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少子高齢化の影響もあり外国人雇用への関心が高まりつつあります。しかし、外国人雇用制度や在留資格の種類は複雑であり、外国人雇用を行う際には十分な検討が必要です。外国人雇用のメリットや課題、手順、注意点について宿泊業界のオーナー・人事部・採用担当者の皆さまは、次のようなお悩みがあるのではないでしょうか。
「宿泊業で外国人雇用を行うメリットと課題は?」
「外国人が宿泊業で働くために必要な就労ビザは?」
「就労ビザを取得する方法は?」
「宿泊業において外国人雇用を行う際の注意点は?」
この記事では宿泊業で外国人雇用を行う際のメリット・課題から就労ビザ取得の手順、宿泊業界で外国人雇用を行う際の注意点までを分かりやすく解説します。
宿泊業における外国人雇用の現状
2024年10月時点での日本の外国人労働者数は約230万人に達し、前年より約25万人増加。うち、宿泊・飲食サービス業でも約16.9%の伸びが見られます。
背景には、深刻化する少子高齢化と人手不足に加え、政府の受け入れ拡大策や制度改革があります。
また、観光庁のデータでは、特定技能「宿泊分野」の外国人数は2023年末に401人、2024年5月時点で469人。目標の受け入れ数(5年で23,000人)には遠く及びません。
技能実習制度を経て、育成就労制度へ移行する流れも開始されており、宿泊分野での技能実習生数は2022年の526人から2023年には1,723人に急増しています。
宿泊業で外国人雇用を行うメリット
旅館やホテルなどの宿泊施設で外国人労働者を雇うメリットをご紹介します。
人手不足の解消
宿泊業界は慢性的に人手が足りない業種の一つです。
外国人労働者は夜勤・繁忙期・休日シフトなどにも柔軟に対応できるケースもあり、即戦力として活躍してくれる可能性があります。
多言語対応・インバウンド対応力の強化
英語・中国語・韓国語などを話せるスタッフがいることで、訪日外国人客とのスムーズなコミュニケーションが可能になります。
外国人観光客にとって「母国語で案内される安心感」は大きな付加価値です。
職場の国際化によるイメージ向上・社内活性化
外国人労働者の存在により、「多様性を尊重する企業」としてのブランドイメージ向上が期待できます。
異文化交流や新しい価値観の導入で、従業員同士の刺激・学び合いが生まれ、職場が活性化することも期待されます。
SNSや口コミでの海外認知が広がる
外国人労働者が自国語で施設を紹介したり、母国のSNSで発信してくれることで、自然なプロモーション効果が期待できます。
インバウンド市場での知名度向上にも繋がります。
外国人労働者の紹介による採用ネットワークの広がり
現在雇っている外国人労働者が、母国の知人を紹介してくれることも多く、人材確保の連鎖が期待できます。
また、既に働いてくれている外国人労働者からの紹介だと企業側と紹介される外国人労働者の双方が安心して働き始めることができます。
日本人労働者の視野が広がる(教育効果)
異文化に触れることは、日本人従業員のホスピタリティ力や語学力の向上にも役立ちます。
教える立場を経験することで、リーダーシップや育成力も養われます。
宿泊業で外国人雇用を行う課題
旅館やホテルなどの宿泊施設で外国人労働者を雇う際の課題をご紹介します。
在留資格の確認・管理が煩雑
「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」など在留資格によって従事できる業務内容が異なるので就業内容も含め厳密な管理が求められます。
在留資格により認められた就業内容と雇用契約書、実際の就業内容の整合性は常にチェックが必要です。
管理部門だけでなく、実際に働く部署の従業員も在留資格や従事可能な就業内容などの基礎を理解している必要があります。
「ちょっとやっておいて」とお願いしたことが実は在留資格上認められていないことだったという可能性もあり得ます。
また、在留期間の更新や手続き管理を怠ると不法就労と判断されてしまう可能性もあります。
外国人労働者の在留期間を一覧にまとめて管理して、適切に更新していくようにしましょう。
言語の壁・意思疎通の難しさ
日本語に不慣れな外国人労働者の場合、マニュアルが通じない・接客中に誤解が生まれる可能性あり、従業員同士やお客様とのトラブルに繋がってしまう可能性があります。
特に日本語には曖昧な表現があります。
例えば、「いいよ」という言葉は「yes」にも「no」にも捉えられます。
業務指示の際には曖昧な言葉は使わない、日本語に不慣れなうちの接客はしばらく先輩が見守るなどのサポートが必要です。
