文書や差分条項を用意し、勤務地に応じて適用文書を切り替える仕組みが必要になります。ここを属人的に管理すると、拠点追加や人員増加のタイミングで一気に破綻しやすくなります。
そして何より重要なのが、契約更新・改定時のガバナンスです。雇用契約やハンドブックは、作成時点で適法でも、その後の法改正や判例動向、社内の働き方の変化により、内容が陳腐化することがあります。たとえば、リモートワークの導入、職務内容の変更、報酬制度の改定、組織再編などが起きれば、契約内容と実態が乖離しやすくなります。ここで単発のリーガルレビューだけに依存すると、改定漏れが発生し、結果として紛争の火種が蓄積されます。したがって、誰がどのタイミングで契約・規程を見直し、どのルール変更を反映させるのかという更新プロセスを、ガバナンスとして組み込むことが不可欠です。
グローバル契約ガバナンスの実務対応とは:なぜガバナンス型支援が必要なのか
米国進出における雇用・労務リスクは、「契約書を一度レビューして整えれば終わり」という性質のものではありません。むしろ実務上は、契約書が整っていても、日々の運用や意思決定の仕組みが伴わなければ、紛争や行政調査の局面で企業側が不利になるケースが多く見られます。このような背景から、単発の契約書レビューにとどまらず、契約の作成・運用・更新を継続的に統制する“ガバナンス型支援”が必要になります。
その中核要素の一つが、契約類型別の統一方針です。雇用契約(Offer Letter/Employment Agreement)、Independent Contractor契約、派遣・駐在関連の契約、ハンドブックや社内規程など、類型ごとに「必須条項」「禁止条項」「例外処理の基準」を明確にし、現地任せの属人運用を減らします。統一方針があることで、拠点追加や人員拡大があっても、一定の品質で契約を運用できます。
二つ目は、州法・国別リスクの可視化です。米国は州ごとの規制差が大きいため、「どの州にどの社員がいるか」「どのルールが適用されるか」を本社側で把握できる状態にする必要があります。最低賃金や病気休暇、残業規制、ハラスメント研修義務などの差分を整理し、契約テンプレートや社内規程に反映させることで、知らずに違法となるリスクを抑えられます。
そして三つ目が、継続的アップデート体制です。法改正や判例の影響を定期的にモニタリングし、契約書・ハンドブック・運用ルールを更新するサイクルを組み込まなければ、整備した文書はすぐに陳腐化します。重要なのは「一度作ったら終わり」ではなく、「更新され続ける仕組み」を会社のガバナンスとして持つことです。
米国進出における雇用・労務リスクは、契約書の出来栄えだけで決まるものではありません。契約×運用×統制を一体で設計し、継続的に管理するグローバル契約ガバナンスこそが、企業を“知らずに違法”から守る実務上の鍵となります。
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所が提供できるご支援
米国での雇用・労務リスクは、問題が起きてから対応しようとすると、時間・コスト・社会的信用の負担が一気に膨らみます。未払い賃金や差別・報復の申立て、当局対応、従業員との紛争は、企業活動そのものを止めかねないインパクトを持つため、重要なのは「トラブルが起きたときに強い」体制ではなく、「そもそも起こりにくい」体制を整えることです。そこで鍵となるのが、契約・規程・運用を一体として統制するグローバル契約ガバナンスであり、米国進出後に慌てないための“予防法務”として、早期から設計しておくことが推奨されます。
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、国際法務に精通した弁護士および行政書士資格を有する専門スタッフが多数在籍し、日本企業の米国進出に伴う雇用・労務領域のリスクを、契約ガバナンスの観点から総合的に支援しています。単なる契約書のチェックにとどまらず、「どのように運用し、誰が管理し、どう更新していくか」という実務設計まで含めて伴走できる点が特徴です。
まず、米国雇用契約・規程の設計/レビューについては、Offer Letter/Employment Agreement の条項設計、Employee Handbook の整備、州別ルールへの対応、社内運用との整合性確認など、実務に即した形で支援します。雇用条件の提示方法や解雇・配置転換時のプロセス、ハラスメント対応の枠組みなど、紛争が起きやすい論点を先回りして整理し、企業として説明可能な状態を作ります。
次に、州法差分を踏まえた契約テンプレート整備も重要な支援領域です。米国では州ごとに最低賃金、休暇制度、残業規制、研修義務などが異なるため、全国一律の契約テンプレートでは「一部の州で違法」という状況が生まれやすくなります。当事務所では、共通条項と州別差分(addendum等)を整理し、企業の拠点展開や採用計画に応じたテンプレート体系を整備することで、属人的な運用から脱却し、契約品質を安定化させます。
また、日本本社向けガバナンス設計支援として、本社と海外子会社の責任分界、承認フロー、法務レビューの要否判断、記録管理のルール化など、「誰が・いつ・何をチェックするか」を明確化する枠組みづくりを支援します。現地の担当者に任せることで業務が回っている状態は一見効率的に見えますが、問題が起きた瞬間に説明責任が果たせず、親会社である日本企業を含めたグループ企業全体のリスクとして跳ね返ります。進出初期からガバナンスを設計しておくことが、長期的には最も合理的なリスク管理となります。
さらに、継続的リーガルモニタリング(法改正・判例)にも対応しています。米国の雇用・労務領域は、州法改正や判例の影響を受けやすく、数年前に作成した契約書や規程が、現在の運用に適合しなくなることも珍しくありません。定期的なアップデート体制を組み込み、最新の情報に基づいて必要に応じて契約・規程・運用ルールを見直すことで、「気づいたら違法状態になっていた」という事態を防ぐことが可能になります。
米国進出は、事業機会が大きい一方で、雇用・労務を含む法務リスクが企業経営に直結します。だからこそ、進出後に慌てて対処療法を行うのではなく、進出前・進出直後の段階から、予防法務としてグローバル契約ガバナンスを整備することが重要です。米国での採用や人事運用に不安がある企業様は、ぜひ早い段階でご相談ください。貴社の事業フェーズと体制に合わせ、実務に根ざした最適なご支援の方法をご提案いたします。
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、多くの企業様へのサポートを通じて、グローバル契約ガバナンスについての専門的な課題を解決してきた実績があります。
当事務所では、問題解決に向けてスピード感を重視する企業の皆さまにご対応させていただくため、「メールでスピード相談」をご提供しています。
初回の相談は無料です。24時間、全国対応で受付しています。
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※本稿の内容は、2026年2月現在の法令・情報等に基づいています。
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執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所
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