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海外進出・海外展開:米国のビジネス保険/法律で義務化されている保険とその他ビジネスリスクをカバーする保険について

by 弁護士 小野智博

はじめに

ビジネス保険は、事業主の個人資産とビジネス資産の両方を予期しない災害や事故、訴訟などから保護するものです。ビジネス保険にも様々な種類があり、一部は法律によって特定の保険に加入することが求められています。

例えば、米国では、労働者を雇用する企業に、労働者の災害補償、失業、および障害保険に加入することを義務化しています。さらに、追加の保険を課している州や自治体もあります。事業主としては、法令遵守のため必要な保険にもれなく加入するとともに、万が一の場合に備えて任意保険への加入も慎重に検討する必要があります。

本稿では、ビジネス保険の概要を解説するとともに、事業主が保険を通して法的リスクを軽減する必要性について説明します。

 

法律で加入が義務付けられる保険

米国では、企業と労働者を保護するために、州法によって、事業主に特定の種類のビジネス保険への加入を義務付けている場合があります。特に、労働者災害補償保険と失業保険、障害保険については、多くの州で、労働者を雇用する企業に加入を義務付けています。

上記に加えて、法律や医療サービスを提供する事業や、アルコールを提供する事業など、特定の業務を行う事業者は、追加の保険への加入が義務化されていることもあります。

自社が加入必須の保険要件に準拠しているかは、自社に適用される州法を十分に確認する必要があります。

 

一般的な任意保険

ここでは、任意で加入できるビジネス保険に関して、主なものを説明します(一部の州や自治体では加入必須の場合もあります。)。

 

ビジネス保険に加入するための4つのステップ

適切なビジネス保険に加入するためのポイントを紹介します。

 

ビジネス保険料を決める要因と、ビジネス保険料を削減する方法

同じ種類のビジネス保険であっても、その保険料は様々です。ビジネス保険料に影響を与える主な要因は以下のとおりです。

その他にも、所有する事業用資産の規模や種類、事業の場所、労働者の給与額なども保険料に影響を及ぼします。

では、ビジネス保険料を削減するためにはどうしたら良いのでしょうか。

 

海外進出・海外展開への影響

事業者にとって、適切な保険を装備することはビジネスを守るために不可欠なものです。どれだけ注意していても、業務中の事故や自社製品による損害、他社による自社の資産への被害はゼロにすることはできません。

特に、中小企業の場合、資金は限られています。そのため、一つの事故が生む金銭的損失による影響は大企業よりも甚大です。一回の事故で全てを失うリスクがありますし、その金額が大きければビジネス自体の存続が難しくなることもあるでしょう。また、海外進出のケースを考えると、米国では日本よりも、些細な事故が大きな損害賠償に発展するリスクが高く、無保険の状態は非常に危険です。

海外進出をする場合には、法律で定められている必須保険を確認するとともに、その国の商慣習に則って、十分な補償のついた保険に加入することが大切です。必要な保険がわからないという場合、まずは、自社のビジネスから予測されるリスクを把握することから始めると良いでしょう。

ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、弁護士によるご相談やリーガルチェックのご依頼をお受けしていますので、いつでもお問合せください。

※本稿の内容は、2022年10月現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」

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