文化や価値観の違いによる職場トラブル
時間感覚や接客スタイル、報連相などの日本の文化に馴染むまでに時間がかかることがあります。
例えば、成果的にみると「日本人は時間に正確」だと言われています。
日本人にとってみたら普通の感覚かもしれませんが、時間に正確と言われるからにはそうでない国もあるのでしょう。
また、日本の「おもてなし文化」も海外からは好評ですが、それは海外では珍しいことの裏返しでもあります。
そして、日本人はチームの「和」を大事にする傾向があります。
そのため、職場においても報告・連絡・相談が重視されることがあります。
しかし、海外の中には、個人プレーが主なところもありますので、そもそもの報告・連絡・相談という概念がない場合もあります。
まずは日本の価値観や文化を共有するところからはじめましょう。
さらに、日本の価値観や文化を伝えるだけでなく、相手の価値観や文化を尊重することも大切です。宗教や食習慣への配慮も必要になります。
育成・フォローに時間がかかる
言葉・文化・制度の違いをふまえて指導・研修を一から構築する必要があります。
そのため、最初の数か月は日本人労働者の負担が大きくなる可能性もあります。
しかし、外国人労働者が即戦力になってくれたら、次に外国人労働者が入ったときは教育係になってくれるかもしれません。
入社する外国人労働者からしても、自国や日本人ではない外国人労働者の方が親近感がわきやすい可能性もあります。
定着率の不安(帰国・転職リスク)
在留資格「特定技能」の場合、在留期限付きであるため、長期雇用が難しいことがあります。
また、生活の不安や孤立感から、早期離職してしまう可能性も否定できません。
孤立感を与えないよう最初は丁寧なサポートをしていきましょう。
外国人が宿泊業で働くことができる就労ビザ
技術・人文知識・国際業務
就ける職種:企画、マーケティング、広報、海外対応業務、通訳、バイヤー、予約管理などの専門的な業務
要件:①大学卒業(国内外問わず)など+大学で学んだ内容と業務と関連していることが必要
②日本国内の専門学校卒業+専門学校で学んだ内容と業務との関連していることが必要
③実務経験10年以上 のいずれか
在留期間:1年~5年(更新可)
はじめは1年からはじまり、3年、5年と段階を踏むのが一般的です。
メリット:語学や国際感覚を活かせるポジションに対応可能
注意点:単純労働(清掃・ベッドメイキング・厨房補助など)は不可
・技術・人文知識・国際業務ビザで就労するには|業務内容と申請方法について法律事務所が解説
特定技能1号【宿泊分野】
就ける職種:フロント、接客、館内案内、レストランサービス、清掃、企画補助など
要件:技能試験+日本語試験(JLPT N4程度)に合格が必要
在留期間:最長5年(更新あり)、家族の帯同は原則不可
メリット:専門職でなくても、一定の技能と日本語力があれば就労可能
注意点:受入機関としての手続き(支援計画作成、報告義務など)が必要
特定技能は受け入れできる分野が決まっていますが、宿泊業界は対象になっています。
※2019年4月に新たに設けられた制度です。対象になっているのは1号のみで2号は対象外です。
・外国人特定技能ビザの申請について|取得の要件とポイントを法律事務所が解説
特定活動(46号:留学生の就職支援)
就ける職種:技術・人文知識・国際業務ビザと同様の内容だが、一部技術・人文知識・国際業務では認められていない業務(接客など)も可能
要件:日本の大学・専門学校を卒業した外国人向け(職務内容・日本語力などの要件あり)
在留期間:1年~5年(更新可)
メリット:通常の「技人国」では難しい業務(接客等)にも柔軟に対応可能
注意点:一定の条件を満たした企業のみが受け入れ可能(法務省の許可制)
▶参考情報:外国人の就労ビザを取得する方法については下記の記事でも解説していますので、ご参照ください。
・特定活動46号(N1特定活動)ビザとは?|従事できる業務内容とビザ申請における要件を解説
身分系の在留資格
「身分系の在留資格」は、日本人の配偶者等や永住者など、日本での生活が認められている外国人が取得できるビザです。このビザを持っている場合、日本での就労に制限がなく、法に違反しない限りどの業界でも働くことができます。
1.永住者
・日本で長期間生活し、一定の要件を満たした外国人に与えられる。
・就労制限がなく、どんな仕事でも就労可能。
2.日本人の配偶者等
・日本人と結婚した外国人が取得できるビザ。
・就労制限がなく、どんな仕事でも就労可能。
3.永住者の配偶者等
・永住者や特別永住者の配偶者が取得できるビザ。
