平成30年4月以降より『キャリアアップ助成金』の内容が大きく変わる予定であることが、厚生労働省より発表されました。
今回は、8コースの中から特に取り組みやすい『正社員化コース』について、“支給申請上限人数の拡充”や“支給要件の追加”などの変更点も含めてご紹介します。
キャリアアップ助成金 正社員化コース
【概要】
非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進する目的のもと、有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換、または直接雇用した事業主に対して助成金が支給されます。
【支給額】
(1)有期契約社員→正社員等:1人当たり57万円<72万円>(42万7,500円<54万円>)
(2)有期契約社員→無期雇用社員:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
(3)無期雇用社員→正社員等:1人当たり28万5,000円<36万円>(21万3,750円<27万円>)
※<>内は生産性の向上が認められる場合の額、( )は大企業の額です。
※その他条件によって加算される場合があります。
※“正社員等”への転換には、勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員への転換も含みます。
【対象となる労働者】
基本的には、下記の(ア)~(エ)のいずれかに当たり、また(オ)の要件に該当する労働者が対象となります。
(ア)支給対象事業主に雇用される期間が通算して6ヶ月以上の有期契約労働者
(イ)支給対象事業主に雇用される期間が6ヶ月以上の無期雇用労働者
(ウ)同一の業務について6ヶ月以上の期間継続して労働者派遣を受け入れている派遣先の事業所、その他派遣就業場所において当該同一の業務に従事している派遣労働者
(エ)支給対象事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、修了した有期契約労働者等
(オ)有期契約労働者からの転換の場合、対象労働者が転換前に事業主に雇用されていた期間が3年以下に限ること(正社員、無期雇用社員いずれの転換にも適用されます)<平成30年4月以降変更予定>
※その他に細かな要件があります。
【支給要件】
下記のA・Bの要件を両方とも満たす必要があります。
A)転換または直接雇用した対象労働者に対し、正社員、無期雇用労働者としての賃金を6ヵ月分支給すること
B)正社員等へ転換した際、転換前の6ヶ月と転換後の6ヶ月の賃金(※1)を比較して5%以上増額していること <平成30年4月以降変更予定>
※1:賞与や諸手当(通勤手当、時間外手当、休日手当、歩合給などは除く)を含む賃金の総額のことを指します。賞与額のみの増額であったとしても前後6ヶ月間の賃金の総額を比較した際に5%以上の増額が認められれば対象となります。
【支給申請上限人数】
支給額の欄に記載した(1)~(3)のすべてのパターンを合わせて、1事業所あたりの支給申請上限人数は、1年度あたり20人まで。<平成30年4月以降変更予定>
【平成30年4月以降変更予定の箇所について】
平成30年4月1日以降に転換等した場合に適用される予定です。
今までの正社員化コースの支給申請上限人数(15人)が拡充となり、20人となります。
それに伴い、要件の変更が行われ、以前よりも取り組みへのハードルが高まりました。
とはいえ、この助成金は非正規雇用労働者を正社員等へ転換することで支給される唯一の助成金です。
平成30年4月以降、有期契約労働者の“無期転換制度”が始まりますので、法改正への対応とあわせて、キャリアアップ助成金を活用してみてはいかがでしょうか。
※今回お知らせした平成30年4月以降に予定されている変更内容については、『平成30年度予算の成立及び雇用保険法施行規則の改正』が前提となっています。そのため、今後変更される可能性がありますので、ご注意ください。
※本記事の記載内容は、執筆日現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。
執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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