日本において人口の減少とともに内需が縮小するなか、
企業の生き残りは世界市場での競争力の有無にかかっています。
優れた製品を作るだけで生き残れた時代は
技術や情報が世界規模で共有されるようになるとともに、終わりを迎えました。
日本の携帯電話が分かりやすい例だと思います。
日本独自の進化を遂げた携帯電話、いわゆるガラケーは、
電子決済やテレビ番組の視聴などの優れた技術を他国の製品に先駆けて搭載し、
当時は世界的にみても技術的に進んだ製品でした。
しかし、後発のアップルやサムソンのいわゆるスマートフォンに、
ホームクグラウンドであった日本市場においてさえ、
完全に敗北してしまいました。
それは、製品として劣っていたからではなく、
国際市場を意識した戦略をとっていなかったからであろうと思います。
日本企業の海外進出というと、一般的には、外国に会社を作って現地で
ビジネスをすること、と理解されると思います。
それはその通りなのですが、海外進出の本当の意味は、
企業が世界市場で勝負できる力をつけることである、と私は思います。
また、そのような準備をしていかなければ、これからは、日本国内においてさえ、
外国企業に負けてしまう危険があるということを前述の携帯電話の例は示していると思います。
もし、日本の携帯電話メーカーが、あるいはその部品メーカーが、
アップルやサムソンがスマートフォンを発売するよりも前に世界戦略をとり、
海外に進出してスタンダードを勝ち取っていたら、世界中の人々が現在使用している携帯電話は、
いまガラケーと呼ばれている製品だったかもしれません。
そして、それは時期的には十分可能でした。
一口に海外進出といっても、その段階や方法は多様です。
各企業がそのビジネス内容や目的に合わせて適切な方法を選択し、
日本を含む世界市場で勝負できるようになることが大切だと思います。
執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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(代表弁護士 小野智博 東京弁護士会所属)
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