・就労制限がなく、どんな仕事でも就労可能。
4.定住者
・日系人や特別な事情がある外国人が取得できるビザ。
・就労制限がなく、どんな仕事でも就労可能。
資格外活動許可
「資格外活動許可」とは、本来の在留資格で認められていない活動(就労)を一定の条件下で行うことができる許可のことです。主に留学生や家族滞在ビザを持つ外国人が、アルバイトなどの形で働く場合に必要になります。
ただし、週28時間以内という制限(どの曜日から起算しても週28時間以内であること)があり、キャバクラ、パチンコ、ガールズバーなどの風俗営業は禁止されています。
◆主な取得対象者
・留学生(日本の大学・専門学校に通う学生)
・家族滞在ビザの配偶者や子ども
宿泊業で働くための就労ビザの取得手順
日本国内において宿泊業で外国人雇用を行う際の就労ビザの取得手順について説明します。
在留カードを確認する(内定時)
内定時に在留カードを確認します。
在留カードは必ず原本を提示してもらうようにして、コピーを取ります。
在留カードが本物かどうか確認できるアプリも利用すると安心です。
雇用契約を締結する
就労ビザを取得するためには、まず正式な雇用契約を結ぶ必要があります。
ビザ申請時には、労働条件が明確に記された雇用契約書を提出する必要があるため、事前に適切な雇用契約を締結しましょう。
◆雇用契約書を締結する際のポイント
・職種、業務内容を明記する
・給与、勤務時間、福利厚生を明記する
・契約期間を明記する
在留資格変更許可申請をする
雇用契約を締結したら、外国人労働者の住所地を管轄する出入国在留管理局に、「在留資格変更許可申請」を行います。
通常は外国人労働者本人が行いますが、弁護士や行政書士に任せることもできます。
◆主に企業側が用意するもの
・在留資格変更許可申請書
・会社概要が分かる資料(決算書、会社のパンフレット、履歴事項全部証明書等)
・雇用契約書(労働条件通知書)
◆主に本人が用意するもの
・履歴書、職務経歴書
・最終学歴の卒業証明書、実務経験を証明できるもの
・資格の証明書
・パスポートと在留カード
在留資格変更が許可される
在留資格変更許可申請をしてから約1~3ヶ月ほどで在留資格変更許可申請が許可されます。申請する就労ビザや場所、時期にも影響されますが、1か月強かかることが多いです。
採用が決まったらすぐに申請の手続きを行えるよう準備しましょう。
就労開始
在留資格変更が許可されてから就労開始します。
特定技能ビザで外国人労働者を受け入れる手順
外国人本人が試験に合格しているか確認する
海外からの受け入れでは、外国人本人が次の2つを満たしている必要があります。
・特定技能評価試験の合格(または技能実習2号修了)
・日本語能力試験N4以上の合格
試験の合格証明書などを確認しましょう。
雇用契約を締結する
就労ビザを取得するためには、まず正式な雇用契約を結ぶ必要があります。
ビザ申請時には、労働条件が明確に記された雇用契約書を提出する必要があるため、事前に適切な雇用契約を締結しましょう。
◆雇用契約書を締結する際のポイント
・職種、業務内容を明記する
・給与、勤務時間、福利厚生を明記する
・契約期間を明記する
登録支援機関と契約する(海外からの受け入れは必須)
海外から特定技能外国人を受け入れる際、企業が直接生活支援を行うことはできません。(受け入れ企業が登録支援機関の場合を除く)
そのため、必ず「登録支援機関」と契約し、支援計画を実施する必要があります。
登録支援機関は、入国後の住居探しや生活ガイダンス、日本語学習の機会提供など、外国人が安心して生活・就労できるようサポートしてくれます。
在留資格認定証明書交付申請(COE申請)を行う
雇用契約および登録支援機関との契約が整ったら、在留資格認定証明書(COE)交付申請を出入国在留管理局に提出します。
COE申請は企業側が行います(行政書士に依頼することも可能です)。
◆主な提出書類
在留資格認定証明書交付申請書
雇用契約書(労働条件通知書)
支援計画書・登録支援機関との契約書
企業の登記簿謄本、決算書など
本人の試験合格証など
在留資格認定証明書が交付される
申請から1〜3か月で在留資格認定証明書が交付されます。交付されたCOEは本人に送付し、現地の日本大使館・領事館でビザ申請を行ってもらいます。
入国・雇用開始の準備をする
ビザが発給されたら、本人が日本に入国します。入国の際は登録支援機関が空港まで迎えに行くことが義務です。(支援計画に基づく)。
就労開始
入国後の手続きが完了すれば、特定技能外国人として正式に就労を開始します。
支援業務(生活・就労サポート)は、登録支援機関と連携しながら継続的に実施する必要があります。
