2017年11月7日、消費者庁は『葛の花由来イソフラボン』を配合する機能性表示食品に対し、優良誤認表示があったとして機能性表示食品を対象とする初めての措置命令を行いました。
優良誤認表示の内容は『あたかも対象商品を摂取するだけで、誰でも容易に、内臓脂肪(及び皮下脂肪)の減少による、外見上、身体の変化を認識できるまでの腹部の痩身効果が得られるかのように表示していた』というものです。
今回はこの実例をもとに、優良誤認表示の判断基準となるポイントを見ていきましょう。
ポイント1:機能性自体は否定されていない
機能性表示食品とは、その食品を摂取することで何らかの効果(機能性)が得られるものです。
『葛の花由来イソフラボン』の場合は、肥満気味な人の体重・お腹の脂肪・ウエスト周囲径を減らすのを助ける効果があるとされています。
今回の措置命令は、『葛の花由来イソフラボン』にこのような効果があること自体は否定していません。
ただし、『葛の花由来イソフラボン』の効果は、あくまで“体重・お腹の脂肪・ウエスト周囲径を減らすのを助ける”ということだけです。
『葛の花由来イソフラボン』を摂取するだけで、“パッと見て分かるくらい痩せられる”というわけではありません。
このギャップが、優良誤認表示となった理由なのです。
ポイント2:優良誤認表示の判断基準は変わっていない
これまで、今回のようなダイエット効果を訴求する商品に対して措置命令が行われる場合、『容易に著しい痩身効果を得られるかのように表示していた』のように指摘されてきました。
それが、今回の措置命令では言い回しが変わっていたため、一部では「優良誤認表示の判断基準が変わったのではないか」という声もありました。
しかし、結論としては、そのようなことはありません。
なぜなら、今回の措置命令の後に行われた、同じくダイエット効果を訴求する商品に対する措置命令では、以前と同じ『容易に著しい痩身効果を得られるかのように表示していた』との表現が再び用いられているからです。
今回の措置命令で言い回しが変わっていたのは、機能性表示食品という特殊性に配慮したという意味しかないように思われます。
ポイント3:運動か食事制限をしないと痩せることはない
ダイエット効果に関する消費者庁の立場は一貫しており、“運動や食事制限なくして痩せることはない”というものです。
今回の措置命令も、突き詰めれば運動や食事制限をすることなく痩せられるかのように表示したところに根本的な原因があります。
実は、同じ『葛の花由来イソフラボン』を配合する機能性表示食品でも、措置命令を受けなかった商品もあります。
その理由は、あくまでダイエットは運動や食生活改善で行い、それをサポートする位置付けで商品の広告をしていたからです。
ダイエット商材の広告で措置命令を受けないためには、“運動か食事制限をしないと痩せることはない”という前提を守ることが何よりも大切なのです。
広告表現についてご不明点があれば、専門家へご相談ください。
※本記事の記載内容は、執筆日現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。
執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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(代表弁護士 小野智博 東京弁護士会所属)
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