2017年5月26日、『民法の一部を改正する法律』が成立し、現行民法が約120年ぶりの大改正となりました(※1)。
とはいえ、民法典全部が改正されたわけではありません。
正確には、民法典の中の“債権”という部分が変わりました。
今回から全2回にわたり、この民法改正についてお伝えしていきます。
前編となる今回は、民法改正の概要について基本的なことをお話します。
※1 一部の規定を除き、今回の改正は2020年4月1日より施行されます。
約120年ぶりの大改正!そもそも民法って何?
これまで民法は、1898年(明治31年)の施行以来、約120年間ここまでの大改正はなされてきませんでした。
日清戦争~日露戦争と“歴史の出来事”として学んでいる時期に作成された法律が、21世紀のこの時代まで続いているとは驚きですよね。
では、そもそも“民法”とは、どんな法律なのでしょうか?
民法は、よく“六法”の中に含まれて説明されます。“六法”とは、憲法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法、そして民法という6つの法律を指し、それぞれ以下のことを定めています。
憲法:国の基本的な事柄
刑法:犯罪と刑罰
商法:商取引について
民事訴訟:民事の裁判手続
刑事訴訟:民事の裁判手続
民法:私たちの生活の最も身近な事柄についてのルール
普通に生活をする中で、一番私たちに関わってきそうな民法ですが、具体的な中身はというと、大きく以下の3つに分かれています。
債権法:契約や不法行為など個人と個人の関わりに関するルールを定めた法令
物権法:所有権や抵当権などの財産権について定めた法令
家族法:家族や相続について定めた法令
“債権法”の分野が大きく改正!
前述の通り、今回の改正は民法のうち“債権法”の分野について大きな改正が行われました。
社会の変化や技術の進歩により、120年前に施行された内容がさまざまな意味で時代にそぐわなくなったことが、債権法改正のきっかけです。
なお、現在“相続法”の改正も議論されているため、近い将来、相続法も改正されることになるでしょう。
二十一世紀も20年を過ぎようとしている今、法律の世界は明治維新以後、最大の変革期が訪れています。
前述の通り、新しい民法典が実際に施行されるのは、2020年4月1日からです。
そのため、私たちが実際に新しい民法典の下で生活するのは、もう少し先のことになります。
しかし、民法典は私たちの生活に大きく関わる法律であるため、改正点をきちんと押さえておくようにしましょう。
債権法のうち、どのような条文が改正されたのかについては、またの機会にご説明します。
※本記事の記載内容は、執筆日現在の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。
執筆者:弁護士小野智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約審査サービス「契約審査ダイレクト」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
当事務所のご支援事例
業種で探す | ウェブ通販・越境EC | IT・AI | メーカー・商社 | 小売業 |
---|
サービスで探す | 販路開拓 | 不動産 | 契約支援 | 現地法人運営 | 海外コンプライアンス |
---|
ご相談のご予約はこちら
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所
(代表弁護士 小野智博 東京弁護士会所属)
03-4405-4611
*受付時間 9:00~18:00