不許可になった場合の対処法
外国人労働者の増加に伴い、不法就労問題も増えてきました。
そのため、就労ビザの審査は年々厳しくなっており、不許可になる事例も増えてきています。
再申請する
不許可になった理由が、書類の不備や申請内容に誤解が生じてしまったなどすぐに解消できる場合であればすぐに再申請を行います。
場合によっては理由書や上申書などを付けた方が良いケースもありますので、弁護士や行政書士といった専門家に相談の上再申請すると安心です。
特に初めての対応の場合は専門家へ相談することをおすすめします。
一度母国に帰国する
就労ビザの申請が不許可になっても、在留期間内であれば何度でも再申請することができます。
しかし、一回不許可になっている以上、その理由が解消されない限り許可されることはありません。
また、何度も再申請を行うことで申請手数料がかさんでしまいます。
不許可になった理由が、在留態度が悪いと思われたなどすぐに解消することが難しい場合は、一度帰国した上で在留資格認定証明書交付申請を行う方が良いこともあります。
在留資格認定証明書交付申請の際には相当性(過去の在留態度など)は審査対象になりません。
不許可になった場合は弁護士や行政書士に今後の流れを相談することをおすすめします。
宿泊業で外国人労働者を雇用する際の注意点
宿泊業で外国人労働者を雇う際にはいくつかの注意点があります。
在留資格と業務内容が一致しているかを確認すること
外国人が働ける仕事内容は、取得している在留資格ごとに厳密に決まっています。
反対にいえば、在留資格によって従事できる業務が特定されています。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」では、マーケティングや予約管理などの専門業務は就労可能ですが、清掃・配膳などの単純労働はできません。
本来は認められていない業務を行ってしまうと、本人は不法就労罪に、会社は不法就労助長罪に問われてしまう可能性が高いので、注意が必要です。
在留カードの確認と有効期限の管理を行うこと
採用時に在留カードを必ず原本で確認し、在留資格・在留期間チェックします。
そして、コピーを保管し、在留期限3カ月前には会社からも声かけするようにしましょう。企業側が在留期間を過ぎても働かせた場合は不法就労助長罪に問われる可能性があります。
在留期間の更新は在留期限の3か月前からできます。
弁護士や行政書士に依頼するとスムーズに更新ができます。
雇用契約書・労働条件通知書は「やさしい日本語」や母国語で提示すること
日本語が不慣れな外国人労働者に、専門用語が多い契約書を日本語だけで渡すのはトラブルに発展してしまう可能性があります。
必要に応じて、外国人労働者が詳細を理解できるよう、やさしい日本語・英語・母国語などで翻訳した契約書を準備しておくと良いでしょう。
日本語教育・業務マニュアルの整備すること
宿泊業では、接客、清掃、フロント業務など、日本語でのコミュニケーションが欠かせない場面が多くあります。外国人を受け入れる企業にとっては、業務の円滑な遂行とトラブル防止のために、日本語教育と業務マニュアルの整備は非常に重要な取り組みです。
◆ 言葉の壁を放置しない
「簡単な日本語なら通じるだろう」と思っていても、業務上の用語やお客様対応の言い回しなど、現場では高度な日本語力が求められる場面が多いのが実情です。
特に以下のような状況では、言葉の壁によるミスが発生しやすくなります。
- 客室清掃の細かい指示が伝わらない
- フロント対応での言い間違いや聞き間違い
- 指示書の読み違えによる事故やトラブル
こうした事態を防ぐためには、単に「日本語ができるか」を確認するだけでなく、教育機会やツールを整備することが不可欠です。
◆ 日本語教育の実施方法
- 社内研修(週1回の会話練習、ロールプレイ)
- 外部の日本語学校・オンライン講座の紹介
- eラーニング教材の提供(職種別日本語)
- 登録支援機関による支援の活用
特定技能ビザで雇用する場合は、日本語学習の機会を提供することが法律で義務付けられています。そのため、教育体制の構築は実務的にも必要不可欠です。
◆ 外国人にもわかる業務マニュアルの整備
日本人向けのマニュアルでは、外国人にとっては理解が難しい表現や曖昧な記述が多く、混乱を招きがちです。そこで、以下のような工夫が有効です。
- やさしい日本語で書かれたマニュアルの作成
- イラストや写真付きで視覚的にわかるようにする
- 多言語(英語・ベトナム語など)対応の整備
- 音声付き動画マニュアルの導入
現場で繰り返し確認できるツールがあれば、教育担当者の負担も軽減されますし、外国人従業員の安心感も高まります。
文化・宗教への配慮を行うこと
イスラム教徒なら礼拝スペース、食事(ハラール)対応など、生活文化への理解が必要になります。
男女の接触や挨拶、休憩時間の使い方なども文化的に異なることを理解しておきましょう。
受け入れる日本人側の研修(異文化理解)も重要です
労働法を遵守すること
外国人労働者も日本の労働者と同様に、労働基準法や最低賃金法の適用対象です。
- 適正な報酬の支払い(割増賃金・残業代含む)
- 労働時間、休憩、休日の管理
- 社会保険の適用確認
外国人だからといって特別扱いは許されず、違法な労働条件が発覚すれば罰則や信用失墜にもつながるため、注意が必要です。
特に飲食業はシフト制や変形労働時間制など複雑な勤務体制であることが多いので、より丁寧な説明が必要になります。
特定技能の場合は支援計画の実施義務がある
特定技能で雇用する場合、企業は外国人の生活支援・相談体制を整える義務があります。
(例:住宅確保、生活オリエンテーション、定期面談など)
受け入れには「登録支援機関」への委託、または自社での対応体制が必要です。
支援計画の未実施や報告漏れは行政指導・取消の対象になりますので注意が必要です。
ハラスメント・差別防止の社内ルール整備を行うこと
外国の人材を雇用する宿泊業においては、文化や言語の違いによるすれ違いが、ハラスメントや差別につながるリスクがあります。
受け入れ企業としては、外国人従業員が安心して働ける環境を整えるために、ハラスメント防止や差別の禁止に関する社内ルールの整備が不可欠です。
◆「悪気はない」が通じない
たとえば、同僚が軽い気持ちで「○○人って○○だよね」と発言した場合、本人には差別的な意識がなくても、外国人従業員にとっては強い侮辱と受け取られることがあります。
また、日本語に不慣れな外国人に対して「ちゃんと聞いてないからでしょ」と責める発言も、パワハラや人格否定に該当する可能性があります。
◆ 文化の違いを前提とした対策が必要
日本では当たり前とされる「空気を読む」「はっきり言わない」などの職場文化が、外国人にとってはストレスや誤解のもとになることもあります。
こうした違いを踏まえて、社内での意思疎通や注意の仕方にも配慮が求められます。
◆ 具体的に整備すべき内容
ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ等)の禁止規定
国籍、人種、宗教、言語などに関する差別的言動の禁止
苦情・相談窓口の明示(外国語対応が望ましい)
問題発生時の対応手順(事実確認〜再発防止まで)
定期的な社内研修やマニュアル整備
◆ 「見て見ぬふり」も問題に
外国人労働者が不利益を受けていても、上司や同僚が「気づいていたけど指摘できなかった」となると、会社としての管理責任が問われる可能性があります。
日頃から「指導とハラスメントの違い」や「多様性の尊重」について、全従業員で意識を共有しておくことが大切です。
宿泊業はチームワークが求められる職場であり、外国人労働者が働きやすい環境づくりは、結果的に職場全体の雰囲気や離職率にも直結します。
形式的なルールにとどまらず、「何のためにルールがあるのか」を全員が理解できるようにすることが、最も重要な対策です。
外国人採用・雇用の手続きについてのお悩み・課題は解決できます
この記事では、飲食業において外国人雇用を行う際のメリットと課題や就労ビザの申請手順、外国人雇用の際の注意点について、飲食業者の皆さまが直面すると思われるお悩み や課題について、解決の手助けになる基本的な知識の概要をお伝えしました。
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「宿泊業における外国人雇用のメリットが分かる」
「宿泊業における外国人雇用の課題と解決策が分かる」
「就労ビザ申請の手順が分かる」
「就労ビザ申請が不許可になった際の対応について分かる」
「宿泊業における外国人労働者を雇用する際の注意点が分かる」
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※本稿の内容は、2025年8月現在の法令・情報等に基づいています。
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執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所
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